子どもたちに残すなら 会社の作り方
悩みを抱える若者が、
絶対に知っておくべき会社の秘密。
『設立の話』
実は、数ヶ月前に会社作ったんだ。
授業中、
後ろの席に座っている大学生が話しかけてきた。
顔を近づけ、真剣な表情で切り出す。
会社?なんの話?
軽く後ろを振り返り答えると、
彼は嬉しそうに答えた。
ゲームの会社作ったんだ。
アプリでゲーム作ったんだけど、
けっこうアクセスがあるから、
本格的に開発しようかと思って。
そうなんだ。
うん。
でも、そんなに複雑なアップデートもないし、
まだ最初は従業員雇わないでも、
アルバイトで対応できるんだ。
だから、固定費もそこまでかからないし、
やってみようかと思って。
ゆくゆくはいろんなゲームを展開して
いろんな技術者を雇って
新しいゲームを作ってみたいけどね。
会社って、自分で作ったの?
うん。あちこち役所に行ったけど、
一冊本読んだだけで、
特にお金出して頼まないでも、会社作れたな。。
最低限かかるお金はあるんだけどね。
今後の税金の扱いだけは、よく分からないから、
今、税理士さんを探しているとこなんだ。
知り合いの社長さんは、
税金の申請も自分でやってるみたいだけど。
最近は、ベンチャーを支援してくれるとこもあって
いろんな集まりもあるし、
特に学生ベンチャーは、コミュニティが狭いし
その繋がりが広がるから、面白いんだよ。
へぇ。学生でも会社を作れる・・・。
そんなこと、よく思いついたね。
小学校の時に開発をはじめてから、
1週間に1度はアプリ開発を試してたんだけど、
せっかくだから、経営もしてみたいなと思って、
始めたんだよね。
ところで、
なんで会社を作った話をしてるのかってことだよ。
少し格好を崩して、彼が言う。
え、勧誘かい?アプリは作ったことないよ。
勧誘じゃないよ。
さっき見えたんだ。携帯ゲームしてたとこ。
それ、うちの会社のゲームだよ。
あぁ。だから話しかけてくれたんだ。
これは、面白いね。とても興味深いと思っていたんだ。
一度、話を聞かせてくれないか?
実は、僕も中学の時に投資を始めて、
最近は、知り合いのベンチャーにいくつか投資してるんだよ。
アプリ開発の企業も投資先にあるし、
税理士さんや弁護士さんのツテもあるよ。
君の会社のホームページがないと思ってたけど、
最近作ったからだったんだね。
そうだったんだ。
それは、ぜひ僕も話をしたいな。
早速だけど、このあと、お昼に話せるか?
いいよ。じゃあ、授業の後で。
チャイムが鳴り、
学生たちが教室から一斉に立ち上がる。
あなたは教科書に挟んだ漫画を
さりげなくゴミ箱に捨て、
さっきまで隣にいた二人の後ろ姿を、
まぶしげに見送った。
会社設立自体はそんなに難しいことではない。
実は本を一冊読めば、簡単に社長になれるのだ。