島崎藤村「夜明け前」
先日、岐阜県の馬籠,妻籠、木曽街道トレッキングに参加し、二つの宿場をつなぐ街道を4時間ほど歩いた。宿場も街道も昔のまま保存されている。売らない、貸さない、壊さないの三原則を守っているとか。
馬籠は島崎藤村の生誕の地である。年配のガイド氏が藤村の生い立ちや作品について、大切そうに説明してくれた。
藤村の作品は若い頃「破戒」を読んだだけ。早速、全集をKindleにダウンロードして、まず「夜明け前」から読み始めた。
主人公は半蔵は、藤村の父親がモデルとか。馬籠の本陣を取り仕切る家系である。黒船来航、大政奉還と時代のあわただしい動きは、木曽街道を行き来する人や荷物から伝わる。半蔵は何が起きているのかもっと知りたい、もっと学びたいと願い、江戸まで出かけて行く。
それで気がついた。
私は臼杵市の谷間の小さな村に生まれ、家は奥の村々に続く別れ道のところにあって、祖父が雑貨屋をやっていた。行商の人や村へ帰る人達の休憩場所にもなっていて、小さい頃から、街で起こった事、村で起こった事の話を聞いていた。山の向こうで何が起きているのか知りたくて見たくて、高校を出ると走るようにして街に出た。だから今でもお出かけの癖が治らないのだと気がついた。