バンビ(映画)の所感
きっと小さい子が見たら何言ってんだと思うから、あくまで私個人の解釈であることは念頭に置いて欲しい。
◆子供向けのこれをどうして今更見ようかと
ディズニーのアニメは今まで合わなさそうだな…と思い全く見ていなかった。それで長いこと過ごしていた。
でも唐突に知り合いの楽しそうなキングダムハーツ語りを思い出す。
じゃあいいものなんだろうなきっと。
でもディズニーのアニメは数が多いしどれを見たらいいのか。
アラジン?ライオンキング?それともマーメイド?
いやーでも特に思い入れがないのでやっぱり興味ないと言うか…
いや、嘘をついた。私は1作知っている。
小学1年の頃だろうか。図書館で絵本を読んだ記憶がある。
母親が帰らないシーンでそれはもう泣いたのだった。
そう!バンビだ!小学校1年生の感性を信じてこれを見よう。
◆全体的な感想
まず伝えたいのがバンビはジョジョの奇妙な冒険である。あぁ!まって!戻るボタンを押さないで!別に雰囲気は似てない。私はバンビがそれくらい緻密なアニメなんだってことを言いたい。言葉が悪かった。すまない。
ジョジョ5部のメインはギャングの抗争バトルだ。だがその裏で「運命」「結果と過程」のテーマが緻密に描かれ、そしてそれらテーマはジョジョ全体の「人間賛歌」にも繋がっている。
バンビもそうだ。とんすけ達との交流や大切な母との別れを超え成長するバンビが表のテーマだ。だが、ジョジョに負けないほど、それはきっと歴史に残るほど、裏で緻密に描かれるテーマ「生命賛歌」が存在しているのでないかと。
聡明な諸君ならきっと聞こえるだろう、バンビとゴールドエクスペリエンスの生命エネルギーが...!
◆バンビのテーマ?
バンビは繰り返す展開が存在する。意図的に似たようなことが起こっている。
バンビを探す母とファリーン、バンビそして新たなプリンスの生まれるシーン、その他もろもろの世代を超えた展開をさり気に繰り返しつつ、
最後に森の王がひっそりと去るシーン。バンビが次の世代の森の王になると暗に示すラストへ繋がっていくのである。
ある意味冗長だが、これはうまいラーメンは何度食べてもうまいような冗長さだ。何度と食べてもおいしいなら我々はこれを素晴らしいラーメンだと思うのである。
ここでうまいのは煮込まれた鹿肉ラーメン...ではない、そう!生命だ!!
生き生きと森を飛び回る小鳥、世に新しく生まれ出る子供たち...美しく喜びに満ち溢れて描写される生命!
それを四季に乗せて「繰り返し」描写すること即ち、生命が世代を繋ぎ「繰り返す」営みへの賛歌に他ならない!!
みんなもバンビに興味を持って生命の息吹を感じてくれ。
◆バンビから感じる、執念に満ちた描写ポイント
このアニメはそれは生物の描写に定評がある。しかしぼくは動物に詳しくない。なので1つ、自然の描写を推したい。
木々や気象も色濃く執念深く描写されているからこそ生命も際立つ。時に美しく、時に厳しくある自然たちも見所ではないだろうか。
◆嵐の描写
台風や豪雨の時、雨が強くなる一瞬があるだろう。
音にすると「ザァァァ...…ァアアア゛ア゛アアアァァア゛ア゛ア゛ア゛」だ。バンビにはあの雨脚が存在する。伝わるだろうかこの執念。大体嵐といったら「ザアアアアアア」でしょ!
画像では分かりにくいけどここの雨密度のムラほんとヤバいと思った。
また雨上がりまで描写が丁寧で全くぬかりない。(しかもそれが気付かないほど自然に晴れていく!)
聡明な諸君らは雨上がりのバスや教室のムシムシした空気に不快感を感じたことがあるだろう。バンビはそれを嫌味なくらい丁重に美しく描いているので視聴には注意が必要だ。生々しい湿り気を感じても知らないからな。
ごめん嘘だ。別に注意しなくていい。でもそれくらい丁寧だ。
◆雪の描写
聡明な諸君らはゲームの雪が現実の雪じゃないのはご存知かと思う。
なので雪は冷たいものとは分かれど、寒い空気と雪の湿り気までは認識しないかもしれない。だがバンビには寒さを認識しかねない明らかな雪が存在するのだ。
比較のためまずテラリアの雪を見てみよう。
もしかすると寒い。敵キャラがいるのは嫌だが綺麗だから行ってみたいなと思う。歩くと「ザッザッ」と音が鳴る。開発者は多分雪が好き。
まぁその...表現をアニメとドット絵で比べてはいけないのだが手持ちがテラリアだったんだ。すまねぇ。でもいいゲームだぞテラリア。
こっちがバンビ。
絶対寒い。綺麗だが道路にこの量積もってたら行きたくても行けない。
歩くと「グッグッ」と積もりに積もった雪が圧縮されて固まる音が鳴る。効果音の担当は真冬の大雪山で作業したはずだ。高確率で。
せっかくなのでもう1枚バンビ。
ぜっっっったい寒い。行きたくない。ここの動画担当は網走刑務所で作業していたに違いない。
聡明な諸君は時にチョモランマをバイクで駆け巡ったことがあると思う。
私はその時の手足の感覚がなくなり徐々に痛みを覚える寒さを思い出すほどであった。諸兄らもバンビで体温のアーマーを貫通するクソ寒さを感じてほしい。
◆視点の変化
このアニメに宿る生命に気が付くことは出来たが、代わりに母の死をほぼ悲しまなくなっていた。それはすこし悲しいがなにせ私ももう小学校1年ではない。バンビには昔ほど感情移入できなくなっていた。
初めて立ち上がった時、喋った時、知らない人におどおどしながら挨拶するときのことを覚えているだろうか?
もう覚えてないためにバンビのそうした出来事を見て「おなじだ!!」と感じることが難しくなっていたような気がする。あの時同様バンビと目線で「母がいなくなったこと」を悲しむことはできなくなった。
昔の感性が失われたのは少々悲しいが、違うものを得られていたことを私は誇りたい。生命と自然の美しさ新しく感じさせてくれたのだから。
あ、それはそれとしておどおどしながら挨拶するのは今もよくある!!
おなじだ!!
◆あとがき
見た後で知る。キングダムハーツのバンビは重要なキャラではないらしい。鹿だもんね...
それから次弾を探そうと「ディズニー おすすめ ランキング」で検索するも、バンビが中の下くらい微妙な順位の事実を知りちょっと悲しい次第である。確かにテーマがテーマで明示もされないから他と比べられると厳しいのかもな...そうか...
生き物がすごいだけじゃないんだぞ!!!もっと水たまりとか木の幹とかも見ろ!!!リフレインされる生命を感じろ!!!
あと話の大部分が生まれてからのバンビ目線なので子供にも話が分かりやすいはずだ。小学1年生のぼくに誓って言おう。
(ただアンパンマン、シンカリオンやプリキュアには負けるかもしれない。)