0903/スーパーサイヤ人にできること
朝起きたとき、硬い髪質の夫が腕の中に潜り込んできた。もふもふ、ちくちく。「あぁ、会社行きたくないなあ」そうだよね、そりゃそうだよね。だってずっと頑張ってるもん。
ぎゅうっと抱きしめる。
私は、私が、この人を守りたいのに。
自分が甘えてしまいたくなる昨今である。
「スーパーサイヤ人並みに家のことこなせたらいいんだけどな、ごめんよ」と呟く。
「スーパーサイヤ人にできるのは破壊だけだよ。色々ありがと」と夫が言う。笑ってしまった。
そっか、そっか。
それでいうとお腹の中で人を育てているし、何も壊してないから妊婦の私、優秀だな。
頑張んなきゃ頑張んなきゃ、とたぶん自分自身に言い聞かせてキャパオーバーしている。
頼りたいけど、頼れない(いやむしろ頼りにしてほしい)なんて柄にもなく踏ん張った。
TO DOだけでは息がつまる。
ほんとはWANT TOで進んでいきたい。
すくっと立ち上がった夫、スーパーサイヤ人もびっくりな寝癖をつけている。かわいい。
……
アカチャンホンポの片隅で崩れ落ちそうだったとき、友達にSOSを送る。今度買い物ついていくよ!と言ってくれたり、なんなら引っ越し準備手伝うから日程決めよ、と言ってくれたり。最高かよ、と更に泣く。
「いろんな人に頼って生きていくんだよ」
という会社の先輩からの寄せ書きコメントをふと思い出す。親がいろんな人に頼って生きている姿をみて、子供も「ああ、人に頼ってもいいんだ」って思えるようになるから、と。
そうだなあ。
かっこいいお母さんではないかもしれないけれど、世界のやさしさは、知っているかも。
いろんな人に抱っこされて、愛されて、すくすく育ちますように。ひとりじゃないって思えるように、やさしさを信じられるように。