団地の秘密の小道
毎朝通る公園への近道に、夏の間雑草が生い茂って、露に濡れるし蛇も出そうなので、いよいよ鎌を買ってきて自分で刈ろうと思っていたら、ある日誰かが刈ってくれていた。空き地と思っていたが、所有者がいたのだ。勝手に草など刈ったら大変。土地には固定資産税を払っている人がいる。勝手なことはできない。
でも景色は勝手に楽しめる。孫との散歩で「ここ秘密の小道よ」といつもと違う道を通ったらひどく喜んだ。
造成地の隙間に残されたような竹藪があって、水が流れクレソンが生えている。5分もあれば通り過ぎる小さな竹藪。そのうちに「ここは山姥のお家よ」とか「ここでかぐや姫が生まれたの」などと教えたいが、孫はどんどん大きくなるし、竹藪がいつまで藪ではあるはずがない。
小学校の裏に行くと、眼下に樹木が美しいお寺と墓地。続いて大分市街、そして別府湾、さらに扇山、鶴見山、由布岳が広がる。極楽浄土とはこんな風景かと思って眺める。
ゆくゆくは眼下の墓地に入りたい。幸い墓地には固定資産税もつかない。安心して眠れる。