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ロバート・フリッツ出版記念講演 20180927

【10/4追記】トップの画像はThe Systems Thinkerから拝借したものを、ロバート・フリッツ本人が訂正してメールで送ってくれたものです。

ごめんなさい。電車乗り間違えて遅刻しました。

「自意識と創り出す思考」の出版記念講演の聞いたところからのメモです。1週間前のメモを見ながら思い出しているので、大いなる誤解もあるかと思います。怪しい箇所は本を読んで確認しましょう(回し者ではありません)。

慢性的なストレスと自意識

突然2頭のサーベルタイガーと出会ったとする。「闘争か逃走か(Fright or Fight)」の状態だ。あなたにはもちろんストレスがかかるが、その場を脱出すれば20-30分で元に戻る。これは通常のストレスだ。

一方、慢性ストレスというのは消えないものだ。そして体に悪い。しかも、気づきにくいときている。慢性ストレスを生み出しているのは何だろうか?それは「自分は今の自分ではなく、本当の自分はこうあるべきだ」という考えだ。そしていつか、自分が決してなりえない自分でなければならないと言う域に達してしまう。

この「嫌な思い込み」に気づけば慢性ストレスは消える。なぜなら「あなたは自分以外の何者かにならないといけない」と思うのを止められるから。今の自分は自分ではないと思うとストレスが生まれる。

今回の書籍「自意識と創り出す思考」のポイントは、自分が自分をどう思うかなんてどうでもいいということ。そんなことは関係ないんだ。自分にとって良いもの、例えば、大切な人との良い関係、健康や、意義ある仕事、コミュニティーなど。私たちは「良い」ものが欲しいと願う。ただ、良いものを欲しいと思うことと、自分のことをどう思うかは、全く関係ないと言っている。

自分が望むものに対して素直になることは、簡単なことじゃない。すべては記号、シンボルになってしまう。例えば、自分にとっての成功のシンボルとか。良いことは成功のシンボルになるし、良くないことは失敗のシンボルになる。人それぞれじゃなく、そういう風にできている。この書籍の革命的なポイントがここだ。このサイクルから自由になる方法が書かれている。

ここから田村さんと対談

田村さんは、25年ほど前にロバートの書籍と出会う。人生をたくさんの意味で変えた本だった。その後、初対面は2002年。何冊かロバートの本は読んでいたし、ただ書籍として面白いだけではなく、実際の生活に活かしていた。しかし、実際に出会うと書籍以上のインパクトがあった。

今回の書籍を、ロバートの初来日に合わせて出版できた。そして初めて奥様に読ませた。面白がって読んでいた奥様が言ったことが衝撃的だった。

「あなたは、これで会社を辞めたのね」

書籍が出版されて2〜3週間が経って・・・

いちばん良く受ける質問がこれだ。「自意識が問題だということは、良く理解できた。構造はわかった。しかし、この本にはその解決策が書かれていないじゃないか?」

もう一度読み直した方が良いかも知れない。この本を通して書かれているのは「自分のことをどう思うかは大事じゃない。『自分が何をしているか』と『自分をどう思うか』を分けなさい」ということだ。そして『自分がやっていること』にフォーカスしなさい、と。注意を向けるべきは、私じゃなく、私が創り出そうとしているもの。それだけだ。

これが理解できない人がたくさんいる。「解決策が書かれていない」のではない。「問題が存在しなくなる」んだ。解決すべき問題が存在しなければ、「解決策」も、もちろん存在しない。

構造が振る舞いを決める。ロッキングチェアは揺り戻しの動きをする。何もそれを直してやる必要はない。しかし、どこかへ行きたいのなら、この構造では良くない。自動車の方が良いだろう?だから構造を変えるんだ。

「天井を見て、それから床を見て」

天井と床を同時に見ることはできない。天井を見上げて、床に目を落とすと、フォーカスが変わる。この話をしているんだ。自分に注意を向けた状態から、外側に注意をシフトするんだ。

画家は、自分(画家)と作品(絵画)が別の存在であることを知っている。作曲家も、自分は曲ではないことを知っている。歴史上で最も大きな成功を収めている人たちは、自意識に縛られるのを辞めている。それで、自分の人生を創り出すことができるようになるんだ。

重要なことがある。自意識に縛られると、学習できなくなる。なぜなら、カッコ悪いことが嫌だからだ。何か新しいことをやろうとすると、うまくいかないものだ。バカみたいに見えたり。ぎこちなかったり。そんなバカみたいで、ぎこちない自分を避けるとどうなるか。学習を避けることになってしまう。それが、人生を創るということなのにもかかわらず。

あなたと、あなたのやっていることに関係なんてない

私は、アーティストだが、一流のアスリート達も同じだ。いつもものすごく格好の悪い練習ばかりをしている。体操選手だって、みっともない練習をしている。挑戦し、失敗する。これを繰り返す。だからブレイクスルーできるんだ。

カッコ悪いのが嫌なら、練習はできない。これを反転させなければならない。「自分」じゃなく「学習」にフォーカスするんだ。バカにされても、何も問題ない。どう見えるかじゃない。大事なのは学ぶことだ。自分にフォーカスしていれば、失敗する自分を、人には見られたくないし、自分でも見たくないと思うだろう。しかし、プロを見てみれば、そんなものは関係ないと分かるだろう。

「解決策が書かれていない」という人たちに対する答えがこれだ。この本には、天井から床へとフォーカスを移せと一貫して書いてある。

現実に目を向けよう。あなたと、あなたのやっていることにつながりは存在しない。あなたのスキルセットは関係するかもしれないが。同じように、ガンの治療法を発見したからといって、あなたがガン患者より価値ある人になるわけではない*。すべての章を通して書いてあることだが、「あなた」は「あなたのやっていること」ではない。そして、自分が自分をどう思うかと、自分が生み出したいものには関係がない。(*聞き違いがあったので修正しました)

自分にフォーカスしすぎていたことを理解すれば、変化は自然と起こる。現実を理解しようということだ。あなたが自分をどう思うかと、あなたがやっていることは違う。あなたが自分をどう思うかと、あなたが創り出したいものは違うんだ。

ここから質疑応答

日本語の質問とロバートの答えが微妙にずれていたので、おそらくロバートが受け取ったであろう問いを想像して書いています。

Q. ポジティブ心理学や幸福学をどう思うか?

あまり何も思わない。幸福(ハッピネス)というのも、自意識の要素になると思う。私が幸せか幸せでないかというのは自意識だ。幸せな時はいいが、幸せじゃない時はどうするのか?

幸福よりももっと深いものがあると思う。「自分の人生にしっかり関わる」ということだ。幸福というのは、幸福な時にしか得られない。人生にしっかり関わるとは、幸福な時もそうじゃない時も、その中間の時も、そこに関わるということだ。

もうひとつ思うことは、幸福はしばしばモノやコトによって起きる。良い仕事とか、誰かとの良い関係とか。ここになんらかの操作(マニピュレーション)が起きる。

私が嫌いなものに、ミューザックというのがある。一日を通じて、時間に合わせた生産性が上がるBGMが流れるんだ。朝から昼休みに向けて曲のスピードが上がり、お昼時はスムースな曲、午後はハイテンポな曲といったふうに。生産性アップのためだ。馬鹿げている。

Q. 人にどう思われるかが気になる

ディシプリン(規律)だ。規律とは、すべて不自然なものだ。かゆいところを掻くのは自然なことで、かゆいところを掻かないのが規律だ。人がどう思うかを気にすることは自然なことで、人がどう思うかを気にしないように変わるには、規律が必要だ。あなたがありのままのあなたでいる時に、そのあなたのことを好きじゃない人たちと、どうしてあなたは一緒にいたいんだ?

Q. 子供のサッカーが上手くなるように、どうアドバイスしたらいい?

その子が、自分のプレーと自分自身は違うものだと理解させてあげよう。大事なことは、彼が上達したいと思っていることを確認することだ。それから、もし上達したいならアドバイスを聞いたらどうかと尋ねる。そこから先、最後は彼次第だ。その子が「自分のパフォーマンスの良い悪い」=「自分が誰か」と思ってしまうようなことは絶対にしてはいけない。

Q. どうしてこの仕事を始めたのか?今は何をしているのか?

ほとんどの時間は創作活動をしている。映画、物書き、作曲など。どれも、自意識と作品をごっちゃにしてしまうと学べない。私はこれを30-40年間実践してきた。

Q. 日々の習慣について。なかなか上手くいかない時、創り出そうとしているものが間違っているのか、他に要因があるのか、どう見極めたら良い?

私はたくさん失敗してきた。初めて作った映画はひどかった。でも続けているうちに良い作品ができるようになった。

ほとんどのアーティストにとって、失敗は創作を妨げるもの(ディスインセンティブ)ではない。ただやってみたが上手くいかなかっただけのこと。次はどうしようかと思うだけのこと。

失敗と成功は同じプロセスだ。しかし、自意識に縛られると失敗が創作を妨げる。

Q. このアイデアはどこから得たのか?

長年のコンサルティング経験から。根底にある構造が振る舞いを起こしていると分かった。振る舞いには、揺り戻しと前進がある。前進のパターンでは、創り出した何かが、さらなる成功のプラットフォームになっていく。この違いを生む、大きな問題が自意識だと気づいた。フォーカスを自意識から外すことで、揺り戻しから前進へと進むことができる。これは普遍的なことだ。

Q. 感情をどうあつかうか?

感情があるのは当然のことだ。良いものも、悪いものも。何かをうれしく思ったら、それを失えば悲しく思う。揺り戻しパターンだ。

映画を作る側として話そう。何が感情を引き起こすか? ちなみにヒッチコックはこのマスターだ。ある場面、2人の人物が会話をしているが、そこに時限爆弾が仕掛けられている。観客は爆弾のことを知っているが、2人は知らずに話し続けている。このコントラストがサスペンスを創り出すんだ。

良い感情も悪い感情も自然なものだ。嫌な気持ちになることはおかしいことじゃない。アメリカの嫌いなところは、いつも気分良くいるべきだとみんなが思っていることだ。アーティストはみんな感情豊かだ。悲しいのも、うれしいのも、全部OKだ。これらは人生の一部だから。

Q. 創り出したいものが何もない友人をどうしたら良いか?

創り出したいものが何もなければ創り出さなければいい。

すごいことをやらないといけないと思っているなら、それはやめなさい。何かを創り出すべきだという前提があるね。もし創り出したいなら、そうしたらいい。「やらなくてもいい」と知っておくべきだ。

Q. アファーメーションは、ゴールへ向かう良い方法か?

ダメだと思う。アファーメーションは、無意識をプログラミングする方法だ。しかし、無意識はこう反応する「あなたが言っていることが本当なのなら、どうしてそんなに何度も繰り返す必要があるのか?」

私は、アファーメーションはブーメランになると思う。「できる、できる、できる」と言い続けることで、無意識は「どうして繰り返すのか?」と考え始める。本当じゃないのでは?という意図しないメッセージを送ることになる。私は、懐疑的だ。

Q. 相手に好かれたい(恋愛的な意味で)が、ありのままの自分ではうまくいかない。自分を偽ると少しうまくいく。

相手を間違えている。ありのままの自分でいて、それが好きだと言ってくれる人が友達になる。ありのままの自分を好きじゃないという人たちと、どうしてあなたは一緒にいたいのか。真剣なアドバイスとしては、自分のあり方を見つけるべきだ。こちらは好きだが、向こうは好きじゃない。これでは合わない。

Q. U理論や最近のリーダーシップ論に問題はあるか?

Yin and Yang of Creating(創造の陰と陽)と言うブログを書いた。U理論は陰→陽→陰の連続のプロセスだと思うが、アーティストの創造は違う。陰と陽は同時に起きる。ヘレン・ミレン(?)は、2本の線路を同時に走るようなものだと表現した。役者は、感情を表現しながら現実を再生産する。陰陽は、同時に起きる。

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メモがあるのはここまでです。内容の記憶がかなり薄れているので、誤解している箇所もあると思います。面白いと思ったら、本を読んでくださいね。

あ、SoLジャパンでは10月9日と22日に「自意識と創り出す思考」のABDもやりますよ。


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