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Photo by
debupinoko
スノードーム
出張先の町外れの小さな商店街で見つけたスノードーム。
少し大ぶりな形をしていて、中には銀色がみの紙吹雪のようなものが舞っている。
これまで特に興味もなかったが、なぜかこのスノードームだけは違った。
今はほどんど会話がなくなってしまったあの人とのきっかけになるかもしれないと感じた。
結婚して共働きですれちがい増えていった。仲が良いわけでも悪いわけでもないあの人との生活が苦しくなってしまったのはいつからだろう。
家に帰ると、テーブルに全く同じスノードームがあった。彼の出張先の東南アジアにで買ったものらしい。
全く同じものがテーブルに並んでいる。私はそれを眺めふっと笑ってしまった。
すると二つ並んだスノードームの紙吹雪が大きく舞い始めた。
左の紙吹雪には、出会った頃の、結婚式の時の、そう過去の私たちが写っていた。
右の紙吹雪には、似たことがない家に住む私たちと、まあるく愛らしい子供の姿があった。
どうして同じスノードームが違うところにあったかはわからない。一つ確かなことは私たちには、まだまだ未来があるということだった。
そんなことを思い出しながら、2つのスノードームを不思議そうに見つめる我が子のお昼ご飯を作っている。