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映画トラペジウムは評価二分されそうな作品だったので個人的解釈と感想

Xに投稿した感想ポストを読みやすくまとめたものです
(加筆あり)


物語の視点、本筋を見誤らないための注意点

基本的に東ゆうの一人称視点で描かれるので細かな表現描写から読み解かないと理解しにくい部分はある

アイドルを目指す4人の群像劇ではなく、
東ゆうだけがアイドルになりたいと願っていて、
その夢を叶える過程で集めた他3人が描かれている

「アイドルを目指す少女”達”の物語」ではないということ
4人全てがアイドルを目指すという同じ目標を持っているわけではないこと
トラペジウム=不等辺四角形、オリオン大星雲の4つの星団
4人がそれぞれ持っている星や、目指す先にあるものは違うということ

東ゆうにとって目指す先はアイドルになること

一人称視点で描かれる作品だからこそ、
東ゆう以外の3人の心理描写を節々の言動、行動から
推測しなければならないが、
そのあたりの細かな描写はされている様に思える
しかし、物語のアクションとして描かれないので、
注意して見たほうが良い

東ゆうの過去、OP映像から読み解ける背景

東ゆうがアイドルを夢みるきっかけとか、
オーディション全落ちしてセルフプロデュースでアイドルを目指すところとか、
全てOP映像見るとわかる

わかりやすい解釈されてる方おられたのでお借りします↓↓↓


方位磁針が落ちて割れる(進む方向を見失った)ところとか、
3羽の鳥が同じ方向に飛んでそれについていく1羽(進むべき道を示している)とか
OP映像すべてが物語を解釈する要素として見ることができる

東ゆうはアイドルに狂信的である

東ゆうがアイドルに執着するのはまるで
宗教に救いを求めて狂信的になる様で、
アイドルになることでいろんな人を笑顔にできるものだと信じ、
そのアイドルになれることは神になることと同義で
素晴らしいことだと思い込んでる

だから東ゆうがアイドルになる為のセルフプロデュースで獲得した
東西南北(仮)が上手くいきだして
くるみ、蘭子、美嘉が限界を迎えた時に
東ゆうは「こんな素敵な職業ないよ」って言ってる
この時点で東ゆう自身も壊れてきている描写が見える

東ゆうは他人を踏み台にしてアイドルになる夢を叶えるやべー人物ではなく、
東ゆうはアイドルになることが救済だと思ってるから
「私はみんなをアイドルにしたい。そのためのきっかけを作りたい」
と本心を語ってる場面から読み解ける

東ゆうにとってかわいい女の子がアイドルになりたいと思うのは当然であると考えているから、
アイドルになれる素質のある3人を集めたことはきっかけを提供したに過ぎない
今よりも良い未来に3人を連れていけると信じ込んでいる(東ゆうによる他者救済)

アイドルは集合体であると認識しているから
アイドルユニットを自分で作り出して
その上でアイドルになる夢を叶える計画


しかし、アイドル活動をする中で、
東ゆう本人も目指していたアイドル像に辿り着けず苦悩している
それでもアイドルを続けることで光が見えると信じていることが、
「慣れていけばきっと楽しくなっていく」
という発言から推察できる

アイドルに対して狂信的だからこそ、
東ゆうすらも壊れてしまい、
結果的にユニット解散へと至る

OP曲「なんもない」の歌詞から物語を読み解く

OP曲の「なんもない」の歌詞から、

「みっともないくらいなりふり構わず駆け巡ってこれが正しいと飲み込んだ」
→アイドルになることが救いだと信じている

「あの一等星はハリボテだとっくに気づいてたでも進んでいた」
→アイドルになって忙しくなってもあの日夢見たアイドル像に至らないが、進むしかない

「なんでみんなみんなみんなみんな諦められるんだろう」
→アイドルになりたいと願うのが普通だと信じ、他人との熱量の差が感じられる

多少強引かもしれないが、OP曲とストーリーの親和性が高い

アイドル信仰の崩壊と、それぞれの未来

東ゆうのアイドルに対する認識と、
くるみ、蘭子、美嘉のアイドルになることに対する熱量の乖離から
ユニット解散することで、
東ゆうは自分の過去の言動行動を見直すきっかけとなる

アイドルを狂信していたからこそ、
手にした歪なアイドル人生は崩壊し、
叶えた先にあった進むしかない状況から抜け出した
立ち止まってこれまでのこと、アイドルになる夢について考え直した
その末、東ゆうにとってアイドルは目指す方向だが、
くるみ、蘭子、美嘉にとってはそうじゃないと気づいた

東ゆうは狂信的で間違ったアイドル信仰を抱えていて、
良くも悪くも周りに影響を与えていた

人として間違ってしまったことから普通の未来を考えるようになり、
後にそれぞれ進む道が違うとしても、
東ゆうはその失敗を糧にしてアイドルになろうとする

狂信的なアイドル信仰についての反省であって、
アイドル信仰の消滅ではない
アイドル信仰の崩壊により、
正常なアイドル信仰に変化する
ユニット解散後、アイドルを諦めたわけではなく、
アイドルを夢見ていることに変化はない

東ゆうは劇中でとんでもないサイコに見える様に描かれてるように見えるが、
実際は狂信的なアイドル信仰によるものであり、
それは夢を現実にするほどの力があった

正しいやり方ではなかったかもしれないが、
夢を現実にする、何かを変えようとするためには
あれほどの貪欲さと努力ができる者じゃないと辿り着けないだろうから、
東ゆうがどうしてその行動を取ったのか細かく考えると面白い

くるみ、蘭子、美嘉は東ゆうに巻き込まれて振り回されたけど、
あの日輝きを手にした経験は忘れられるものではなく、
また、その過程で自分自身が大切にしていること(=それぞれの星、光)が明らかになる
それを糧に自分自身が進む道に光を与えられたからこそ、
最後、東ゆうに対して恨みではなく、
良き友達として接しているように思える

終わりに

単なるアイドルアニメではなく、
夢を叶えるために貪欲に努力して
その光を掴んだ先の苦しさまで描写している作品
物語構成はちゃんと型にはめた上で、
割と尖った作品になってるなという印象

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