学生インタビュー82!加藤凜花さん
🕊出展作品🕊
『かえるために』/加藤凜花
コットン、油性絵の具、澱粉糊
いただく、つくる、そして還す。 循環のなか、自らの手で生み出した「もの」の行く末を、ゆっくり、じっくり見つめていたい。 かれらが、ながーく、ほそーく呼吸を続ける「もの」であるために。 生まれて、ひとつのいのちとしてかえるために。 日々、手を動かし続けました。
🕊学生インタビュー82🕊
アーツ&ルーツ専攻 加藤凜花さんにインタビュー!
加藤凜花
──どのようなものを研究、制作していますか?
「呼吸する絵本」を軸に、1 冊だけの絵本を制作しています。
手ずから生み出されるものの美しさと、絵本のもつ、言葉と絵で「どこか」をそこに閉じ込めることのできる性質とに惹かれ、制作をはじめました。
──制作活動をするうえで大事にしていることはありますか?
素材と向き合うこと です。
布や紙など物質的なこと以外にも、言葉や絵、用いるモチーフなど扱うもの全てを素材と捉え、試行錯誤しながら形づくっています。
外装のこととしては、印刷や手描き・既製品の紙を使用したりなどし、現在の手漉紙と版画を用いる形に落ち着きました。
モチーフや言葉についてはまだまだ勉強中なことだらけですが、どう扱ったらベストなのか、ひとつひ
とつ学問的なことも探りながら向き合っています。
──卒業制作ではどのようなものを制作しますか。
コットン紙を用いて、版画と本を制作します。
卒業制作という 1 つの区切りを前に、制作のベースになることをまとめたい、自分をとりまく自然や暮
らしの「循環」を表現したいと考えていました。
そして、「それらの恩恵を受けて自分が作品を生み出すこと」「その作品自体が循環に組み込まれていくのを目指すこと」までが、生み出すことの 1 番いい形かなと。
用いる素材は変わりませんが、これまでの制作とは少し違い、物語りをしない本になりそうです。
──大学入学前と比べて、自分自身が変わったと感じるところはありますか。
生きていくうえで、どんなことをして、何を大切にしていきたいのかを考えるようになったところです。
あとポジティブになりました。
──大学生活の中で印象的だった出来事を教えてください。
数字の 0.1.2 に縁があると気づいたこと。
学籍番号、呼び出し番号、住所...
よく身の回りにいます。
──最後に一言お願いします!
手を動かし続ける人でありたい。
こつこつと。
【作品・制作物】
「月夜、 」
手漉き紙、もみ紙、布、インク
月との旅を試みるひとのお話。
何かが起きているようで何も起きていない、何でもないどこかの日常を描きたく思い、制作しました。
このお話は、定点の視点で淡々とすすんでいく、白黒の世界が特徴です。
コマ送りのような構成の内容で、静と動をどう表すか、緩急をつけるにはどうしたらよいかなどを考え、
一枚一枚を手刷りの版画にしたためました。
夜の静けさと一色刷りの版画が調和した、少し不思議な絵本です。
また、このときは展示方法として壁も使用しました。
手元の絵本は第三者の視点、壁の小さな版画たちは、絵本に登場するひとのその後の視点です。
絵本を展示するにあたって、どうしたら読み手にもっとアプローチできるかを考えていました。景色の
版画を「その後」として見せることで、より作品が立体的になるのではないかと思っての実験でした。