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プロジェクトを成功に導くためのドキュメンテーション入門

「プロジェクト、うまく進めたいけど、ドキュメント作成って面倒くさい…」
そう思っていませんか?

実は、ドキュメント作成はプロジェクト成功の鍵を握る、とっても重要な作業なんです!

この記事では、PM初心者の方に向けて、ドキュメント作成の基本から、すぐに使えるTipsまで、わかりやすく解説していきます。
「ドキュメントって難しそう…」と感じている方も、この記事を読めば、きっとドキュメント作成の重要性と、その効果を実感できるはずです。

さあ、一緒にプロジェクト成功を目指しましょう!

本記事は「PM初心者必見!構造化でタスク管理を効率化し、プロジェクトを成功に導く方法」の関連記事です。


なぜドキュメンテーションが重要なのか?

プロジェクトは、まるで航海のようなものです。船(プロジェクト)を目的地(目標)まで導くためには、地図(ドキュメント)が不可欠です。ドキュメントは、プロジェクトの目的、計画、進捗状況などを明確にし、関係者全員が同じ方向に向かって進むための羅針盤となります。

ドキュメンテーションをサボると、以下のような問題が発生する可能性があります。

  • プロジェクトの目的が曖昧になり、迷走する: 航海の途中で目的地を見失ってしまうように、プロジェクトの目的が共有されないと、メンバーそれぞれが異なる方向に向かって進んでしまい、プロジェクトが迷走する可能性があります。

  • コミュニケーション不足による誤解やトラブル: 地図がなければ、航海士同士が互いの位置や進路を理解できません。プロジェクトにおいても、ドキュメントがないと、メンバー間のコミュニケーション不足が生じ、誤解やトラブルが発生する可能性があります。

  • 進捗管理が困難になり、納期遅延や品質低下に繋がる: 航海の進捗状況を把握できなければ、目的地に時間通りに到着できるか判断できません。プロジェクトにおいても、ドキュメントによる進捗管理が不足すると、納期遅延や品質低下に繋がる可能性があります。

今回は私の経験を振り返りながら、プロジェクトにおいてドキュメンテーションがどのような重要性をもつのかということを考察してみます。

ドキュメンテーションとは?

本記事では、「口頭やチャット、メールなどで交わされた情報を、将来参照されたり再利用されることを想定して文書化すること」をドキュメンテーションの定義とします。チャットやメールもここに含めた理由は、その形式で残っていても文脈が欠落していたり、途中に口頭でのやり取りなどに切り替わっていて、断片的にしか残っていないことがあり、情報として完全ではないことが多いからです。

文書に情報を記載する行為は多岐に渡りますが、このプロジェクトにおいて私が重要視するのは、再利用を目的とした情報整理です。むやみにドキュメントを増やすと、かえって混乱を招き、効率性が低下することがあります。

それでは、プロジェクトを成功に導くためのドキュメンテーションについて考えていきましょう。

PM初心者が作成すべきドキュメント

PM初心者が作成すべきドキュメントは、プロジェクトの規模や種類によって異なりますが、一般的には以下のものが挙げられます。
これらはプロジェクトを成り立たせるために必要な情報であり、それが欠けるとプロジェクトが進むにつれて問題が増えていきます。重要性をより深く理解してもらうために、それぞれの情報について、ある時とない時にどのような状況になるのか解説します。

プロジェクト憲章

プロジェクトの目的、方針、計画、制約など、プロジェクトの全体像が把握できる情報です。プロジェクトの立ち上げ時に作成し、関係者全員で共有します。

例:「新規ECサイト構築プロジェクト」のプロジェクト憲章には、ECサイトの目的(売上増加、顧客満足度向上など)、目標とする売上額、サイトの規模、開発期間、プロジェクトメンバーなどを記載します。

プロジェクトの目的
プロジェクトが存在する理由、目指すゴールを示します。プロジェクトの意義や、企業や組織が投資する理由を明確にすることで、プロジェクトの関係者全員が同じ方向を向いて作業に取り組むことができます。

プロジェクトの方針
ゴールへの道筋を指し示し、メンバーの判断基準となります。様々な選択肢がある中で、プロジェクトとしての方向性を示すことで、検討や意思決定を効率化します。例えば、品質を重視するのか、納期を重視するのか、コストを重視するのかなど、プロジェクトの方針を明確にすることで、メンバーは迷うことなく、最適な判断を下すことができます。

プロジェクトの計画
プロジェクトの進捗を可視化し、メンバーが共有するための計画です。タスク、スケジュール、担当者、必要なリソースなどを明確にすることで、プロジェクトの進捗状況を把握し、問題を早期に発見することができます。特に、規模が大きく、メンバーの入れ替わりがあるプロジェクトでは、計画を文書化し、共有することが必須となります。

プロジェクトの制約
期間や予算など、プロジェクトを進める上での制約条件を明示します。制約を認識することで、問題を回避し、よりスムーズにプロジェクトを進めることができます。例えば、納期が短い場合は、タスクを並行して進める必要があるかもしれませんし、予算が限られている場合は、リソースを効率的に活用する必要があります。

これらの情報が文書化されていないとどうなるか?
新しいメンバーがプロジェクトに参加するたびに、口頭での説明が必要になります。説明の頻度が高くなると、 貴重な時間が失われます。特にプロジェクトが炎上している時などは、説明に時間を割く余裕がなくなり、 メンバーに情報が行き渡らず、パフォーマンスの低下や離職につながる 可能性があります。

参考文献に記載した本にも書かれていましたが、優秀な人材でも入社時の研修を丁寧にしないと成果を発揮できないということが知られています。むしろ、そういう人に期待するのはチーム間のコラボレーションを推進したり、横断的な課題を解決することだったりするため、より多くの情報が必要になり、最初にどれだけ情報を正確に伝えられるのかということがその後のパフォーマンスに直接的に影響してくるというわけです。

これらの情報が文書化されているとどんなメリットがあるのか?
プロジェクト概要を文書化することで、 プロジェクト関係者全員が共通認識を持ち、コミュニケーションのロスを減らし、プロジェクトを効率的に進めることができます。さらに、メンバーが全体像を把握することで、 リスクの早期発見や課題の共有が促進され、プロジェクトの成功確率が高まります

プロジェクト内の標準プロセス

プロジェクトを効率的に進めるために、メンバーが従うべき手順やルールを定めたものです。進捗管理、タスク管理、課題管理などのプロジェクト管理に関するプロセスに加え、会議の進め方や意見の対立が生じたときの対処法など、コミュニケーションに関するルールも含まれます。

プロジェクト管理に関するプロセス
進捗管理、タスク管理、課題管理はプロジェクト管理の基礎です。状況を正確に把握し、管理するためには、全員が同じ方法で行う必要があります。そのため、やり方を標準化することが重要です。口頭で説明を聞いても、すぐに忘れてしまったり、正しく理解できなかったりすることが多いため、プロジェクト管理を効率的に進めるには、プロセスを文書化し、具体的な手順まで細かく記載しておくことが必要です。

コミュニケーションルール
プロジェクト管理と同様に、コミュニケーションも標準化が必要です。使用するツールだけでなく、ツールの使い方もルールとして定める必要があります。多くの企業では、メールだけでなく、TeamsやSlackなどのチャットツールも使用しています。チャットツールには、パブリックチャネルやプライベートチャットなど、さまざまな機能があります。チャットツールとメールの使い分け、パブリックチャネルとプライベートチャットの使い分けなど、ルールがないと、各々が自分の経験や感覚で判断してしまいます。その結果、情報を探す際に時間がかかったり、コミュニケーションの齟齬が生じたりする可能性があります。

これらの情報が文書化されていないとどうなるのか?
プロジェクトの生産性が低下し、最悪の場合は混乱に陥る可能性があります。プロジェクト管理に関するプロセスが人によって違うと、状況把握のための情報収集が大変になり、それを1つの報告にまとめることも困難です。その結果、ステークホルダーへの報告の準備に時間がかかり、ミスが発生しやすくなります。

また、コミュニケーションルールが統一されていないと、タスクの取りこぼしや情報の断片化が起こり、常に変化するプロジェクトの状況を把握することが難しくなります。さらに、それぞれが期待する形で情報を得られなくなるため、コミュニケーションに関するフラストレーションが溜まり、不満につながります。

これらの情報が文書化されているとどんなメリットがあるのか?
全員が同じプロセスで進めることで、コミュニケーションミスを防ぎ、管理タスクを削減できます。その結果、より本質的なタスクに注力できるようになり、課題解決のスピードアップやリスクの早期発見・対策といった好循環が生まれます。

議事録・検討資料

プロジェクトの開始から終了まで、数えきれないほどの意思決定が行われます。その内容は大小様々ですが、一度決めただけで終わりではありません。過去の決定が新たな問題を引き起こしたり、課題解決のために過去の経緯を辿る必要が生じることもあります。そのような場合に備え、重要な会議の議事録や、検討中に作成された調査レポートやアイデアなどの資料を保管しておくことが重要です。

例:会議の議題、参加者、各議題における議論の内容、決定事項、アクションプランなどを記録します。

これらの情報が文書化されていないとどうなるのか?
過去の経緯を知るメンバーがいる場合は、その人に確認することができます。しかし、記憶は曖昧になりがち なので、完全かつ正確な情報を得られるとは限りません。調査に時間がかかり、プロジェクトの遅延に繋がる可能性があります。

もし、過去の経緯を知るメンバーが既にいない場合は、過去のメールやチャットなどを集めて、ゼロから調査する必要があります。完全な情報を得ることは困難で、場合によっては再検討が必要 になり、多くの時間を費やすことになります。このような状況はメンバーのフラストレーションを募らせ、プロジェクト全体の士気を下げかねません。

これらの情報が文書化されているとどんなメリットがあるのか?
過去の経緯に簡単にアクセスできるため、問題が発生した際の対応が迅速になります。また、後から参加したメンバーも、現在の状況に至った理由を容易に理解できます。さらに、文書化によって情報を整理することで、問題を早期に発見し、効果的な対策を講じることが可能になります。文書化にはコストがかかりますが、プロジェクト全体のコストとリスクを削減し、成功に貢献します。

成果物

プロジェクトによって、ソフトウェア、デザイン、イベントなど、様々な成果物が生み出されます。成果物だけでなく、それがどのように、どのような考えで作られたのかという情報もドキュメンテーションの対象になります。ソフトウェア開発ではソースコードを見れば現在の状況は把握できますが、「なぜそのようなコードになっているのか」という経緯までは読み解けません。そのため、設計意図や設計方法などの情報も残しておく必要があります。

これらの情報が文書化されていないとどうなるのか?
例えばソフトウェア開発プロジェクトでは、後続の保守・運用が困難になり、振り返りも難しくなります。特に、イベント開催のような無形の成果物プロジェクトでは、情報が残っていないと振り返り自体が困難になります。

プロジェクト単体で見れば一度完結すれば良いですが、多くの場合、その経験を次のプロジェクトに活かすことが組織として重要です。そこから教訓を得るには情報が不可欠であり、文書化がないと得られる教訓の量と質が低下し、本来得られるはずだった投資効果が減少します。せっかくの知見が生かされなくなってしまいます。

これらの情報が文書化されているとどんなメリットがあるのか?
ソフトウェアのように、プロジェクト後に保守・運用が必要な場合、ドキュメントがあれば、保守・運用のコストを削減できます。また、設計者の意図を汲んで改修や機能追加を行うことができるため、判断の質も向上します。

さらに、ノウハウを他のプロジェクトで再利用することで、将来のプロジェクトのコストやリスクを下げ、成功確率を高める効果が期待できます。これは競争力にもつながり、経営上の効果も期待できます。

ドキュメント作成のポイント

ドキュメントを作成する際には、以下のポイントを意識しましょう。

わかりやすくすること

 誰が読んでも理解できるよう、簡潔で明確な文章を心がけましょう。専門用語を多用する場合は、注釈をつけるなどして、理解を助ける工夫が必要です。

正確に作成すること

 情報の正確性に注意し、誤字脱字や内容の誤りがないか、しっかりと確認しましょう。

最新の状態を保つこと

プロジェクトは常に変化するものです。ドキュメントの内容も、必要に応じて更新し、最新の状態を保つようにしましょう。

適切なツールを活用すること

ドキュメント作成には、Word、Excel、PowerPointなどのオフィスソフトだけでなく、プロジェクト管理ツールやオンラインストレージサービスなど、様々なツールを活用することができます。目的に合わせて適切なツールを選び、効率的にドキュメントを作成しましょう。

PM初心者のためのドキュメンテーションTips

テンプレートを活用する

ドキュメント作成に慣れていない場合は、テンプレートを活用するのがおすすめです。インターネット上には、様々な種類のドキュメントテンプレートが公開されています。

先輩や同僚のドキュメントを参考にする

周囲に経験豊富なPMがいる場合は、その人が作成したドキュメントを参考にさせてもらうのも良い方法です。

ドキュメンテーションの時間を確保する

ドキュメンテーションは、プロジェクトを成功させるために必要な作業です。プロジェクト計画の段階で、ドキュメンテーションの時間をしっかりと確保しておきましょう。

まとめ

この記事では、PM初心者の方に向けて、ドキュメンテーションの基礎知識と具体的な作成方法を解説しました。
ドキュメンテーションは、プロジェクトを成功に導くための重要なツールです。
適切なドキュメントを作成することで、次の効果が期待できます。

  • プロジェクトの目的や目標を明確化し、メンバー全員の認識を一致させることができます。

  • コミュニケーションを円滑にし、誤解やトラブルを防止することができます。

  • 進捗状況を正確に把握し、リスクを早期に発見することができます。

  • プロジェクトの成果物を明確化し、品質を向上させることができます。

さあ、今日からドキュメンテーションを実践してみましょう!まずは、簡単なドキュメントから作成し、徐々に複雑なものに挑戦していくことをおすすめします。

この記事で紹介した内容を参考に、プロジェクトを成功へと導いてください!

参考文献

・「GitLabに学ぶ世界最先端のリモート組織の作り方」(千田和夫著)
・「Gitlabに学ぶパフォーマンスを最大化させるドキュメンテーション技術」(千田和夫著)


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