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Akito_Kasahara
2021年5月27日 20:46
僕に家の庭には小さなリンゴの木がある。いつから生えているのかわからない不思議な木だ。季節に関係なくふとした時に大きなりんごがまるまると実っている。僕がわからないこととか、なんでか知りたいことがある時に限って実ができている。お母さんに、どうして空は青いの?と聞いても答えてくれなかった。けれど、その時についていた身を採って一口かじると、頭の中に声が聞こえてきた。「空が青いのは、人が上を見てくれ
2021年5月24日 23:36
僕の鼻は蛇口になっている。学校の水飲み場にあるような銀色のあれだ。その出口は口の上にある。しかもその蛇口から出てくるのは自分が欲しいと思ったものだ。コーラが飲みたくなったら、口を上に向けて蛇口を捻るとコーラがでてくる。お茶も、ジュースも、水もでてくる。サッカー部の僕にとってはとても便利だ。好きな時に水分補給ができる。監督に隠れて、練習中に大好きなサイダーを飲むことも。今年で小学校も卒業だ。でも
2021年5月19日 18:34
ここから見える人々とても小さい。その彼らからはどんな風に見えているのだろうか。いつも通り当番制の役割を終え、体を少しだけ折りたたんだ窮屈なポーズから解放された。次に並んでいるのはカニの彼だ。月では、それぞれポーズをとりながら人に見られてもいいように順番に役割をこなす。カニ、ワニ、髪の長い女性、老婆、新入りの親子カンガルー、そして僕だ。殺風景な宇宙にアートをという太陽からのオーダーだった。しか
2021年5月16日 22:06
暗鬱な空、彩りがない空気。この街は僕が生まれた時からそうだった。車の排気ガスか、工場の汚染物質か、この街の空は元からそうだったのか、僕にはわからなかった。学校の帰り道、右頬に何かがかすかに触れた。雨だ。今日は天気予報では雨が降るとは言っていなかった。ふと右ほほを触ると、指が緑色になっていた。空を見上げた。すると空から色とりどりの雨が降っていた。雨は透明なものしか見たことがない。しか