【金字塔】第１部第１章　第一の謎

金字塔
秋帽子

　謎を探究するものは、慌ててはいけない。
　ゴールにもう手が届きそうだ、あと一時間残業すれば完成する？いやいや、今日は我慢して家に帰るのだ。ペースを保ち、やるべきことを片付けて眠りにつこう。そうすれば、寝ている間に脳は必死に考えて考えて、目が覚めると、頭がジーンと疲れている。そして手が勝手に動き、自然と一冊の本を取り上げるだろう。パッ、と開いたページに、次へ進むためのヒントが出ている。偶然ではない。自分でも忘れていた秘密を見つけたのだ。
　本当に解くべき謎は、目に見えるものの裏に、そっと隠されているものだ。ずっと目を覚ましていると、手前のまやかしに飛びついてしまう。それは、本当の謎を覆い隠す壁だ。勇気をもって目を閉じ、夢の中へ。心の底に沈んだ智慧を探ろう。
　さて諸君、準備はよろしいか。主人公に最初の謎がかけられようとしているぞ。

第１部　見つけられない女
第１章　第一の謎