日本人が世界で輝くために何が必要か?
渡米前に決めていたことが一つあった。それは、どの授業でも最初に「発言する」ことだった。日本人は控えめな態度を美徳とし、そのために行動が遠慮がちになることが多い。しかし、留学中にこの「弱さ」を克服し、積極的に自己表現することを自分の目標にした。
ある統計学の授業で、意を決して最初に質問した瞬間、教室中のアメリカ人学生たちの視線が一斉に自分に向かい、緊張感が一気に高まった。しかし、その後の経験から気づいたことがあった。アメリカ人は確かに発言が多いが、その内容が必ずしも深いとは限らない。一方で、日本人の発言は、問題の本質を捉え、核心を突くものが多い。
帰国後、異文化コミュニケーションを学ぶ機会があり、アメリカの「ローコンテクスト文化」(状況や文脈よりも言葉で全てを明示する文化)と、日本の「ハイコンテクスト文化」(文脈や状況から情報を汲み取る文化)の違いを深く理解することができた。アメリカではすべてを明確に言葉にするが、日本では行間を読み取る、察するという文化が重要視される。
しかし、国際的な舞台ではその日本的なコミュニケーションは通用しないことが多い。実際、日本のコミュニケーションスタイルは、世界的には「マイノリティー」に属することを自覚する必要がある。この点に関しては日本の常識は、世界では非常識だ。だからこそ、日本人にはその特有の強みを活かし、核心を突いた発言を自信を持ってしてほしいと強く思う。