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宗教二世のわたしの家の鍋は全部アムウェイだった

父は困ってる人を見ると断れない性格だと言っていた。
その影響なのか、実家の鍋は気付いた頃から既にアムウェイの鍋だった。
取っ手がティファールでもないのに勝手によく取れるのでドライバーでネジを締め直して使っていた。
家にある鍋は未だに全て銀色のアムウェイの鍋で、とても焦げ付きやすい。
より一層の母親は料理が下手になった。
煮物しか作らない。焼くと焦げるから。
昼は麺だ。茹でたらできるから。
あとはスーパーの刺身だ。買ってくれば立派な食卓。
そんな主婦生活を30年もずっとあんな狭い家でやっているのだから私には精神異常者としか思えなかった。

アムウェイの鍋の他にもある。
ド田舎で水はそのまま飲めるのに、わざわざ大きな浄水器がついている。これも誰に買わされたのかわからない。
一時期、布団は全部トルマリンという石が入った綿の素材のものになっていた。
1番キツかったのはノニジュースだ。
美味しくもないのに、風邪になるといつも飲まされた。
常に我が家の冷蔵庫の1番目立つ場所にノニジュースが置かれていた。
ノニジュースが終わったと思ったら核酸ドリンクが出てきた。これはとにかく酸っぱくてノニジュースよりマシだったが、進んで飲みたいものでは無かった。

薄々気付いていた。
父は、このような謎の商品たちを買うのだが、自分は売っていないのだ。
つまり断れなくてただ買わされているだけなのだ。

自分が信仰している宗教となにかシンパシーでも感じるのだろうか。
ネットワークビジネスのようなものを引き寄せてしまうのだろうか。
実家に帰れば、家には不必要そうなものが転がっている。
カタログでしか買えないような、一般の小売店で見かけないようなパッケージの生活用品たち。

母親との関係がダメとわかっててそこから目を背け離婚していないことからもなんとなく伺える。
自分の意思が分からない、無視している、考えることを放棄している。

晩御飯が終われば自分の部屋に閉じこもる。
パソコンのオンラインゲームをして、テレビを見て20時には寝る。朝4時に起きてお経を唱える。彼らは今日もアムウェイの鍋で作ったご飯を食べてそんな生活をしている。

冷静に30年も同じ鍋使えるのすご。

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