「とにかくまずはおめでとう」
どちらの両親にも伝えたのは5週目の、産婦人科でくろいぽちっとしたものを見せてもらった翌々日であった。「心拍確認してから…」と思っていたが、だまっていられなかった。
心細すぎたのだ。
そもそも言っちゃダメなのって、流産の危険性が高いからだと思うのだけれど、もし万が一のことがあったとしても私なかったことにはできないし、きっと一緒にちゃんと向き合ってくれる人たちだと思ったから。
あと経験者に話をとにかく聞いて安心したかった。そんなこんなで両親に電話をかけた。
私の両親は、報告があると言うと「あ、わかった!わかった!もしかして?もしかして?」と、すでにハイテンション。たじろぐ。私は「期待値調整せねば…」と、まだわからないけれど、まだまだなんだけど、なにが起こるかまだわからないけれど…と繰り返しながらも伝える。
奥では父親がずっとパチパチと拍手をしているようで、たぶんちょっと泣いていて、電話になかなか出てくれなかった。
なにせ初孫である。
「おめでとう!」
お医者さん以外からはじめておめでとうと言ってもらって、泣いた。そうだよね、おめでたいことだよね。ってボロボロ涙が出た。だれかにおめでとうって言ってもらいたかった気もするし、その言葉を聞いた瞬間後には引けない(いなくなってしまったらどうしよう)と言う不安が今度は押し寄せてきた。
「無理して流産しないようにね!」と母が言った瞬間にカッと過剰反応してしまい、「そう言う時は、もうすでに染色体レベルでそういうことになっているのだから、私のせいじゃない」と、早口で、強く、否定しまった。
うれしいと、不安とがぐちゃぐちゃだ。
そのあとすぐに義両親へ電話。
(初孫ではない)
まだこれからなのですが、
と期待値調整する私に対して、
「とにかくまずはおめでとう!」
明るく朗らかにおめでとうと言ってもらって、安心してまた涙がでた。そっか「とにかくまずはおめでとう」でいいんだ、と安心した。そのあとまたすぐ不安になるのだが。
そんなこんなで、ついつい伝えてしまったりしているけれど、それでいいのではないかと思うようになってきた。1人では持ちきれない期待と不安をちょっとづつ共有しながら、みんなで待ってるよ。