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術後58日目 化学療法2回目・8日目 「療養生活の終わり、そして母との時間」


この一週間は、職場復帰の準備 に追われた。
退院日に職場へ連絡を入れ、月末の繁忙日を考慮して昨日のうちに挨拶を済ませた。

傷病手当金の申請も、実際の手続きは復職後になるが、進められる部分はすべて対応。

気づけば、「療養生活」も今日で終わり だ。
長かったようで、あっという間だった時間。

不安や痛み、葛藤の中で、それでも得られたものがあった。
そのひとつが、母と過ごした時間 だった。

「母と過ごす、静かで贅沢な時間」
療養中、平日の昼間に母とゆっくり過ごす——
そんな時間は、これまでほとんどなかった。

働き始めてから、平日に家にいることなんてなかったし、
ましてや、母と二人でのんびり過ごす なんて想像もしていなかった。
けれど、療養生活がそれを可能にした。

母は足が悪く、外出をためらうことが増えていた。
特にコロナ禍では、外食もずっと避けていた。
「平日なら空いてるし、大丈夫だよ」
そう声をかけると、久しぶりに一緒に外食へ行くことができた。
たわいもない会話をしながら、静かに食事を楽しむ時間。

「こんな日が、もっとあってもよかったのかもしれない」
そんな思いが、ふと胸をよぎった。

「編み物がつなぐもの」
母は昔、裁縫や編み物が得意 だった。
でも、近年は手の不調もあり、長らくその趣味から離れていた。

私が療養中、気まぐれに編み物を始めたのを見て、
母は自然とその手を動かし始めた。
「こうすると、もっと編みやすいよ」
そう言いながら、昔のように毛糸を手に取る母。
私が手を止めると、そっと手伝ってくれた。

ほんのささいなことだけれど、
母の指先に宿る、かつての器用さを見た気がした。

こうして過ごした日々も、
きっといつか、懐かしい思い出になるのだろう。

「終わりと、始まり」
療養生活の終わりは、もう戻れない時間の終わり でもある。
この日々があったからこそ得られたものが、確かにあった。
そして、明日からはまた、新しい時間が流れていく。

療養の日々を振り返ると、決して悪いことばかりではなかった。

それでも、前へ進まなければならない。
明日から、また新しい日常が始まる——。
 
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