ハゲメン
現代は男性女性問わずアイドルに溢れている。
韓流やJグループにダンスグループなど。
推し活は多くの国民の憩いの趣味となっていた。
そんな現代で風変わりなアイドルが今ステージに立とうとしていた。
彼らのファンはこう呼ぶ。
ハゲメンと。
「お前ら準備できたか?」
ハゲメンリーダー 頭頂 元 (とうちょう はじめ)がメンバーを見渡す。
「おう。」
「大丈夫です!」
他メンバー2人もそれに返事を返す。
ハゲメンは3人で構成されいる。
リーダー M字禿げ 頭頂 元
頭頂部禿げ 花頭 真一
バーコード 鬼頭 守
食生活の変化や日々のストレスにより若年生AGAが深刻な問題となっている現代社会において彼らは希望の星となる。
「今日は俺たちにとって初ステージだ。」
頭頂が声高らかにメンバーを集める
花頭と鬼頭もそれに頷く。
「緊張感は大切だが、なにより大切にしなければいけないのはこのステージを楽しむことだ。俺たちが楽しんでいなければファンのみんなも楽しめないだろ。」
「わかってるねリーダー。いいこと言うじゃん!!」
「鬼頭お前俺のが5年先輩だからな、ちゃんと敬語使えよ。」
「硬いっすねリーダー。令和の世に先輩も後輩もハゲもロン毛もありませんよ。
みんな仲良く横一列がトレンドっす。」
「いや、ハゲとロン毛の差は令和にもあるんじゃないか?」
「花頭着眼点が違う、先輩後輩は大切だという話をだな。」
「ハナちゃんもそう思うっすか?」
「僕は適度に礼節を重んじれば無理に先輩後輩を意識しなくてもいいかなとは思うよ。」
「そうっすね。 ですよ先輩リーダー。」
「お前完全に舐めてんだろ。」
「そんけーしてます!。」
「そんけーじゃない尊敬だ。 ぜってぇ舐めてんな。」
「二人とも落ち着いて。ライブに向けて衣装チェックやメイク大丈夫?」
花頭が二人を仲裁した。
「確かにこいつと揉めてる場合じゃねぇわ。」
頭頂は姿見の前で衣装チェックを始めた。
「鬼頭くんもあんまり揶揄わないよ。 先輩に違わないんだから。」
「すんません。」
「わかればよろしい。」
花頭は鬼頭の手を引いてメイク室に向かった。
開演30分前のアナウンスが流れ、会場は新人アイドルという期待と初めてのコンセプトの不安に満ちている。
今回の箱が50人キャパの小さめの会場なので、その空気感は板を一枚挟んだだけの舞台袖の控え室にびんびん伝わってくる。
「俺髭伸ばした方がイケてるかな。」
こんな状態でもマイペースにいられることが鬼頭の強みでもあり、他の二人(特に緊張しやすいリーダー)も助けられていた。
「やめた方がいいと思うよ。」
「そうだぞ鬼頭。 俺たちは清潔感を武器に戦っているんだ。 髭なんて生やしたら清潔感がなくなるだろ。 脱毛してこい!!」
「髭を蓄えた俺の顔よりも、年々横の剃り込みが激しくなって
あれ、戦闘民族のエリートかな? と思わせるリーダーの方が不潔っす。
いくら若ハゲコンセプトの俺らでも限度があるっす。」
「んだと!!。」
「もう喧嘩しないの。 ファンのみんながすぐそこにいるんだよ!!」
花頭はため息まじりに二人を止め背中を押した。
「さあ初ライブですよ。」
「そうっすね。」
「いくぞ二人とも!!」
新時代アイドル ハゲメン
彼らのトップアイドルへの道はここから始まる!!
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