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術後51日目 - 化学療法2回目・1日目 「2度目の化学療法と、スローライフの朝」


2回目の化学療法が始まった。
病院の朝は、ゆったりと流れている。朝食が運ばれてくるのは8時過ぎ。仕事をしていた頃なら、すでに職場に着き、始業前の準備をしている時間だ。それを思うと、このスローな朝はどこか現実離れしているようにも感じる。しかし、人間は環境に順応する生き物だ。最初は違和感のあったこのリズムにも、今ではすっかり馴染んでしまった。

心理学では、変化に適応する力を「レジリエンス(精神的回復力)」と呼ぶ。環境が変われば、最初は戸惑いや不安を覚えるが、人は少しずつ新しい日常に慣れていくものだ。かつての忙しない朝を懐かしく思う一方で、今の穏やかな時間に心地よさを感じている自分がいる。そのことに気づいた瞬間、少しだけ驚いた。

点滴を受けながら、AI系のオンラインセミナーを受講する。学ぶことは楽しい。新しい知識を得ることで、自分が社会とつながっている実感が持てる。この病室にいながらも、外の世界との接点を持ち続けることができるのだ。
しかし、途中で薬の影響がじわじわと効いてきた。まぶたが重くなり、意識が遠のいていく。抵抗しようとしても、体は正直だ。

「睡眠は、心と体を修復する時間」——そう頭では分かっていても、何かをしていないと不安になる自分がいる。だが、今は流れに身を委ねよう。そう思った瞬間、心がふっと軽くなった。

静かな病室で、点滴のリズムに合わせるように、ゆっくりと眠りへと引き込まれていった。


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