お種伝説が伝わる「多鯰ヶ池弁天宮」
弁財天と白蛇の化身お種さんを祀る神社
多鯰ヶ池弁天宮は鳥取県鳥取市福部町の多鯰ヶ池の湖畔に鎮座しており、弁財天とお種伝説の白蛇の化身お種さんを祀っています。弁財天や白蛇の神様をお祀りしていることから、金運や財運、商売繁盛にご利益があると言われています。巳の日(みのひ)や60日周期の己巳の日(つちのとみのひ)にはお酒や卵をお供えして参拝するそうです。そんな多鯰ヶ池弁天宮は地元の人たちから「お種弁天」や「お種さん」と呼ばれ親しまれています。
お種弁天の参拝方法
お種弁天にはご利益があるとされる正式な参拝方法があります。境内にはいくつかの摂社がありますが、その中にお種さんの社があります。(画像参照)その社の前でお参りした後、時計方向に社の周りをぐるっと3周します。正面にくる度に同じお願いをするとご利益があると言われています。
多鯰ヶ池に伝わる「お種伝説」
昔々、因幡国法美郡宮ノ下(鳥取県鳥取市国府町)にとある長者が住んでいました。この長者の家にはたくさんの下男や女中が奉公していました。
その長者は、福部の細川(鳥取県鳥取市国府町)といところからお種という名の美しい女性を住み込みの女中として雇い入れました。
その長者の家では仕事終わりに使用人たちが集まってあれやこれやと毎日のように話し合っていました。そんなある日、使用人たちが集まって話し合っている中「腹が減った」「何かうまいものが食いてえなぁ」と使用人の一人が言い出しました。するとお種がどこからか甘い柿を持ってきて使用人たちに振舞いました。それはとても甘く美味しい柿でした。それ以来お種は度々使用人や客人に柿を振る舞うようになりました。
使用人たちはこんな美味しい柿をどこから獲って来るのか不思議に思い、お種に尋ねました。しかしお種は何も答えず、事あるごとに柿を持って帰り皆に振舞いました。
使用人たちはどうしても気になり、ある夜お種の後をつけてみました。
砂丘をスタスタと歩き続け大きな池の畔に着くと、お種は着物を脱ぎ捨て大きな白蛇に姿を変えました。白蛇に姿を変えたお種は池をスルスルと泳ぎ、池の中程にある小さな島に辿り着きました。その島には柿がたわわに実った大きな木がありました。お種は白蛇となってその木から柿を獲っていたのです。使用人たちは驚愕し、震えながら逃げ帰りそのありさまを長者に報告しました。正体を知られてしまったお種はその日を境に長者の屋敷に現れることはありませんでした。一説によるとお種はそのまま種ヶ池の主になったと言われています。
長年、長者に支えていた老婆はお種を大層憐れみ、池のそばに祠を建てて祀ってやりました。
以上がこの地に伝わる伝説です。多鯰ヶ池弁天宮はこの伝説と弁天信仰が深く関わり合っています。
参拝情報
●御祭神/弁財天・お種弁天
●鎮座地/鳥取県鳥取市福部町湯山
鳥取砂丘のすぐ近くに鎮座しており、広い駐車場もあるので鳥取観光の際は是非立ち寄ってみてください。普段社務所は閉まっていますが「巳の日」「巳己の日」の8:30~12:00の間は開いています。
多鯰ヶ池弁天宮の周辺には遊歩道が整備されており、ウォーキングを楽しむ事もできます。参拝の後は自然を満喫しながらリフレッシュするのもいいですね。
ということで、最後まで拝読いただきありがとうございました。多鯰ヶ池弁天宮は個人的に好きな神社の一つなので、また何か記事を書きたいと思います。それではまた。
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