コロラド州テルユライド
まずは私の一番のお気に入りの場所、コロラド州テルユライド(Telluride)です。
コロラド州都のデンバーから車で約6時間半、飛行機もローカル便が1日1便飛んでいます。1880年代以降鉱山業のため開拓され、1980年代からはスキーリゾートとして繁栄。人口約2,500人の小さな町で、標高2,670メートルの山奥の秘境です。既に売りに出したようですが、トム・クルーズが別荘を持っていたことでも有名な、ラグジュアリーなリゾート地です。
日本でもそうかもしれませんが、高級リゾート地は得てして公共交通機関では行きにくいところにあります。大学時代、フェリスのオンナに「高いヒール履いてらっしゃると大学の前の坂道通学が大変じゃない?」と嫌味で聞いたところ、「送ってもらうから大丈夫だよ。」との返答で、完全に敗北…。庶民が行きにくい場所は、セレブにとってはフィルターがかかるからかえって過ごしやすい場所なのね。それから20年経った今も、私自身は地道に自分で車を運転してテルユライドへ行く、カネも美貌もないオカマです。
毎年9月に行われる紅葉とクラシックカーとワインを楽しむ優雅なイベントにて、音楽をやっている友達がバイトで演奏をしているので、その手伝いと称してバケーションがてらタダで泊まらせてもらうのが私の恒例になっています。紅葉で染まる山を背景に色とりどりのクラシックカーが並ぶ様は、気持ちを高ぶらせてくれます。
「趣味:クラシックカー」であり、そのイベントの参加費は5万円程することもあって、集まるのは所謂アメリカンドリームを叶えた人々です。髪を金髪に染め、唇や胸が異様にぷっくりしている妻を従えた、明らかに権力を持っていそうなおじ様方。旧来の価値観を大事にし、その中で成功を収めた、典型的な勝ち組共和党支持者といった方々が集います。私が住んでいるところはゲイにも優しい民主党支持地域なので、ひと時の非日常を堪能です。
そんなテルユライドで私が一番楽しみにしているのは星空。市営ゴンドラで山の上まで行くと、標高が高く周りも真っ暗なことから、都市部ではありえないほどの星が見えます。「都会に生きて心が曇っていたけど、これだけたくさんの星たちがずっと輝き続けていたのね」などと疲れた都会のキャリアウーマンを気取って心の洗濯を図ります。
小さな街とはいえセレブなリゾート地だけあって、アートギャラリーやレストランは充実。お勧めレストランはBlack Iron Kitchen + Barです。スキーリゾートの一角にあるレストランで、テラス席の暖炉付きテーブルが素敵。料理はメキシカン風のアメリカンですが、ローカル食材を使いつつ美味しかったです。リゾート地での怠惰で優雅なブランチを楽しめます。また、そのスキーリゾート内で、色々なアーティストが出店を出しているので、食後にぶらぶらするのも文化的な休日になるかもしれません。
日本ではコロラド州自体があまり知られていませんが、US News &World Report社の「アメリカの行きたい田舎町」という(謎の)ランキングでテルユライドは第2位を獲得しています。たまには雄大な自然に囲まれた田舎町で癒されるのもお勧めです。