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香港上場の中国不動産大手03333中国恒大の2020年中間決算におけるネガティブアラートについての注意点。

8月も半分を過ぎてアメリカ市場も香港市場も決算が本格化し、決算結果に一喜一憂の日々が続いてます。

昨日(8月15日)に中国大手不動産企業の03333中国恒大集団が香港証券取引所に2020年中間決算のネガティブアラートの広告を出しました。このニュースを受けて今日は11.42%の株価下落でした。


中国恒大集団:2019年の不動産販売額は6,080億人民元(日本円で約9兆円)の中国で販売額3位の大手不動産企業。保有開発用地の自己権益割合が非常に高いので実際の実力を示す販売額の権益ベースで見ると世界一の不動産企業。

具体的に分かりやすくいうと不動産販売額1位の碧桂園は7,715.3億人民元を販売しているが7,715.3億人民元のうち碧桂園の取り分は約71%の5,477.9億人民元で残りの約29%の2,237.4億人民元は共同出資企業などの取り分になる。中国恒大集団は6,080億人民元の販売額の約95%の5,782億人民元が取り分となる。

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さて、この中国恒大集団については昨年8月の中間決算で違和感を感じ今年3月の期末決算の前のネガティブアラートを見て全株売却して今は全く保有していない。代わりに勢いのある不動産販売額4位の01918融創中国に現在集中投資をしている。

さて、今回のネガティブアラートの内容を見てみると          コア純利益が前年同期比約37%減の193億元、純利益が約46%減の147億元となる見通し。主因は新型コロナウイルスの影響で値引き販売を実施し、営業費用が膨らんだこと。為替差損と新エネルギー車を手掛ける子会社の損失も業績を圧迫した。

20年6月上半期の業績は19年下半期との比較では改善し、コア純利益が86%増、純利益は2.3倍に達する見込み。


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純利益は2019年中間決算の270.6億人民元から約46%減の147億人民元の予定でEPSの元になる股東應佔利潤が149.2億人民元からどうなる予定かは発表はされてないが同程度の減少が考えられる。仮にEPSを46%の減益で計算すると前年EPS1.136人民元からEPS0.61344人民元に減少することになる。


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さて今回の発表で注目なのは後半部分の「20年6月上半期の業績は19年下半期との比較では改善し、コア純利益が86%増、純利益は2.3倍に達する見込み。」                                をどう捉えるかだ。一見して見るとコロナの特殊要因で一時的な業績の落ち込みが重なり大幅減益だが、2019年下半期からは業績が回復していて心配はないと捉えることができてしまう。

今回の記事はこの企業側の印象操作に騙されるなという意味を込めて書いてみた。これは中国恒大集団だけでなくいろんな企業に当てはまることだが企業の発表を受けてそれを精査しないで保有を続けると将来痛い目を見ることがあるので注意が必要だということ。


中国恒大集団の過去3年の中間決算と本決算の推移は以下の通り

2017年中間決算 EPS1.4人民元                    2017年本決算  EPS1.833人民元(下半期0.433人民元)        2018年中間決算 EPS2.338人民元                   2018年本決算  EPS2.849人民元(下半期0.511人民元)        2019年中間決算 EPS1.136人民元                   2019年本決算  EPS1.315人民元(下半期0.179人民元)

今回のネガティブアラートはわざわざ2019年下半期の純利益と今回の2020上半期の純利益を比較しているが上記のように中国恒大集団は下半期の純利益が上半期の純利益に比べると極端に悪い企業だということ。前年の下半期と比較したらどの年も大幅なプラスになるのだ。

通年のEPSの中で下半期のEPSが占める割合は2017年が23.6%、2018年が17.9%、2019年が13.6%となっている。仮に2020年下半期のEPSが2020年通年のEPSの20%くらいだとすると                                                                X(2020下半期EPS):0.613(上半期予想EPS)+X=20:100          で求めるとX(下半期予想EPS)は0.153525となります。通年の予想EPSは0.76625人民元となる。

この予想EPSを元に中国恒大集団の2020年8月17日終値の株価(19.84HK$)でPERを出してみる(1人民元=1.117212HK$でレート計算)。

PER=23.069......   約23倍

ちなみに自分が保有している販売額4位の融創中国の2019年本決算のEPS5.99人民元を元に現在の株価(36.5HK$)でPERを出すと

PER=5.4519...... 約5.45倍

しかも大手金融機関や地場証券会社の予想では2020年の融創中国の業績は増益が予想されている。コロナの影響があり業績がまだ不透明なところがあるが両者の差は歴然です。

そして今回の減益の原因を中国恒大集団はコロナのせいにしているが不動産企業の性格上、不動産契約時に手付金を払いローンを組んだり現金で払ったりするのだがメインのお金の支払いが完了するのは建物の竣工後になりその時に売り上げに計上されるため不動産会社の販売実績と業績にはタイムラグが生じる。                              つまり今回の決算が悪いのはコロナの値引きの手付金によるものなんて金額が少なくあまり影響はないはずで1年半〜1年前に販売したものが竣工されて計上されたものや人件費などの単純なコスト増と中国恒大集団が推進している新エネ車へのコストによるものが大きいと思われる。         裏を返せば値引きの影響は1年後や1年半後くらい中国恒大集団に大きく影を落とす可能性があるということ。未来の決算がさらに悪くなる可能性をひめている。

もちろん中国恒大集団の株価には新エネ車への投資への期待もあると思われるが新エネ車がコケたらという大きなリスクはあり、もし新エネ車部門でいいニュースが流れなければ現状はまだいいが来年3月の本決算で業績の悪化が鮮明になりそこでようやく気づいて大暴落する可能性が高いのかなと思っている。

新エネ車に期待するのなら子会社の方の00708恒大健康産業に投資した方がリターンが大きいだろうし、不動産企業として中国恒大集団の株価は高すぎる気がする。


中国恒大集団の新エネ車への投資については以下に記載

許家印会長が最近力を入れてるのが新エネルギー車関係への投資です。

・2018年6月にファラデーフューチャーへの出資

・2018年9月中国でロールスロイス、フェラーリ、マセラティ、ポルシェ、BMW、アウディなど高級車の販売を手がける広匯汽車服務の親会社に2400億円を出資して40.964%の株式を取得。

・2019年1月サーブの親会社でもあるスウェーデンのEVメーカー「ナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン(NEVS)」を9億3000万ドル(1000億円)で買収し、併せて業務拡大資金として11億ドルを投資。

・2019年1月車載電池メーカーの上海カ耐新能源(CENAT)を170億円で買収。

・2019年1月スウェーデンのスーパーカーメーカー「ケーニグセグ・オートモーティブ」に買収したばかりのNEVSを通じて1億5000万ユーロ(187億円)出資しケーニグセグ親会社の株式1157株を取得、同時にNEVSとケーニグセグと合弁会社を設立、出資比率はNEVS65%、ケーニグセグ35%でNEVSの出資額は1億5000万ドル(164億円)。

・2019年4月傘下の恒大国能新能源汽車(広東)有限公司が広東省広州市南沙区の工業用地を落札。落札価格は総額8億4700万人民元(約140億円)。土地面積は85万8100平米、建築面積は257万4200平米。

・2019年5月NEVSを通して英プロティアン(Protean)を買収。買収したプロティアンは、車輪ハブ内に電気モーターを搭載する「インホイールモーター」技術で世界トップクラスの企業。買収額は不明。

・2019年6月広東省広州市、遼寧省瀋陽市に生産拠点を新設する計画が明らかになった。投資規模は合計で2800億人民元(約4兆3900億円)。

・2019年7月電気自動車(EV)向け充電インフラ事業に参入。国営の送電サービス会社、国家電網有限公司と折半出資の新会社を設立。共同で充電スタンドの建設、運営、販売などを手がける。

・2019年9月恒大新能源汽車は傘下の研究機関「全球研究総院」を通じて、世界9カ国に展開する拠点でNEV(新エネ車)関連の専門家・技術者8000人を招聘すると発表した。募集するのは中国、スウェーデン、ドイツ、英国、オランダ、オーストリア、イタリア、日本、韓国の拠点で車両、電気系統、動力バッテリー、自動運転、コネクテッドカーなどに関する技術開発を行う人材。

・2019年11月新エネ車の分野で国内外の部品メーカー60社と戦略提携し、向こう3年間で450億人民元(約7000億円)を投じる計画を発表。初の自主ブランド車となる「恒馳」は、2020年上半期にお披露目する予定で、21年の量産化を計画。生産規模は5~10年後に100万台、10~15年後に500万台へと拡大していく予定。
恒大集団は「買収」と「提携」を通じ、新エネ車業界でのプレゼンス向上を目指し、バッテリーなどのコア技術については、買収により獲得する方針。また、エンジニアリング技術に関しては、ドイツのFEV、EDAG、IAV、オーストリアのAVL、カナダのマグナ・インターナショナルといった世界的な企業と戦略提携している。部品の供給面では、ロバート・ボッシュ、コンチネンタル、ZFフリードリヒスハーフェン、ティッセンクルップ、ジェイテクトなどと戦略的提携関係を結んだ。

・2019年11月スウェーデンの高級車メーカー、ケーニグセグとの合弁で年間1000台のスーパーカーを生産することを発表。

・2020年3月コロナ禍の中NEV部門と不動産部門で合計3万人の専門人材を募集。NEV部門では、総経理や副総裁などのマネジメント人材や、技術スタッフなど83職種を募集。就業地は広州、深セン、上海、天津など。

こんな感じで物凄いスピードで自動車関係への投資を加速しています。


その中でファラデーフューチャーについては微妙な関係

ファラデーフューチャーについて知らない人が多いかもしれません。以下がホームページです。

Experience a New Species | Faraday Future"We endeavor to make modern life more connected, more intuitiwww.ff.com

2014年に中国人企業家ジア・ユエティン(賈躍亭)がアメリカのカリフォルニアで設立、テスラ出身の技術者を集めてテスラをライバルとした高級路線のEVを開発。

2017年に量産EVのFF91を発表。注目されテスラキラーと呼ばれる。(FF91は今回エヌビディア の「DRIVE AGX Xavier」を導入を発表したEVです)。FF91の性能面は1050馬力で航続距離約600km。加速性能はEVでAWDという利点こそあるものの、0-60mph加速はメーカー公称値で約2.39秒となっており、ガソリンエンジン搭載車ならランボルギーニやフェラーリ、ブガッティなどといったスーパーカー並の性能です。同じEVではTesla Model S P100DのLudicrousモードで計測した2.4秒(英BBC TopGear調べ)とほぼ同等の数値(0.1秒速く、テスラをめちゃくちゃ意識している)。

2017〜2018年に創業者のジア・ユエティンの香港上場企業の不調で財政難に陥り、当初2018年末に発売予定だったFF91が暗礁に乗り上げる。

2018年8月中国の不動産大手の恒大集団が20億ドルを出資を発表し、45%の筆頭株主となる。

2018年8月中国の広州市に、恒大法拉第未来智能汽車(中国)集団(恒大FF)を設立。

その後、恒大集団とファラデーフューチャーで金銭トラブルとなり創業者のジア・ユエティンがアメリカで訴訟して裁判沙汰になる。

2018年12月に両者が和解。

8億ドル(当初20億ドルを出資するとしていた)を出資した恒大集団に32%のファラデーフューチャーの優先株式とファラデー香港の株式100%と中国におけるファラデーフューチャーの全資産を保有(自動車に関する知的財産権は含まれない)が認められ完結し残りの12億ドルの出資はなくなった。

創業者のジア・ユエティンは出資された8億ドルを返す必要がなくなり、5年以内に恒大が保有するファラデー株32%を買い戻すことができる。

その後あまり情報がなく倒産したかなと思っていたのですが、今年の1月にラスベガスで開催されたCES2020のメインホールにFF91のコンセプトカー2台が乗り付けられて注目を浴びました。

2020年5月15日、ファラデー・フューチャーがNVIDIAとの長期的な戦略的パートナーシップの締結を発表した。NVIDIAはファラデー・フューチャーに対し、自動運転の分野で製品と技術に関するサポートを継続的に提供する。

下に最近のFF91についての写真付きの記事がありますが超高級路線で中国人に受けそうです。既に6万台の予約が入っているみたいですが、前金なしの予約も含まれていて実際どれだけ売れるのかは不明です。その前にいつになったら製品化されて販売できるのかというのもありますが・・・。

倒産したと思われていたEVベンチャー、ファラデーが市販モデル”FF91”の高級な内装を公開。モニターの数はなんと全部で11個この記事のもくじ1 | モニターの数よりも「発売できるのかどうか」が疑問だ |1.1 液晶ディスプレイの数は全部で111.intensive911.com

恒大集団とファラデーフューチャーの関係は裁判沙汰もあり、はっきり言って微妙な状態ですが中国での販売網などやファラデー香港など無関係ではありませんがいまいち関係性は分かりません。


終わりに

今回は企業側の発表で企業側に都合の良い解釈などがあり、注意が必要だということで記事を書きました。

僕個人としては中国恒大集団の業績には注意が必要だという考えで特に来年の本決算や本決算に関わるネガティブアラートがでた時に暴落を起こすのではという考えですがあくまで予想で予想を裏切る結果が出る場合も多々あります。                                こういう考え方をする人もいるんだなぁくらいに思っていただければ幸いです。そして実際の投資は自分自身の判断や決断のもとでおこなってください。投資の世界は自分の判断や決断がリターンに直結しますから自分自身の責任で売買やHOLDをしてください。よろしくお願いします。

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