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術後54日目、化学療法2回目・4日目 「変わりゆく自分を見つめて——心と体の揺らぎの中で」
眠剤の効きはいまひとつ。肩関節が痛む。吐き気は前回よりはマシとはいえ、気分のいいものではない。
夜になると、痛みは一段と増す傾向がある。昼間はなんとか耐えられても、静まり返った病室で襲ってくる痛みは、身体だけでなく心まで削っていく。
便秘でお腹は張り、夕食はほとんど喉を通らなかった。看護師さんに頼み、夜に浣腸をしてもらう。こんな小さなことでも、もはや自力ではどうにもならない自分の身体が、もどかしく、悲しく感じる。
「変化する身体、変わらない心」
主治医に確認すると、ポート手術の内出血が消えるまで3ヶ月かかると言われた。
3ヶ月。
それまで、この痕は消えない。
お腹の手術痕、脱毛で変わり果てた頭、そして、ポートの内出血――鏡を見れば、そこに映るのは「かつての私」ではない誰か。
つい数ヶ月前まで、こんなにも自分の姿が変わることを想像すらしていなかった。
「病気になったから」「治療をしているから」――頭では理解している。
でも、心がついていかない。
心理学には「ボディイメージ〜自分が認識している「自分の身体」〜」という概念がある。現実の身体とのずれが大きいと、人は強いストレスを感じる。
まさに、今の私はそのギャップの中にいる。
知識としては知っていた。でも、悪い夢の中にいるみたいに、自分の身体を認められない苦しさは想像以上だった。
変化に適応するには時間がかかる。
頭ではわかっているのに、鏡を見た瞬間、心が追いつかずに引き裂かれそうになる。
「これは私なのか」
この問いに、まだ答えを出せないまま、私は今日も病室のベッドに横たわる。
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