無我になるためには? 〜無(最高の状態)〜
「なんであんなミスをしてしまったんだろうか?」
こんなふうに過去のネガティブな体験を思い出して苦しむのは,私たちが痛みに対して抵抗しているからだってことを前回の記事でシェアしました.
苦しみ=痛み×抵抗
なので,この抵抗をやめて,良い行動にしていこう!ってのが前回のまとめです.
ではそもそも,物語が浮かばないように脳をかえる方法はあるんでしょうか?
今回はそんな状態「無我」について書いていきたいと思います.
参考文献はこちらです.
無我とは?
本書でいう無我は,物語が脳に浮かばない状態を指しています.
なにかに没頭しているときには,
「私はダメなやつだ.」
みたいな物語は浮かんでいないですよね.
そんなイメージです.
無我に入るために克服すべき問題と対策法
しかし,無我に入るために克服すべき問題が2つあります.
それは,以下の2つです.
1.物語の自動発生をピンポイントで止められない
2.物語によって行動させられる自分を認識できない
本書ではこれらの対策法2つが挙げられています.
1.停止
2.観察
それぞれ見ていきましょう.
1.停止
これは,脳のリソースをほかのことに使い,物語製造機能を止める方法です.
何か他のことに集中して,脳のリソースを使い切っちゃおう!っていう考えですね.
2.観察
これは,脳内に浮かぶ物語を見つめる作業を指します.
失敗したとき過去のイメージや,なんであんなことをしてしまったんだろうという物語に対して,科学者になったような気持ちで観察してみよう!ってことですね.
停止は物語をとめそうですが,なぜ,観察が自己を消すことに効果があるのでしょうか?
これは,苦しみをこじらせやすい人の脳の構造から説明されていました.
苦しみをこじらせがちな人の脳は,体の感覚データを監視する島皮質,不安や恐怖などの感情を引き起こす扁桃体がDMNに強く結びついているとのこと.
DMNは,私たちが何もしていないときに活動を始める神経回路で,脳が意識的な活動を行わないときに活動しています.
DMNのおかげでいろいろな情報をまとめて新たなアイデアを生むことができるというメリットがあります.
しかし,DMNは苦しみを生む原因であることもわかってきたそうです.
それは,DMNが自分に関する情報を処理する回路でもあるからとのこと.
「将来のことや過去のことを考える」,「誰かと話す」,,,
そのような場面でDMNは激しく活動し,「なんで失敗してしまったんだろう?」「今度のプレゼンで失敗しないだろうか?」などの自分にまつわるネガティブな物
語をつくってしまうんです.
島皮質と扁桃体がDMNがつながっていると,体に異変が起きるたび,内面に恐怖や不安が起こるたびにDMNが自己を立ち上げ,「”私”に問題があるのでは?」というネガティブな物語をつくってしまうんです.
軽い頭痛や不安,同僚が注意されているのをみたときなど,
苦しみをこじらせやすい人は,そんな小さな問題まで「自分ごと」として捉えてしまうっていうことです.
観察のトレーニングでは,体の不調や内面の不安を放置し,そのまま見続けます.
外界の変化を自分ごとにせず,脳内におきたことの1つとして観察するってことです.
すると,使わない筋肉が衰えていくように,島皮質・扁桃体とDMNを結ぶ神経回路が減るようです.
停止が脳のリソースを奪って自己を消そうってのにたいして,観察は自己が生まれる能力を弱体化させるイメージですね.
停止で物語の強度を下げて,観察で物語を現実から切り離す.
これが,無我になるための方法だったようです.
停止と観察のトレーニング
本書では様々な停止と観察のトレーニングが書いてありました.
学んだトレーニングを自分なりにアレンジしてみたので,シェアしたいと思います.
メンタルを整える
停止と観察のトレーニングを行うと,集中力が高まり,過去の嫌な感情を強く感じやすくなることがあるそうです.
そのため,トレーニングの前に心を落ち着けて置く必要があります.
本書の3章にメンタルを整える方法がたくさんのっています.
僕はソーシャルサポートワークをためしています.
ソーシャルサポートワークのやり方は,こちらの記事を参考にしてください.
呼吸瞑想
呼吸瞑想は,停止のスキルを高めるトレーニングの1つです.
手順は以下のとおりです.
1.意識を向ける対称を決める
息が鼻腔を通り抜ける感覚」「お腹が膨らみ,縮む感覚」に集中するなど,細かく決めておく.
2.楽な姿勢をとる
椅子に座るか,あぐらを組んですわるなど,自分がリラックスできる姿勢をとる.
3.肩の力を抜いて腹式呼吸をする
何らかの思考が浮かんだら,なんの判断もせず決めた対称に注意を戻す.
やってみると,呼吸に集中することがいかにむずかしいことかがわかります.
ヴィパッサナー瞑想
ヴィパッサナー瞑想は観察のスキルを高めるトレーニングの1つです.
手順は以下のとおりです.
1.リラックスしてすわり,意識がさまようままにまかせる.
ここが,呼吸瞑想との違いですね.
呼吸瞑想は意識を向ける対象を決めるのに対して,ヴィパッサナー瞑想ではただ観察するという態度をとります.
2.なにかが気になったら,「今〇〇に注意が向かった」と観察する.
本書では,なれないうちは「今注意が切り替わった」などと声に出すことが推奨されています.
僕も体験した感じですと,声に出すと観察の姿勢を忘れにくくなります.
3.事前に決めた時間まで観察を続ける
脳内で浮かんだ物語を「いい・わるい」の判断をしない
もし,判断をしてしまったら,「わたしは「この思考が嫌いだ」という思考が浮かんだ」と言葉にして,再び観察に戻る
ヴィパッサナー瞑想をやってみたんですが,けっこうムズいです.
「今日の勉強はどんな手順でしようか?」,「昨日,なんであんなミスをしていまったんだろうか?」といった物語が次々にうまれて,すぐに観察の姿勢を忘れてしまうからです.
根気強く続けていく必要がありそうです.
最後に
本書には,他にも停止と観察のトレーニングがたくさんのっていました.
手っ取り早く,いろんな瞑想についてもっと知りたい方にはこちらの9章がおすすめです.
無我になるには道のりがながそうですが,本書に書かれているトレーニングを続けていきたいと思います.