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2/27(月)社説

 ロシアのウクライナ侵攻は、ロシアと欧米の対立を激化させただけではなく、途上国と先進国の間に横たわる南北の溝も浮き彫りにした。特に、欧米と南半球の途上国である「グローバルサウス」との温度差が目立つ。ブラジルのビエイラ外相は「戦争のことだけを議論し続けるわけにはいかない」と述べた。
 見過ごせないのは先進国への深刻な不信感である。例えば新型コロナウイルスの世界的流行、気候変動問題において先進国の責任を問う声が強まっている。
 近年では日本を含む先進国は南半球での外交活動に力を入れるようになった。東京大大学院の遠藤教授は「上から目線の押し付けではなく歩調を合わせる姿勢が重要」と指摘する。
 国連で多数を占め、経済園でも潜在力が大きい新興・途上国は、経済面でも潜在力が大きく、国際情勢の流れを左右する力を秘める。現に昨年のG20では、インドネシアが決裂を回避し、ロシアの戦争を非難する決議を全会一致で採択させた。
 ロシアの暴挙に終止符を打つためには、国際協調の立て直しが不可欠である。今先進国に求められるのは、新興・途上国の不信を拭う取り組みである。

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