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【短編シナリオ】しんけんやっ!!第1話『再会』
☆登場人物
・しん(35)ー銀行員
・けん(35)ーケーキ屋
・やっくん(35)ー保育士
☆あらすじ
高校の同窓会で17年ぶりに再会した三人。
二次会を終え、なんとなくファミレスに入った三人。
それぞれそれなりに充実していた三人だが共通していたのは今の暮らしを変えたいという思いだった。
○ファミレス・店内・深夜2時
窓側の隅っこでくつろいでいる三人。
けんがデザートのパフェに長いスプーンをつっこんでぶつぶつ呟いている。
けん「冷凍のスポンジケーキ…このホイップクリームは脂っぽいからあのメーカーか…」
しん「お~い、けん」
けん「ラズベリーは解凍しきってない…」
しん「ちょっ!けんてば」
けん「ん?」
しん「さっきから何一人でぶつぶつ言ってんだよ」
けん「あぁ、このパフェ、どこにこだわりがあるのか考えてた」
しん「こだわり?」
けん「(メニューを指差して)ほら、これ。季節のこだわりパフェ特大860円てあるでしょ?」
しん「あ、うん…で?」
けん「どれもこれも冷凍食材を解凍したものをただマニュアル通り重ねてるだけのどこにこだわりがあるのかな?って」
しん「(少しひきながら)さすがケーキ屋の二代目…こだわってるなぁ~っていうか細かいなぁ~っていうか厳しいなぁ~」
けん「いや、フランチャイズとはいえメニュー名にこだわりってつけるならそれなりのこだわりはないとね。こちとら全部手作りなのに、こだわりって言えないんだぜ。まぁ、言ってもいいんだろうけどぉ~、こだわってて当たり前っていうかぁ~」
しん「まぁまぁ、けんの言いたいこともわからんではないが、世の中そんなもんじゃん。ねえ?(やっくんの方を見る)」
やっくん、無言で奥の定年前くらいのスーツ姿の男性を見つめている。
おじさんのテーブルにビールの空き瓶がずらり。
しん「今度はやっくんか…、お~い、やっく~ん、聞こえてる~」
しん、やっくんの顔面前で手を振る。
やっくん「くだをまいてるよ。あのおじさん」
しん「酔っぱらいにかかわらないの。あんまりじろじろ見ちゃダメだからね、ね!」
けん「ひとのことばっかり。かわんないよな、しんちゃんさ」
しん「な、なんだよ急に」
けん「だったらその小銭の塔の集団、何?」
しん「え?」
しん、慌てて手元を見る。
テーブルに十円硬貨十枚の塔や同じような百円硬貨の塔が出来上がっている。
しん「わ、あ、あの、これは」
やっくん「職業病だ」
けん「銀行員の悲しいさがだな」
しん「しょうがないだろ!お金をまとめないと落ち着かないんだよ。一円でも違えば一大事なんだぞ。それにお会計、これでぴったりなんだぞ(注文票を見せる)」
けん「今時スマホでピッだぜ」
やっくん「お金、色んな人が触ってて不衛生」
しん「なんだよ、なんとなーくだけど俺がファミレス行かね?って誘った手前、おごらなきゃってこうやって…あ!」
小銭の塔が崩れて辺りに散らばる。
慌てて広い集めるしん、特に誰もいないが謝りつづけている。
やっくん「謝るの上手」
けん「これも職業病?」
しん「違うわ!お前らだって謝るだろ!仕事でミスしたらさ、お客さんに」
けん「まぁ、なくはないけどさ。うちはそんな倍返しみたいな世界じゃないから」
しん「土下座なんかしたことないから」
やっくん「僕、ある」
しん・けん「え!?やっくんが!?」
やっくん「うん。保護者のお母さんに」
けん「保育士ってこどもと遊んでりゃいいのかと思ってた」
しん「けん、それはないだろ」
けん「でも、土下座ってすごいよな。何があったら土下座になるんだ?」
やっくん「保育園の砂場で園児同士がふざけてて、砂をかけちゃったんだって」
しん「うん、それで」
けん「目がぁ~目がぁ~あ~って?」
しん「けん、ふざけるな」
やっくん「うん、まぁ、そんなとこかな。帰る時まで目が痛いの治らなくて。そのお母さんがすごく怒っちゃって。それで」
しん「土下座?それだけで?」
やっくん「ちゃんと見てなかった先生が悪いってことでね。土下座しろって」
しん「モンスターペアレントだ」
けん「モンスト?ゲームじゃん」
しん「モンスターペアレント。信じられない非常識なことでクレームつけてくるお客、いや、じゃなくて保護者のこと」
けん「最初っから日本語で言えよ。だから銀行員はマネーローリングだの」
しん「関係ない。あとマネーロンダリングな」
けん「はいはい」
しん「大変だなー、やっくんも」
けん、自分で自分を指差している
しん「(咳払いして)けんも」
けん「あ~ぁ、なんか面白いことしたいな」
しん、けんの言葉に一瞬表情が真剣になる。
しん「あ、あぁ、そだな」
けん「今から三人でトリオ芸人~!……は、冗談がすぎるけどっと」
しん「(ぎこちなく)あは、アハハ、当たり前じゃーん。何夢みたいなこと言ってんだよー。アハハ。ねぇ、やっくん」
やっくん、また酔っ払いのおじさんを見つめている。
しん「(振り返り)うわ、なんか空のビール瓶増えてる?」
やっくん「すんごいくだ巻いてる」
けん「やっくん、それ言いたいだけ?」
やっくん「……………(照れてる)」
しん・けん「(やっくんてわかんね~)」
酔っ払いのおじさん、歌いだす。
けん「わぁー、やだねー、あーはなりたくないわ」
しん「……」
やっくん「大丈夫だよ、しんちゃん」
しん「?」
やっくん「しんちゃんの愚痴は僕らが聞くから。くだなんかほどいてあげる」
しん「やっくん」
けん「俺も?面倒くせー」
やっくん「(すごい力でけんの肩を引っ張り寄せ)ともだち!」
けん「(少しびびってしまう)も、もちろん」
しん「ともだちか」
酔っ払いの男性、店員にとめられている。
言うことを聞いてくれない男性。
次第に歌声が大きくなる。
店員が店長を呼んでいる。
こちらに向かって謝っている店員。
大丈夫ですよと微笑んで会釈する三人。
しん「なぁ、俺たちまたこうして会おうぜ」
けん「そうだな!楽しかったもんな!やっぱりともだち最高だぜ!」
やっくん「うん」
しん「それにさ………」
けん「何だよ、言えよ」
やっくん「?」
しん「いや、なんでもない」
けん「なんだよー、気になるじゃんかよー」
しん「ごめんごめん!とにかく、また、会おう!な!」
しんの心の声「そして、いつか………」
やっくん、スマホで酔っ払いのおじさんの歌ってる映像を撮っていた。
♪【しんけんやっ!!盆栽のエンディング】
おじさんの歌とつながる(エンディングの歌はおじさんの歌だった…)
そして最後に
フゥン!♪
ーーーーーーーつづくーーーーーーーーーーー
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