0819/5人家族だった夏のこと
東京に帰ってきた。いつの間にか東京が帰ってくる場所になっていることに(あるいはそう思い込めることに)毎回不思議な気持ちになるけれど、やさしくない人混みに、すこし、ほっとする。今夜は夫帰ってこれるといいな、会いたいな。きっと疲れ果てているだろうけれど、できたら隣で寝たい。
子供の頃(多分小学校4年生くらいまで)家族で川の字になって寝ていた。私は隣のベッド寝る父の布団が好きで、いつもこっそり身体の一部だけ潜り込ませていた。父がいない日は勝手に父のベッドを使って眠ったりもした。まくらの、坊主頭の父特有のあぶらっこい匂いが落ち着くのだった。
帰省中、妹が帰った後は隣のベッドに父が寝ていたのだが、なんだか妙に落ち着かなくて(父はだいたい私より2時間くらい早く寝ているのだが、寝ている気配やにおいが気になって)それを自覚してしまってすこし寂しい気持ちになった。
どこか親に対して冷静にみてしまうようになったことも、主張したいことをぶつけるタイミングを見計らって(どこかで諦め)見失うことも。それでいて結局私は最大限に甘えて過ごし(家事も手伝わず、ゆっくり寝かせてもらい、ベビーグッッズの買い物だって親のお財布に頼ってしまったりして)偉ぶったことを親に対して言えるような立場でもないのである。きっと私が帰ったあとに2人はいろいろ話すんだろう。私や妹や、弟について。ひさしぶりの、そして当面ないであろう、なつかしい5人家族だけの(おなかに1人いるけれど)時間があったこの夏について。
帰省中に、保育園〜高校まで一緒だった友人たち(田舎なので、選択肢がないのでほぼメンバーが変わらない)の、旦那さんにもセットで会う機会が2回あった。地元に帰ってくる時、一人じゃなくて、何か理由があったりして、旦那さんもセットだったりする、そんな年頃になっている私たち。
私のおなかには娘がいて、ぐにゅぐにゅと暴れたりしている。「私たちが母なんて、結婚なんて」不思議だね、なんて言いながら、初めましての旦那さんなのでちょっとだけ内容を選びながら話をしたりして。
いろんなことが変わっていくけれど、変わらないような気もするし、変わりたくないような気もするし、それでいて変わってしまうことをどこかでたのしんでいるようなところもある。(そしてその100倍くらいの気持ちでこわい、とも思う)
こわいけどしょうがない、たのしむしかない。
地元はすでに夏の終わりの匂いがし始めていた。