世界一大切な娘のことを、親として決めるこわさ。/1歳児副耳手術記録(入院1日目)
こんなときに、そしてそもそも、手術する必要あるのだろうかなんて、何度も何度も何度も考えた。娘の、副耳手術。全身麻酔なので、1週間ほど入院す。コロナで医療崩壊と言われる東京で。娘の耳のつんっとした可愛い副耳をとるために、全身麻酔という負担をかけて、まで、私は、私達は、手術をすることに決めた。
こんなにひどい状況になるとは思っていなかった。形成外科だからなのか、特にコロナの影響で中止にしましょう、とは言われず、入院の事前確認の電話を受ける。
娘のつんっとした副耳
ハッピーイヤー
可愛いのだ。可愛くて仕方がないのだ。
でも、とることにした。
娘がこの可愛い「つんっ」を揶揄われて、心に傷を負うことが、怖かった。まだ幼く「なんか違う」に敏感な子供たち。無垢で鋭利な言葉。
保育園に入る前に。
そう思うと、このタイミングがギリギリだ。
コロナ落ち着いてからにする?
局部麻酔でいい小学校高学年まで待つ?
娘に自分で残すか手術するか決めてもらう?
もしかしたらお気に入りの部分になるかも?
考えた、色々考えた。
でも「自分の個性だ」と、自信を持って主張ができるようになるのって、きっと、ある程度何かをくぐり抜けて、強い意志を持ってのことで、きっとある程度大人に近づかないとまわりもそれを理解するのが難しくて。
そして幼ければ、シンプルに
思春期には、それなりに
きっと傷つくシーンがやってくる気がした。
こんな幼い身体で
全身麻酔で
しかもコロナ禍で
やる必要が、あるのか。
私が仕事復帰したら1週間しっかり休めるだろうか?手術の後の傷跡をしっかりケアできるだろうか?1週間は休めたとして保育園で傷跡を庇いながら生活できるだろうか?もし仮にこれから下の子を妊娠出産したとしたら、1週間付き添って入院するなんてことはすごくすごく困難になるのではないだろうか?そして歳を追うごとに、手術への恐怖もトラウマも、もしかしたら、今より大きくなるかもしれない。
今しかない。
今やるしかない。
いつか「なんで切ったの?」って聞かれたら、ちゃんと説明できるくらいには、悩んだ。正解はわかんないけど、今考えられうるベストを選んだ、つもりではある。
いつか「こんな可愛いおまけがついてたのよ。神様がくれた印で、ハッピーイヤーっていうんだ」って説明して「えー、そのままでよかったじゃん!」って言われたりしたら、素直に謝ろう。ちょっと微笑んでしまいそうだ。
こんなちっちゃい身体で、
こんな不安で。
もはや検温でもギャン泣きで、事前検査の心電図は引きちぎるから一回諦めて、採血は暴れたアトが残ってた。ちっさな身体で、たくさんたくさん不安を感じているのだろう。
そして全身麻酔。
これだけ暴れる様をみていると、それが最善策なのは、よくわかる、けども、怖い。
100%安全ということはないです
交通事故に遭うくらいの確率で…
(交通事故に遭う確率って結構高いな)
麻酔科の先生の説明を聞きながらきゅうっとなる。深い麻酔に入る前に、幼い子は必ず暴れるらしい。私は完全に麻酔が効くまで近くにいる。
ごめんね。
ちがう、ごめんねじゃないか。
がんばろうね。
お母さんも、一緒に、頑張る。
無事に、どうか無事に終わりますように。
病院へ向かうため車に乗り込むと、まさかのエンスト。慌ててタクシーを呼んだ朝。パラパラと雪が舞っていた。東京に。よく冷えた朝。
娘のPCR検査は陰性。
面会はNG、プレイルールなどは閉鎖中。私と娘は基本的にカーテンに囲まれたベットの上で、1週間過ごす。
21時消灯。あまりにも眠れなくて娘が1時間くらいもぞもぞして深い眠りについた後にこっそりこれを書き残す。
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