”私”という感覚の意外な正体とは? 〜無(最高の状態)〜
苦しむのは自己があるから.
前回の記事では,私たち人間が苦しむのは”私”という意識があるからってことをシェアしました.
じゃあ,「その自己って具体的にはどういうものなの?」,「自己を消す方法はあるの?」って疑問についてこの記事で書いていこうと思います.
この記事も鈴木祐さん著の「無(最高の状態)」を参考して書いていきます.
自己とは
自己とは,私という感覚ってことはわかるんですけど,定義としてはふわふわしていますよね.
どうやら,自己の定義についてたくさんの意見があるそうですが,本書では「自己とは単なる機能の集合体」としています.
自己とは,まるでアーミーナイフのように,ナイフやハサミ,ドライバーなどの道具が集まったようなものにすぎないってことです.
これも進化の過程を考えると,理解できます.
人間はもともと狩猟民族で,進化の過程を通して集団で暮らすようになりました.
集団生活を通して,仲間と助け合って外敵から身を守れるようになり,生活は安全になりました.
一方,食料分配をめぐる争いや,資源を独占しようとする裏切り者の出現など,問題も発生しました.
そこで,人間には以下のような複雑な状況を生き抜くためのスキルが必要になったのです.
他者とうまくコミュニケーションし,自分が裏切られないかどうか予測する力
他者からどう見られているかを予測し,期待されたとおりに振る舞う力
このように人間は”私”を意識しなければならなくなったということです.
しかし,これらはあくまでスキルなので,場面ごとに脳内で異なる機能が起こり,私達があたかも唯一の”私”がいるように思い込んでいるにすぎないとのことです.
つまり,場面によって脳の異なる部分が活性化していて,それを自己として認識しているってことみたいです.
自己は消せるのか
自己とは機能の集合体にすぎない.
その自己が苦しみを生み出している.
なら,自己を消すことができるんじゃないか?って考えるのが普通ですよね.
まず,自己が消えている瞬間ってどんなときでしょうか?ってことを考えていきます.
極度の集中状態に入っているとき
リラックスしているとき
これらの状態では,目の前の出来事と一体になっているような感覚だけがあり,”私”という存在は感じられないと思います.
要は,マインドフルになっているときは自己も消えているってことです.
じゃあ,自己が消えていて困るのか?っていうとそんなことないですよね.
むしろ,集中・リラックスしているときに”私”という感覚があると目の前のことから意識がそれている.
いわゆるマインドレスで目の前のことを楽しめていない状態になります.
自己は消える瞬間がある.
ならば,トレーニングで自己を消すことができるのではないか?っていうことが気になります.
感情を紙に書き出すことで,感情コントロールできることが科学的に認められているのなら,自己も消す方法がありそうです.
具体的な方法について知るために,もう少し本書を読み進めていきます.