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『エフとキャベツの帽子』を無料公開します。

2021年3月3日
秋帽子

 こんにちは。秋帽子です。

 本日より、『金字塔特別編 エフとキャベツの帽子』という物語を公開します。
 本作は、2020年11月30日にnoteで公開した『金字塔』(以下、「本編」)の後日談に当たります。本編の主人公である浩一くんの相棒、エフちゃんの視点から、あるうららかな春の一日の出来事をお送りします。

 なぜ今、特別編を公開するのかといいますと…。
「何かのためではなく、今・この時を過ごすことが目的であるような時間を提供したい」という思いからです。

 現在(2021年春)は、人に会うこと、楽しむことが「不要不急」だと抑制されている時期。
「もう少しガマンすれば、いい時期が来る。将来のために、今は堪えよう。」と踏ん張っておられる方もいるでしょう。私も、しばらく顔を合わせていない友人が何人もいます。
 しかし、忘れてはいけないのは、様々な「ガマン」は、目的ではなく手段にすぎないということです。目的は、辛い思いをすることではなく、より良く生きること。将来だけでなく、今この時も生きなければなりません。
 ですから、困難を感じている人にも、大切な「今・この時」を過ごしてほしいのです。

 秋帽子プロジェクトは、「物語」について調べ、考え、実践する活動です。その成果物として、いくつかの物語を発表しています。
 こうした活動の中で、物語を読むことには、「人と会うこと・一緒に何かをすること」に匹敵する力があるのではないかと気が付きました。癒し、元気づけ、アイディアをもたらし、明日もまた頑張ろうと思わせてくれる力です。
 この力は、物語の内容とは、あまり関係がありません。実用書やハウツー本のように、書いてあることが直接何かの役に立つわけではないのです。主人公が何らかの結末に到達したからといって、同じ体験が実人生で生ずるわけでもありません。そのため、ともすれば「不要不急」と勘違いしそうになります。
 しかし、物語を読んでいるとき、人は力強く「今・この時」を生きているようです。将来の何かと引き換えにするためではなく、かけがえのない今を。
 不思議です。物語の中には、その人自身の人生は描かれていないのですから。

 そんなわけで、仕組みはよくわからないのですが、物語は、何だかスゴイ。では、それを提供しましょうということで、今回の「特別編」を、取り急ぎ制作した次第です。2020年のクリスマスに冒頭部分が浮かび、それからの約2カ月間で書きました。

 物語の舞台や登場人物などについては、また別稿でご紹介していくとしましょう。
 さしあたり本日は、文字数について触れておきます。『エフとキャベツの帽子』は、約5万6千字で、大きく9つのパートに分かれています。本編は10万字を超える長編相当の作品でしたから、その半分ちょいくらいの分量に当たります。
 ウェブ、特にスマートフォンで閲覧するコンテンツは長くとも2,000字程度までが良いそうです。そんな風に、今の媒体に「最適化」してコンテンツを製作するのもビジネス的には正しいのかもしれません。ただ、この媒体は常に「カイゼン」を行っていますから、あまり過剰に適応を進めると、やがて環境の方が激変し、アンモナイトのように滅びてしまうような気もします。
 スマホというのは結局、キラキラ光ることで、脳という光刺激に弱い臓器をおびき寄せる、ルアーモジュールのような機械です。ビジネスの道具としてはよくできていますが、人生の大切な時間をじっくりと過ごすには、別の形が良いのかもしれません。もう少ししたら、適切な解決策が現れるでしょう。秋帽子プロジェクトでは、こいつに調子を合わせることは考えていません。
 そんなわけで、無料のウェブコンテンツとしては、ある程度長めの文字数で公開させていただきます。通勤電車の中で読むにはちょっと大変かもしれませんが、悪しからず。

 では、ごゆっくり、
『エフとキャベツの帽子』をお楽しみください。

30周年で六角形に!?深まる秘密が謎を呼びます。秋帽子です。A hexagon for the 30th anniversary! A deepening secret calls for a mystery. Thank you for your kindness.