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2/22(水)社説

 三菱重工が、国産初のジェット旅客機「スペースジェット」の開発を断念した。理由は、主要市場の北米での需要が見込めず、事業性を見出せないためである。スペースジェットは、航空機を成長産業に育てることを目的に、政府が約500億円も投じた国策プロジェクトと位置付けられていた。しかし、6回もの納期延長や、1兆円近くの開発費超過が発生していた。三菱重工には航空機部品製造の実績があるが、完成機メーカーとしての経験は乏しい。にもかかわらず、この失敗を招いた原因は、自社の能力への過信ではないだろうか。
 一方でホンダが開発した小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」は成功した。ホンダは開発子会社を米国に設立し、事業化の決定から納入までリーダーを代えなかった。三菱重工は愛知県に開発子会社を構えたが社長を幾度と代えていた。
 スペースジェットが失敗に終わり、経済産業省のトップは「極めて残念であり、重く受け止める」と語った。政府は現在、デジタル社会の基盤となる半導体産業の復活を目指している。技術や資金を寄せ集めるだけでは成功は不可能である。官民一体で事業化を目指したスペースジェットの失敗を検証し、今後の教訓としなければならない。

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