「扶養」とはなんぞや
こんにちは。ちいきです。
各地でお天気が荒れていますね。せっかくの七夕の雨で残念でした。
七夕にちなんで、今回は夫婦間において「扶養に入る」とはどういうことか、お話ししたいと思います。
なお、この記事は2023年4月1日時点の法律に基づいて作成しています。
「扶養」の意味は一つじゃない
結婚されている方の中には、配偶者の扶養に入っている方も多いと思います。
扶養の範囲を外れると家計の負担が増えるので、外れないように収入を制限する方もいますよね。
この「扶養」というのは、一つの制度の中の言葉ではありません。
所得税や社会保険など様々な制度に「扶養」という考え方があり、制度によってその意味が変わってきます。
一つの制度だけを気にしていると、別の制度の扶養を外れてしまうこともあるため注意が必要です。
代表的な制度の扶養の意味を説明していきますね。
※便宜上「奥さんが旦那さんの扶養に入る」という体でご説明していきますが、男女逆でも同じです。
所得税の扶養
所得税の計算における扶養制度は「配偶者控除」「配偶者特別控除」です。
旦那さんが奥さんを扶養に入れると、旦那さんの所得税を計算するときに、最大で38万円の所得控除を使うことができます。
旦那さん、奥さんそれぞれの年齢や所得金額に応じて、この所得控除額は変動します。
「103万円の壁」という言葉を耳にしたことはないでしょうか?
これは、奥さん(収入は給与のみ)を持つ旦那さんが、38万円の配偶者控除を使うための「奥さんの収入限度額」を表した言葉です。
ちなみにこの言葉は、配偶者控除しかなかったときのものです。
数年前に配偶者特別控除という新たな制度ができたことで、壁の高さが変わりました。
例えば旦那さんの所得金額が900万円以下の場合、奥さん(70歳未満)の所得金額が95万円以下なら、38万円の所得控除が使えます。
注意するのは、奥さんの収入金額ではなく所得金額です。
奥さんが事業主として収入を得ているのか、給与で収入を得ているのかで、同じ収入であっても所得金額は異なります。
住民税の扶養
住民の計算における扶養制度は所得税のものと似ていて、名前も「配偶者控除」「配偶者特別控除」と同じです。
ただし、所得税とは金額が異なります。
旦那さんが奥さんを扶養に入れると、旦那さんの住民税を計算するときに、最大で33万円の所得控除を使うことができます。
旦那さん、奥さんそれぞれの所得金額に応じて、この金額は変動します。
金額は日本全国どこでも一緒です。
例えば旦那さんの所得金額が900万円以下の場合、奥さん(70歳未満)の所得金額が100万円以下なら、33万円の所得控除が使えます。
住民税も、奥さんの収入金額ではなく所得金額で扶養に入れられるかどうかが決まります。
健康保険・年金の扶養
健康保険・厚生年金の扶養は、所得税・住民税の扶養とは考え方が異なります。
旦那さんが健康保険(協会けんぽ)・厚生年金に加入している場合
奥さんが旦那さんの健康保険の扶養に入れば、奥さんがご自身で健康保険料の支払いをする必要がありません。
また、同時に厚生年金の扶養に入ることもできますので、奥さんの年金の掛け金も支払い不要です。
奥さんが扶養に入るための条件は、
となっています。
今度は奥さんの所得金額ではなく収入金額で判断します。
奥さんが事業を営んでいる場合の収入は、売上になるので要注意です。
旦那さんが国民健康保険、国民年金に加入している場合
国民健康保険、国民年金には扶養制度がありません。
国民健康保険は、世帯に属する人全員の所得金額の合計額に応じて保険料が決まり、世帯主が保険料を納付します。
全員分を世帯主がまとめて払うイメージです。
国民年金は、それぞれご自身の掛け金をご自身で払うことになります。
お給料の扶養
旦那さんが会社からもらうお給料に、扶養手当がついている場合があります。
この扶養手当があるのかどうか、ある場合にもらえるのかどうかは、会社によって異なります。
所得税の扶養に合わせている会社もあれば、オリジナルルールの会社もあります。
気になる方は、旦那さんの会社に確認してみてください。
この扶養制度は今まで説明してきた他の扶養制度と違って、扶養から外れるともらえるものが減ります。
まとめ
制度によって扶養の意味は異なります。
ご自身やご家族が扶養に入っている方は、一度調べてみてもいいかもしれません。