外国人はどうして給与額を教えあうのか?
私は前職で、ベトナムのオフショア開発拠点の仕事に関わっていたことがありました。そこで驚いたことは、評価の個別面談をして、賞与や昇給のお話をすると、その1分後には、個別に話したはずの情報が、社員全員に共有されている! ということでした。簡単に言いますと、面談が終わった直後に、話の内容を同僚に伝えている、ということですね。
これには、正直、びっくりしました。文化の違いって凄い!でした。
「給与明細を見せ合う」のは中国人、台湾人、ベトナム人、タイ人らしい
いろいろと調べてみましたら、真偽は定かではありませんが、どうやら、中国人、台湾人、ベトナム人、タイ人が同様のことを行うようです。私はベトナム人での体験しかありませんので、それ以外の国の方々の行動を自分の目で確かめたことはありません。どなたか実際に見たことがある方は、ぜひ、コメントください。
私の話に戻しますと、そのときにベトナム人のスタッフに、どうして、個別面談の話をみんなにすぐに伝えてしまうのか? どうして自分のお給料をみんなに教えてしまうのか? を聞いてみました。
すると、「誰がどれくらい評価されているかをすぐに知れるから!」という、とってもわかりやすい答えが返ってきました。自分が正当に評価されているかを周囲の人と比べることで確かめている、ということです。
この発想、日本人にはないですね。知りたいと思ってもデリカシーってやつが邪魔?をして、そこまで同僚に聞けないって感覚ありますよね。
これは、まさに文化の違いですね。
これを知ってしまうと、外国人スタッフ相手の個別面談は気が抜けません。真剣勝負となります。
決して日本人間での個別面談が、手を抜いている、ということはありませんが、(過去の私の反省も込めて)評価フィードバックの際、たまに(わざと)時間軸をずらした話をしてみたり、将来に期待!みたいな話をして、評価が低いことを多少オブラートに包んでみたり、あるいは、実際は印象操作も完全にはなくなっていない中での相対評価なのに、それを絶対評価っぽく話してみたり・・といったことがある(私にはあったなー)のですが、それを許してくれるのは、スタッフ間でフィードバック情報や昇給額や給与額が即時に共有されないという前提があるのだと思います。
でもベトナム人は違いました。なんでも共有です。
求めらるのは評価の透明性
この出来事を通じて、結果、私がたどり着いたもっともシンプルな答えは、評価は透明にしておかないとダメだってことでした。良い悪いは別にして、日本人は精神論好きなところもあって、汗かいて頑張っている人を応援しがち、評価しがちですね。同時に、頑張る=高いモチベーションという構図から、頑張っている、でも結果が出ない人に、もっと頑張ってほしいから、ちょっとだけ頑張ってたね評価を加えてみたり・・・・なんてことが行われているのだと思います。
でも、前述の国々の人には、これが通用しないのです。頑張っているのは全員一緒で、評価されるのは結果であると。そうなってくると、頑張っていても結果が出てない人には、評価を上げる要素がない・・・となってしまいます。このあたりが外国人はシビアでした。モチベーションの源泉が違うということも言えるかもしれません。
わかりやすい目標を用意しておくことが重要
このベトナムでの出来事があってから、私は、ベトナム人以外の外国人の方とも、目標設定には、簡単でわかりやすいものを用意するべきと考えるようになりました。頑張っているかではなく、出来たか?出来なかったか?です。
これは単に、売上とか利益とかに直結しないことでもいいと思います。行動管理を単純に数字で表せればOK。そのうえで、お給料が上がったり、下がったりする仕組みを用意しておけば、良いのだと思います。
外国人労働者と聞きますと、どうしても『サボる・辞める・逃げる』みたいなイメージがありますが、全てとは言いませんが、キャリア志向でもある外国人にとって、正当に評価されない=お給料が上がらなそうな職場はさっさと辞めるべきって思ってしまうのだと思います。そして、それを日本人では思いつかない方法で確かめてくることがあります。同僚に各人の評価や給与額を確かめるっていう方法ですね。
こういう特性のある外国人スタッフを管理する日本人側も、こうした考え方をよく理解しておかないと、きっと、退職者が出て、『なんでだろー??』って悩むんだと思います。
これは当社のお客様にもお話していることですが、外国人スタッフを迎えるにあたり、良い機会ですから社内の
・職務の明確化
・評価の透明性
について、ぜひ考えてみてもらえると良いかと思います。
結果として、外国人だけではなく、日本人スタッフにも好影響があると思いますので。では、本日はこのへんで。