
天声人语丨消えたいと思うあなたへ⁽²⁰²⁵⁻⁰¹⁻³¹⁾
14歳のとき、ぼくの孤独は極まっていました――。写真家の齋藤陽道(はるみち)さんは記している。同級生に陰口を言われたり、無視されたり、ものを盗まれたりした。〈とてつもなく寂しかったです〉。「孤独から芽吹くことば」と題した短文に、悲しい文字が並ぶ▼もともと聴覚に障害があり、先生や同級生が何を言っているのか、理解しにくかった。でも、「聞こえる人のように」というプライドがあって、「わからない」という一言を封じた。会話はすれ違い、減っていった▼〈当時のぼくにとって、教室は生き地獄でした〉。消えたいな、死にたいな、そうしたら、楽になれるんだろうな。そんな「願い」を〈一回限りの切り札として大切に抱えていた〉という▼救われたのは、もう限界だと思い、普通学校から、ろう学校へと「逃げた」から。避けていた手話を学び、音声だけではない「ことば」の存在を知ったから。うれしくて、世界が「可能性をもつもの」に見えてきたそうだ▼子どもの自殺が増えている。昨年、自ら命を絶った小中高生は過去最多の527人に上った。中学生は前年より10人も増え、163人が亡くなった。なぜ……。その一人ひとりの異なる苦しみを思うと、胸がギュッと締めつけられる▼〈逃げてください〉。「生き地獄」を知る齋藤さんの語りは強く、やさしい。逃げた先にはきっと、あなたを救う未知の「ことば」があるから。だから、どうか、〈勇気をもって、時間をかけて、逃げていってください〉
非言語の声のちから 写真家放談 |齋藤陽道
ぼくは聞こえません。幼い頃は、補聴器をつけて生活をしていました。中学校までは聴者の学校に通っていたけれど、口話でのコミュニケーションは相当なハードルでした。
ノイズ混じりの音を聞き分けながらの会話は、ぼくにとっては困難なことでした。自然なコミュニケーションができなくなるにつれ、自分の心に限界を感じるようになりました。このままだと、残酷な未来しか思い描けなかったので、高校からはろう学校に通うことにしました。そこでぼくは手話に出会います。目で見ることばの手話に魅入られ、それを何かの形に残したいと思うようになりました。絵や文章など、いろんな表現方法を試すなかでぼくにもっとも合っていたのが写真でした。
ろう学校のみんなを撮っていくうち、もっと専門的な撮影技術を習得したいという思いがふつふつと湧いてきました。そうして興味のおもむくまま独学で勉強してみたら、写真の世界の奥深さを実感するようになりました。ものすごくおもしろそう!と思った。
でも、そのときは「写真を仕事にしよう」なんて思ってなかったですね。東京生まれ、東京育ちだったけど、せっかくだから元々憧れのあった大阪に行こうと思ったんです。筒井康隆、町田康、中島らもが好きでしたねえ。20年間住み続けた東京に飽きてしまっていたし、写真を学ぶのはどこでもできると思ったから。
でもいざ大阪の写真の学校に問い合わせてみたら、ほとんどのところから「聞こえないならダメ」って断られたんです。その中で、ビジュアルアーツ専門学校だけは、当時の校長の百々俊二先生が「授業の音声の保証はできないけど、見て学ぶっていうのはできるんじゃないか、本人がそれでいいなら」と言ってくださったので入学できました。
ろう学校の専攻科を卒業したあとは3年間ぐらい、サラリーマンをして200万くらい貯金がありました。それをもって大阪に引っ越して、学費もそこから。でもそれでも足りないから、奨学金を受けたり、昼夜もバイトしてたんですよね。写真の勉強をいつやってたかちょっと思い出せないくらい。
致想轻生的你
14岁的时候,我孤独到了极点——这句为斋藤先生所记。当时他被同学造谣,被无视,被偷窃,写下了这句“茕茕孑立,万分孤独。”这句“从孤独中萌生的话语”排列着伤感的文字。
斋藤原本就有听力障碍,所以很难理解老师和同学在说的话。但出于一种想像听力正常人一样的自尊心,他从不将“不知道”说出口。结果导致这导致他与别人的交流错位,渐渐地别人也不愿与之交流了。
“对于当时的我来说,教室就是人间地狱”。多想消失啊,多么想死啊,那样的话,自己也会变得轻松吧。这一“心愿”被他作为“是只能用一次的王牌,小心翼翼的珍藏着。”
他认为自己能得救源自向聋哑学校的逃生,源自知道了一种新语言的存在。当时他自己已经到了极限,便从普通学校“逃”到了聋哑学校,并学习了可以用来逃避的手语,也知道了世界上不仅仅只有声音这一种语言。这让我感到快乐,在我看来,世界仿佛像是“充满各种可能”
自杀的孩子们还在不断增加。去年自杀的中小学生达到了527人,创下历史新高。自杀的中学生也比前一年增加了10人,死亡人数高达163人。这究竟是缘何而起……。一想到每个人都怀有不同的痛苦,我自己也揪心难耐。
“去逃避”。深知“人间地狱”的斋藤先生,其话语强而有力又万分温柔。因为你逃避所到的地方一定存在着某种拯救你的未知“语言”。所以,无论如何,“请鼓起勇气,倾注时间,去逃避你不愿面对的一切。”