見出し画像

男と女どちらが幸せか?

男性と女性は違う。男性はなかなか女性の気持ちが分からないし、女性は簡単には男性の思いが理解できないといいます。夫婦でもお互いの考えが理解できなくてすれ違うことも多いですし、仕事面でも異性の目線に寄り添うのが苦手という人は少なくありません。

つい先日発表されたいわゆる平均寿命の最新データでも、部分的にはコロナの影響を受けているとはいうものの、男女の傾向の違いにはやはり大きな変化はみられないようです。平均寿命自体はここしばらく男性よりも女性の方が6年ほど長いという傾向が続いていますが、これは統計上の誤差というよりは何らかの男女の心身の仕組みやライフスタイルの違いが反映されていると考えられると思います。

男女をめぐる古典的な問いがあります。そもそも人生、「男に生まれた方が幸せなのか?」はたまた「女に生まれた方が幸せなのか?」。こんな素朴な問いに対して、かつては「男に生まれた方が幸せ」だと考える人が男女ともに多かったのですが、ある時期からは顕著に変化が起こり、今では「女に生まれた方が幸せ」という人も相当多いです。

しばしば雑誌などの出産・育児特集で「子どもを産むなら男の子がいいか?女の子がいいか?」といった問いかけがあったりしますが、昭和の昔なら後継者として将来を期待できる男の子に恵まれたいと考える人が多かったものの、今では母親目線で、育てやすくいつまでも友達感覚で仲良くできる女の子の方がいいと考える人も少なくないようです。

以下に代表的な2つの統計を紹介します。世界価値観調査の「幸福度の男女差の推移」と国民性調査の「男・女の生まれ変わり」です。


世界価値観調査は、男性と女性それぞれが「非常に幸せ」「やや幸せ」と回答した人の合計の割合を示したものですが、日本の場合は幸福度自体は上昇している傾向にありますが、男性よりも女性の方がより高い幸福度を感じているという傾向は変わることがなく、男女差はおおむね5から8ポイントで推移しています。


国民性調査は、今現在に感じている幸福度ではなく、もし生まれ変わるとした男性と女性のどちらに生まれてきたいかを尋ねたものですが、調査開始以来、女性よりも男性と回答した人が多いのは変わりませんが、その差は調査を重ねるごとに確実に狭まっており、1953年には男76:女17だったものが、2013年には男52:女41にまで迫っています。この調査は2013年までしかないために最新状況を知ることはできませんが、おそらく現在実施したら男女ほぼ同率か女性が男性を逆転しているのではないかと思われます。

もちろんこれ例外にもさまざまな民間機関やメディアなどがそのときどきの時代や関心に合わせて調査などを実施していますが、日本の場合、男性よりも女性の方がより幸福度を感じる傾向が強まっているという流れ自体はおおむね変わらないようです。もちろん、だからすなわち男性が不幸で女性が幸せだという短絡的な発想をすることはできませんが、日本においてはとりわけ男性の生きづらさや閉塞感が現在的なテーマとして拡大しつつあるのは間違いないでしょう。

女性の社会的・経済的地位の向上が国策として推進される中で、より本質的に女性の活躍が後押しされるためにも、一方で男性がどのような状況にあり、どのような課題を背負っているかという点についても、社会全体としてきめ細かく目配せしていく必要があるのではないかと思います。


学生時代に初めて時事についてコラムを書き、現在のジェンダー、男らしさ・女らしさ、ファッションなどのテーマについて、キャリア、法律、社会、文化、歴史などの視点から、週一ペースで気軽に執筆しています。キャリコンやライターとしても活動中。よろしければサポートをお願いします。