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将来やりたいことをどうやって見つけるか Ⅲ

最近、よく「スキなことをすれば成功する」という意見を耳にするようになりました。本屋さんに行けば、おそらくそのような主張をする本を何冊か見つけることができるでしょう。

しかし、いくら流行っているからといって、その内容を鵜呑みにしてしまうことは危険です。

例えば、あなたの済んでいる街で、新しい喫茶店やラーメン屋、パン屋などがオープンすることがあるでしょう。

そして最初は一時的に繁盛するものの、しだいに客が減っていき、ついには閉店……というパターンもよく目にしているはずです。

一応、付け加えておくと、その店主さんたちは、今までコツコツと資金をためながら修行してきた努力家です。

自分の店で出す商品にもこだわりを持ち、さらにおいしいものを作ろうという向上心も持っていました。

しかし、それでも閉店に追い込まれてしまうのが現実です。

目をそむけたくなることではありますが、この世の中は、資本主義社会であり、「競争」することが前提です。

いくら店主さんが良い人で努力家であっても、他においしいお店があれば、客が来なくなるのは当然です。

つまり、たんに「スキ」、「やってみたい」というレベルではとても成功することなどできないのです。

では、絶対に「スキ」を仕事にしてはいけないのかというと、必ずしもそうとは言いきれません。

「スキ」であると同時に、他人よりも抜きん出た「武器」を持っていれば、競争に打ち勝ち、好きなことに打ち込みながら仕事を続けることができるでしょう。

一昔前では、「食いっぱぐれないように、資格をたくさん取っておいた方がいい」という考えが広く流布していました。

たしかに、資格があれば、それを活かして職を得る機会も増えていくことでしょう。しかし、さまざまな資格を取得したからといって、その仕事で成功するとは限りません。

たとえば、弁護士の資格を得た人でも、十分に弁護することが続き、仕事がほとんどなくなってしまう人もいます。

また、多くの資格を取得したにも関わらず、その資格とは全く無関係の職について、十分な給与をもらえていない人もいます。

このように、自分に合わない資格や仕事に関係のない資格をいくつ持っていても、ほとんど役に立たない例はたくさんあります。

つまり、資格を取得して、その仕事が「できる」というレベルでは、大きな成果を収めることができないのです。

そんなことよりも、たった一つでいいから、他人よりも抜きん出た「武器」を持っていた方がはるかに役に立つことでしょう。

人は誰でも特に努力しなくても、うまくいった経験を持っています。

例えば小さい頃に、誰からも教わっていないのに、かけっこが速い子、将棋が得意な子、絵が上手な子、歌が上手い子などがいます。

また、年下の面倒を見るのが得意だったり、部屋の中を片付けるのが得意な子、他人を笑わせるのが得意な子がいます。

周囲の人たちの話を訊きながら、リーダーとしてみんなをまとめていくのが得意な子もいるでしょう。

それらの性質は直接職業に結びつくことはなくても、ほんの少しその才覚を磨きあげることで、抜きん出た「武器」に転じる可能性秘めています。

例えば、ごく普通のサラリーマンやOLであっても、イラストが得意であれば、それをプレゼン資料や自社の広告に活かすことができます。

また、小さい頃から年下の面倒をみることが得意だった人は、チームで若い人と仕事するときや、研修を専門に扱う部署に配属されたときに、その力を存分に発揮し、活躍することができるでしょう。

このように、私たちが幼い頃から持っていた性質を見出してうまく活かせば、他人よりもはるかに優れた成果を生み出すことができます。

私たちは残念なことに、ある職業についた途端、自分がもともと持っていた性質に目を向けなくなります。

そして目の前にある仕事をこなすことだけで精一杯になり、それを成し遂げるためにはどうすればよいのか、ということばかり考えてしまいます。

しかし、本当に大事なことは、「人には真似できない良さをいかに発揮していくか」ということなのです。

先に挙げた喫茶店の例でもそれは同じです。

おいしいコーヒーを出すことは確かに必要ですが、それよりも自分自身がもともと持っていた性質を活かし、その店にしかない良さを十分に伝えていくことが大切です。

このことは職業を決める前であっても大切なことです。

その職業がもともと自分が持っていた性質と深い関わりがあればあるほど、あなたはその職業で大きな成果をあげることができるでしょう。

だからこそ、私たちは自らと向き合い、問いかける必要があるのです。

「自分がもともと持っていた性質とはどのようなものだったか?」

「その職業は、果たして自分自身が元々持っていた性質とどのくらい関わりがあるものなのか?」

その答えはあなた自身の過去の中に埋もれています。

そしてそれを見つけられるかどうかは、あなたがどれくらい自分自身と向き合うことができるかどうかにかかっているのです。


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将来やりたいことをどうやって見つけるか Ⅰ

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