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ビジュアルアーツ専攻3年生課題展「SEEDs」作品アーカイブ


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「SEEDs」
会期:2021/10/14(木)〜2021/10/19(火)
   10:00〜18:00
会場:アラヤニノ

ビジュアルアーツ専攻3年生の課題展「SEEDs」の作品アーカイブです。
※許可をいただけた作品のみの掲載になっておりますので、一部載っていない作品もあります。ご了承ください。

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「無臭」
石井千夕
素材:摘み取った植物

私は幼い頃、今よりも人の死に敏感だった。事故や災害の犠牲者数を見るたびに、「悲しい」「私がなんとかしなきゃ」などと犠牲者に対し同情し、強く感情を揺さぶられた。
しかし現在、日々様々な報道を目にし、私は慣れてしまった。国内で、国外で、何人何百人犠牲者が出ようと、その事実を情報として処理するのみで、感情が大きく動くことはなくなった。
この度の作品では、身の周りに当たり前に存在している植物らを摘み取り、燃やして、においを発生させている。鑑賞者らは焦げたような嫌なにおいを近くするが、その環境に身を置き続けることで、次第にその不快なにおいに慣れていく。
当たり前に存在している人間と植物、それらの命がいくら摘まれようと、自身の身内でない限り、不快な感情は抱いても感情が揺さぶられることはない。そう言った自身の体験を、鑑賞者におこる現象とリンクさせた。
実際に起こっていることだとしても、自身が感じることができなくなれば、知覚できなくなれば、それは私にとっては起こっていないこととほぼ同義である。確かに存在しているのにも関わらず、それが情報として届けられるほど認知されなくなる皮肉さを表現した。

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「キッチンカー」
村田晴加
素材: 木材、アクリル板、モニター

私はキッチンカー見つけても立ち止まって見るだけで、買いに行くことが滅多にない。この動きが作品を鑑賞する動きとリンクしたので、鑑賞するためのキッチンカーを作ろうと思った。鑑賞されるもの、買うことも話すこともできないアニメーションなのでキャラクターは客が来なくて暇にしている動きにした。

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「片片」
山本慎平
素材: ベニヤ、ステンレス、水彩紙

ステンレスの映り込みを利用し、周りの環境や人々の存在を可視化することで、それらを取り込みながら生きる蝶の様子を表現したいと思いました

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「甘かった。」
出口佳弥乃
素材: OHPフィルム、木製ケース

私自身が、昔から家族や先生に「ナメてる」と言われることが多かったところから発想しました。

「ナメてる」って、注意された時の自分は全くそのつもりはない。失敗してからハッと「ナメてたぁ〜」と気づく。失敗しないと気づけない。

実際に失敗して学んだこともあるけれど、先生や家族に注意してもらって失敗せずにすんだ事もたくさんありました。たくさんナメて生きてきた私から「あなたナメてない?」と失敗する前に伝えられるようにナメてる行動・言葉・考えが書かれたキャンディーの袋を標本にしました。

標本の中に入っているアメは私が全てナメきってしまったので、袋の中にはありません。


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「Bluebonnet」
渡邊健太郎
素材: ポスター紙、パネル

ゲーム制作を想定したコンセプトアートと、キャラクターデザイン。
西部開拓時代をモチーフとした、SFファンタジー作品。

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「むこう」
堀江侑加
素材:画用紙、鉛筆、透明水彩

ここ数年は新しいことに挑戦するようにしていたが、平面作品の美術研究をしたことをきっかけで、久々に得意の水彩画を描きたくなった。自分が撮った写真を元に制作。

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「Democracy crisis」
小野里豪人
素材:マットコート紙

 《Democracy crisis》というタイトルの通り、「民主主義の危機」をテーマに、3枚のポスターからなる連作として制作しました。各作品のサブタイトルは、展示の左から順に《Contradiction》(仮題)、《報道の不自由》、《Japanball's trip》となっており、使用した素材はマットコート紙で、サイズは各A2(420mm×594mm)となっています。
 作品全体のコンセプトとしては、「同じ素材の平面作品で、異なる視点・表現方法で同一のテーマを取り扱う」ということになっています。《Contradiction》(仮題)では、グラフィックデザイン的な意匠を取り入れた正統なポスターを、《報道の不自由》では、著名人や大手企業を含めた多くの人々が利用しているSNS「Twitter」のツイート画面を、《Japanball's trip》では、コミック調の表現を、それぞれイメージしています。各作品は一貫して「民主主義の危機」という大きなテーマを扱っていますが、各作品で取り扱っている内容・視点は大きく異なります。
 《Contradiction》(仮題)のタイトルにある"contradiction"は、英語で「矛盾」を意味する単語であり、タイやミャンマーで行われたデモで象徴的だった3本指の意匠のほか、黒人差別に抗議する示威行為であるブラック・パワー・サリュート(Black Power Salute)の意匠も含めています。その一方で、銃や20年前の9.11を連想させる意匠も描いており、"WHAT is JUSTICE?"の問いが抵抗の手段として武力を行使する矛盾を指摘しています。
 《報道の不自由》は、政府などから弾圧を受けている各国の民主的な報道機関を取り扱っています。今年のノーベル平和賞を受賞した報道機関も含まれていますが、「忘れないでください」という1行以外が薄れていく(=人々の記憶から忘れ去られる)ことで、一時は話題にしていた人々の関心が急速に薄れていってしまうことへの危惧を表現しました。
 《Japanball's trip》は、国家を題材としたインターネット・ミーム「ポーランドボール(Polandball)」を用い、Japanball(=日本、日本人)が最近の世界情勢を知っていく中で、自国の民主主義が危機的状況にあることを再認識するお話です。直近の各国の情勢を可視化し、普段日本国民として生活しているだけでは気づかない視点を描いています(例えば、8マス目ではドイツの国政選挙が行われ、色で例えられる各政党がどのような連立を組むのかを予想している現地の報道をPolandball風に表現している)。


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「刻々」
酒井陽奈
素材: Tシャツ、アルミパイプ、ハンガー

日々の生活の中に溶け込んでいるものから機能を奪うことで生じる違和感をテーマに制作した作品です。

ハンガーを順番にかけていく動作と、Tシャツの穴が徐々に大きくなっていく様子から、時が流れていく中で取り返しがつかないほど大きくなったものをイメージして作品化しました。

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「土から編む」
瀧谷夏実
素材: 木材、土、ホウキモロコシの種、冊子

今回の展示では、自分が取り組んでいる活動の広報活動のいっかんとして、立体物と冊子の展示を行った。展示会場入ってすぐのあたりに、土が敷かれた舟形の板が足元に浮かんでいる。その真ん中に一直線を描くようにホウキモロコシの種が並べられている。その奥側には活動を紹介する冊子が来場者が持ち帰れるように置かれている。またその横に腰掛け、冊子を手に取りながら過ごすこともできる。自然と人の関係、日本の都市と地方の関係、そして農と食と暮らしのあり方に農業とものづくりという昔ながらでありながら、現代にも通じるやり方で取り組もうとしている活動をこの展示を通して紹介できればという考えから制作した。

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「日常」
山田結
素材:映像、メディアプレイヤー

自由課題ということで、以前からあった「ドットアニメーションを作りたい!!!!」という
情熱?から「ドットアニメーション」に挑戦しました。
「日常の 1 シーンのドット化」をコンセプトに制作しました。日常風景をドットで表すことに
よって、リアルな生活感などを和らげる表現が出来るのではないかと考えました。
更に映像に登場する人物を 2 つの視点から描き、映像同士を同期させることで、ドットと
いう2次元的なものでありながら、3 次元的にも感じられる映像を目指しました。

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「味覚ラヂオ」
小林琴子
素材: 机、椅子、食器、iPod、イヤホン、スピーカー

味覚と記憶は繋がっており、その時食べた料理にはその時の感情や温度が詰まっている。
その生活に花を添えるような在り方は、同じく生活の中でゆるやかな娯楽として存在しているラヂオと似ていると感じた。
味覚ラヂオではテーブル下のスピーカーから調理音、テーブルの上のイヤホンからは思い出の味に関するエピソードや食事中の音を流している。鑑賞者に作品を体験することで自身の思い出の味や食事にまつわるエピソードを思い出してほしいと願って制作した。

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「pass by something」
須田菜々美
素材: 木材、ポリエステル、プロジェクター

いつも自分のノートに現れる「おばけ」のようなものを、他人から指摘された。
しかし私はおばけだと思って描いたことがないから、おばけではないと答えた。幽霊みたいに死者の魂ではないと良いし、精霊ほど高尚ではない方が好みだった。そんなものが、ノートの外にもいて、いろんなところを知らずに漂っていたら何だか良いなあと思ったのが初めだった。
またそれとは別にアラヤニノの二つの部屋をつなぐ狭い通路に興味を持っていた。奥の部屋に行く人が必ず通る場所に何か仕掛けられたらなと思ったとき、おばけ(?)はきっとそこに居ても、実体がないとしたら、通り道を塞いでいてもみんな擦り抜けてしまうんだろうと考えた。私たちが道を通る時、実は何者かの体を通っているのかもしれない。

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「なんかいる」
大場明
素材:映像(アニメーション)

一部しか見えない、ぼやけてよく見えないことでキャラクターの存在感を作り出すアニメーション。

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「夜の帰路・公園」
佐々木きらら
素材: モニター、アクリル板、アクリル絵の具、ジェルメディウム、油絵具

新しい技法の開発を目指して制作した。後ろから透過させた光は点滅したり動いたりする。絵画に時間軸を持たせ、ゆっくり、ぼーっと見られるようにした。

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 イド
「idの幽霊」
大野和
素材:PC(ノートパソコン)

心理学用語のイドと井戸をかけた。ネガティブな衝動を幽霊にたとえ、PCの中に閉じ込めた。多くの人に見てもらうことでこの衝動を成仏させてやりたいという意図。

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「魚。」
中川小夏
素材:油絵、キャンバス

雨に濡れた夜の道路に魚を浮かべました。

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「うつし絵」
紺野夏鈴
素材: キャンバス、アクリル板 LEDテープ、油絵具

平面と実物の境界を曖昧にすることをコンセプトに制作し、鑑賞者に自身が捉えているものを誤認させることを目指した。この作品では、表面から得られる情報のほとんどを明確に捉えることができない。鑑賞者が見ているのは白いキャンバスであり、描かれた表面はぼやけて曖昧に見える。はっきり見えないことと、直接観られないことで、視覚情報は曖昧になり、鑑賞者自身が花の姿を頭の中で補いながら観ることになる。鑑賞者が見ているのは、作品を通して自分で想像した花である。

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「保」
木村萌
素材: クッションラバー、障子紙、木材

生活の中で溜まっていくもの、そして捨てられるもの、それらを集めてとっておいてしまう自分の習性は「もったいない」から生まれたもので、そういったところから作品を進めた。

部屋に重なった卵パックをみて、自分が技法として普段用いるはんこの重なりと共通するこちに気がつきこれを題材にした。

卵を保護する卵パックはリサイクルされても卵パックに形が保たれる特徴がある。その循環を何度も重ね押すことによって表した。 

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「アラヤニノ」
白田佐輔
素材: 映像、鉄

今回の展示会場であるアラヤニノ。まずはその成り立ちを調査しようと思った。
アラヤニノの歴史、そして取り巻く環境である新屋という町をインタビューを通して知り、アニメーションに落とし込んだ。

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「view」
髙橋樹乃
素材:スタイロフォーム、木

「view」は、自分が当たり前のようにもつ「視覚」という感覚に着目し、それに依存しない状況を作ろうと試みた作品です。視覚を使わないことで見えてくるものや研ぎ澄まされる感覚、目以外で見る方法を模索しました。

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「浮彫」
中谷篤基
素材:椅子

: 椅子の属性を認識する前に壁面に見えるのは『完結したオブジェ』。
: 椅子の属性を認識した後に壁面に見えるのは『不完全なオブジェ』。
 →その後“無いものを見ようと”し始める、と考えます。

“象徴を視認する”という単純なことで起こる空間の変化と思考の変化、それらの不正確さを体験した鑑賞者の中でだけ浮かび上がらせようと試みました。

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以上になります。ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。

次の展覧会は2021/11/19(金)〜2021/11/25(水) 秋田市文化創造館にて、「リファレンス」をテーマに開催します。ぜひお越しください!


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