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冬が来る前に

 近くの公園に十数本ある南京ハゼの実が、熟れはじめたと思ったら、毎日、カラスの大群がやって来て啄んでいる。冬が来る前にたくさん食べようね。「寒鴉」は冬の季語だ。

 ずっと怖くて読めなかったビクトール・フランクルの「夜と霧」を、図書館の人がいるところで読んだ。読まなかったことにしたいほど怖い話だった。「飢える」「凍える」「他者が自分の生死を決める」状態に突然置かれる。ホロコースト。あれからまだ80年も経っていない。体験した人もまだ生きている。

 極限の飢えや寒さの経験はない。この国の自然の恵みと親の世代の努力のおかげだ。次の百年はどうだろう。自然のすることは止められないが、人のすることは止められる。愚直に考えよう。すぐ国政選挙もある。



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