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術後16日目──職場へ、診断結果を伝えに
久しぶりに車のエンジンをかけると、わずかに違和感があった。たった3週間なのに、運転そのものが少し遠い記憶のように感じる。
通い慣れた通勤路。田舎道の風景は、確実に季節が進んでいた。
先月まで青々としていた畑には、すでに収穫を終えたかぼちゃの跡が広がり、整えられた土が新たな作付けを待っている。
職場に向かう道すがら、ふと思う。
「化学療法をしなければ、来週あたりから復帰できただろうか。」
でも、その未来はもうない。再発のリスクを考えれば、治療を選ばないという選択肢はなかったのだから。
会社に着くと、懐かしさよりも「第三者になったような感覚」が先に立つ。
籍はある。でも、今の私はここにいない。
お昼前のオフィス。朝の慌ただしさが落ち着いた時間帯で、少しだけホッとする。
取締役に診断結果と今後の治療スケジュールを伝える。状況次第で4カ月ほど休職する可能性があること、傷病手当金を申請する予定であることも話した。
会社には、すでに何人かのがんサバイバーがいる。彼らが治療のために休むとき、職場では仕事の割り振りが行われていた。
それを見て、「そういうものか」と思っていた。
──まさか、自分がやってもらう立場になるとは。
今の時代、がん治療と仕事を両立する人も増えている。私も、そうなれるだろうか。
長期の休職を決めたものの、復帰のことを考えずにはいられなかった。
時間を見つけて、同じ経験をした人たちに話を聞いてみよう。
「これから」の道を少しでも見通せるように。
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