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いわゆるマイナ保険証反対意見がよくわからない件

マイナンバーカードを保険証として利用する(という説明が良くないのだけど)いわゆるマイナ保険証、反対意見が根強くある。課題はいろいろあるのだろうけど、なぜにそこまで反対するのかいまいちピンとこない。

前提知識として

とりあえずマイナバーカードを保険証にするという説明とかマイナ保険証とかいうネーミングがよろしくないので、以前もちょっと書いたけどその点の整理を改めて。

オンライン資格確認である

今回導入されたのは健康保険の被保険者である資格確認をオンラインで行う仕組みだ。従来は紙の保険証を提示する方法で資格を証明していたが、これがネット経由で資格情報を保持したサーバーにアクセスすることで確認する方法に変わった。

情報化社会ですでに様々な資格やら情報やらをオンラインで確認するようになっている。例えばクレジットカードも確かにカードというものは依然あるけど、実際には毎度オンラインで有効性を確認している。だから最近はオンラインにトラブルがあると手元にちゃんとカードがあるのにクレジットカード決済が使えなくなったりする。
ある意味で今の時代のあたりまえの方法であって、特に目新しいものではないと思う。

オンラインで資格を確認することになったので、従来の紙の保険証はその役割を終えるという話であります。

マイナンバーカードは保険証になっていない

ということで、別にマイナンバーカードがあたらしい保険証になったわけではない。紙の保険証は役割を終えたのだから、マイナンバーカードだろうが何だろうが保険証はなくなるマイナンバーカードが新たな保険証になちゃったら本末転倒なわけです。

だから、マイナ保険証とかいうネーミングはかなりいまいちであると思う。

なぜマイナバーカードがいるのか

でもマイナンバーカードいるじゃないかということだけど、雑に説明するとマイナンバーカードはオンライン資格確認のキーとして使われている。

オンラインで情報を確認するには、たとえばクレジットカードの有効性がオンラインで確認されているとはいえ、なにかをキーにして検索しないといけない。クレジットカードならカード番号などで、これを検索のキーとして入力するためにクレジットカード本体はどうしても必要になっている。

健康保険のオンライン資格確認ではこのキーにマイナンバーカードが利用されている。もちろん従来の保険証をキーにする手もあったと思うけど、とりあえずマイナンバーカードでやることになった

反対意見にピンと来ていない部分

デジタルの良いところはどんどん改善できるところ。オンライン資格確認もまさにデジタルな仕組みなわけで、どんどん改善の議論をするべきだ。
だからいわゆるマイナ保険証について問題点を指摘することは大切。だけど、なんかいまいちピンとこない主張が多いなと感じている。

オンライン資格確認はダメだ論

ようするに電源落ちたりネット切れたりしたら資格確認できなくなるだろうという種の主張。
わからないでもないけど、現代においてどうなのか。確かに例えば北海道の大規模停電でオンライン決済が使えなくなった問題など典型じゃないかと思う。

課題はある。だけど、すでに情報化社会であってデジタルを社会インフラとして受け入れていくしかないんじゃないかな。北海道の例でも、少しは現金を持っておくべきだと考える人もいれば、その稀な事象のために現金持たずに済むメリットを放棄すべきじゃないと考える人もいる。なかには国難の際には体一つで逃げないといけないのだから、一定の財産は宝石貴金属にして常に体につけておくべきだと思っている人もいるだろう。
とにかく、大多数はデジタルを受け入れていて、それが今の社会だってところには抗えない。

人命にかかわるとの話はあるけど、大停電の際とか緊急時に健康保険資格確認にそんなこだわるか?全額自己負担とか気にしている場合か?それどころか金がなくても医療行為はするんだろ?

そもそも医療の現場は電子カルテとか相当に情報化されているのであって、なんかここだけこだわるのはバランスが悪い。すでにサイバー攻撃受ければ医療行為がとん挫しかねない状況を医療界は受け入れているのだとすれば、オンライン資格確認も「あり」でいいんじゃないかな。

患者の手間が増える論

まず、毎回保険資格を確認することになるって主張はそもそもへんで、元来保険資格は毎回確認すべきもの

顔認証云々について、機器のトラブルは発生しているならば問題外だから改善していきましょうだと思います、はい。

操作が難しいかというところはどうでしょう。PIN入力が大変だろうから顔認証にしているんだと思うけど、なれなんじゃないかなと思います。
そもそも、ちょっと大きな病院にいけば「再来受付機」なる端末の操作を求められ、このオペレーションが病院ごとにまちまちで結構混乱する。さらには支払いも機械化されていて、ここも対応せねばならない。しまいには紙の保険証確認まで機械化されている病院すらある。
このあたりの機械化、すなわち人材削減への対応を患者に強いることを医療界が良しとしているなら、マイナバーカードの顔認証だけことさら批判するのもバランス悪いなと感じる次第です。

そもそも従来の紙の保険証時代にはなかった「本人確認」というプロセスが入っているから手間が増えるのは仕方ない。
ここはなりすまし受診を防ぐメリットと、そのためにかける負担のトレードオフだけど、なれてくればそんなに負担でかいとも言えないのではないかな。メリットを考えれば十分受け入れられる範囲でないかと感じてしまう。

むしろ、あの「診察券」ってやつが病院ごとに発行されていて、そのオペレーションも病院によってばらばらってところがよっぽど患者としては負担。
マイナンバーカードで毎回資格確認するようになるんだから、診察券廃止できないんですかね?

情報漏洩心配論

これは導入時のトラブルから心配意識が広がってしまったことは誠に残念というところか。ただ、ちょっと誤解が多いので以前より記事にしている。

誤解部分を置いておくと、心配論の中心は「落としたらどうすんだ」かなと思う。まあ、たしかに落とすと面倒である。
とはいえ、落とした場合の実害については、「キャッシュカードを落としたら金を引き出されてしまうかもしれない」と同等か、それ以下なんだろうな。だけど多くの人がキャッシュカードを持ち歩く。プライバシーについてはスマホ落とす方がよっぽど危険だとおもうけど、こちらもみんな持ち歩く。

便利さとリスクのトレードオフなので、人によって判断は異なってしまうけど、まあたいていのカード類は落とすと面倒なことになるので、そのへんは特別扱いするものでもないのでは。

逆に紙の保険証のようなオフラインの確認手段は落とすともうどうしようもないけど、オンライン確認は落としてもサーバ側でブロックできるのだから安心度高い。キャッシュカードもクレジットカードも実際はオンライン確認だからすぐに止めれば被害は防げる。紙の健康保険証は多分どうしようもない。まあ、本人にはあまり実害ないかもだけど。

医療情報を参照されたくないは、医療機関に過去の医療情報隠してどうすんだと思うので。あえて言えば病院側がいかに信頼されるかの問題でしょう。

とりあえずまあ

繰り返しになるけど課題はあるし議論は必要。ただ、建設的な議論にしていくためにも論点の整理はいるのでないかな。
そして、そもそものオンライン資格確認自体は情報化社会において否定するものじゃないと思う。




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