kintone保育業務改善~難攻不落のコロナお休み報告
コロナお休み報告、恐ろしい子!
必要な報告は前触れなくやってくる。
「コロナお休み報告」も前触れなくやってきた。
「コロナ関連でお休みした園児の保育料減免のためのお休み日数報告」を行政より求められたのである。
市内全部の保育園に、一斉メールで送られてきた。
保育料減免の対象となるお休みの要件を読み、私は天を仰いだ。
これは、、、、
ヤバイの、キタ。
衝撃で私の口から出る言葉がかすれ、途切れ途切れになる。
通知文書は、厳密には上記と同一ではないのであるが、重要なことは、条件に合致した欠席のみしか、減免は認めないのである。
「風邪症状がみられたため、PCR検査を受けずに自宅で療養するためお休みした」などの様子観察のためのお休みは減免対象にはならない。
この厳しさに、思わず、誰かをなじりたくもなる。
自治体によって若干の相違はあるのかもしれないが、
①臨時休園
②陽性
③濃厚接触者
④接触者特定による登園自粛期間
上記の厳格な基準の期間内において欠席した場合にのみ、保育料減免の対象となる。
そして、上記4条件に合致するお休み報告をしなければならなくなった。
どういうことか、想像つくであろうか。
園児それぞれに関して、全ての条件を確認していかなければならない。
4月~6月までの3か月間、全てである。
私は、今回、かなりの数の陽性者・濃厚接触者が出たこと、これにより1回の一部臨時休園を行い、また、複数回の接触者特定を行ったことを思い出した。
100人いる園児に関する4条件を全て洗い出す作業。
これは難攻不落である。
エクセルで計算すると・・・
思い起こすと一昨年、「緊急事態宣言中のお休み報告」というものがあり、緊急事態宣言中において家庭保育協力でお休みしてくれた日数を報告すると保育料減免されるという仕組みがあった。
上記は、「期間内の全てのお休み」が対象であった。
kintoneと出会う前だったので、私はこれを、エクセルで計算していた。
上記をご覧になって分かるように、年齢、クラス、園児名、日付をもとに、出席を「○」、欠席を「✕」で記録していく。
日曜祝祭日はお休みのため、間違えて○✕をつけないように、グレーで塗りつぶしている。
ひたすら、地道な作業である。
「ICT化しておくんだった!」と悔やんだが後の祭りであった。
上記はkintoneと出会う前だったため、「お休み計算ができる便利なICTシステムがあったら、どんなに楽なことだろう…」と夢想していた。
(ただの現実逃避である)
○の出席、✕の欠席、○か✕のどちらかが入った開所日数を、それぞれ関数で個数カウントし、合計を算出。
日付がずれていて全部やり直したり、園児名がずれていて、全部最初からやり直し、○✕を途中から混乱してきてやり直し・・・
あまりに何度もやり直しをしているので、ちゃぶ台ならぬ、パソコン台をひっくり返したくなったこと数度。
しかし、ぐっとこらえた。だって、オトナだもの。
ストレス耐性が求められるエクセルお休み報告。
目をぎらつかせながら、殺気走った目で、パソコンを打ち込み続ける。
こうして、エクセルを駆使して、半ば悪夢となりながらも、園児それぞれの「お休み日数の報告」を行政に行うことができたのでした——。
めでたしめでたし。
kintone導入後のお休み報告
2022年、1月上旬から2月下旬にかけて、全国的な感染拡大傾向にあった。
第6波とされる、全国的にまん防が適用された感染拡大時期である。
オミクロン株が猛威を奮っていた。
この時には既にkintoneを導入していたため、アプリを使い、お休み報告を行うことが出来た。
オフィスシステムプロダクトさんが色々とアイデアを出してくれて作ってくれたのである。
カレンダー機能にしたのは、書かれていない日付の抜け・漏れをチェックするためである。
保育園は基本的に日曜祝祭日以外はオープンしているため、出席簿の記録されている日は「開所日」となる。
「開所日は年間、何日あるの?」などは実績報告で求められることがあるため、後から指折り数えて開所日数を計算する手間を考えたら、現年度からリアルタイムで開所記録をつけておくほうが得策である。
テーブル複数行初期表示プラグイン
出席簿を記録したい日を開くと、「テーブル複数行初期表示プラグイン」によって、全園児のテーブル行が開くようになっている。
出欠のプルダウンで、出席なら●、欠席なら✕。
体調不良、発熱、下痢嘔吐、などのお休み理由は備考に書いておく。
もちろん、コロナ関連でPCR検査中などの特記は特に重要だ。
私はお休みを確認したいから出席簿を使っているのではない。
「お休み報告」に用いるためだ。
2020年のエクセルで苦闘した記憶がありありとよみがえる。
恐怖のエクセルお休み報告
間違えて何度も繰り返すやり直した恐怖の記憶。
パソコン台をひっくり返したくなった、極限のストレス。衝動——。
思い出したくもない。
お休み報告は、もはや《トラウマ》であった。
(心理の勉強をしている身としては、上記が厳密には《トラウマ》とは言い難いのは十分も承知しているが、通俗的な理解として、《トラウマ》という表現を使用させてもらうことをご承知おきください)
さて、出席簿アプリに●✕を打ち込んだあとは、「お休み報告」のアプリにコピーをする。
テーブルデータコピープラグイン
「テーブルデータコピープラグイン」を用いて、お休み報告のアプリにコピーするのだが、ここにも、オフィスシステムプロダクトさんの工夫がある。
このプラグインが便利だと思うのは、データを重複させずに上書きできることである。出席簿の訂正があっても、再度データをコピーしても上書きされるので、計算の間違いが無い。
このプラグインを用いて、別の「コロナお休み報告」というアプリにデータコピーする。
コロナお休み報告アプリ
1レコード園児1人1日分で記録され、お休み報告が集積されていく。
これをグラフで集計し、CSV形式で書き出しする。
月単位で絞ったり、クラス別で絞り込んだりもする。
誕生日も出席簿からコピーしているため、誕生日順で昇順・降順でソートもできる。
すこぶる便利!
0歳~2歳の欠席日数は行政への報告用として即座に使える。
3歳~5歳の欠席日数は、指導監査やらで求められる「お休み日数に応じた給食費返戻」への対応として、日額200円を乗じて、給食費返戻として計算する。
出席簿さえ、ちゃんと記録さえすれば、行政への「お休み報告」も、給食費返戻用の金額計算も、ちゃっちゃと完了してしまうのである。
kintone! あなた、なんて便利な子なの!!
感動で大声で叫びたくなったが、共感してもらえる人が周囲にいなかったため、慌てて口を閉じる。
複数条件のお休み報告
さて、本題は条件付の「コロナお休み報告」である。
①臨時休園
②陽性
③濃厚接触者
④接触者特定による登園自粛期間
上記4条件に一致するお休みのみ、報告しなければならない。
さきほど、出席簿アプリの備考欄について、
「体調不良、発熱、下痢嘔吐、などのお休み理由は備考に書いておく。もちろん、コロナ関連でPCR検査中などの特記は特に重要だ。」
と述べた。
確かに、あまり感染者数がいない時期には、日毎の出席簿の備考欄に打ち込むことで足りるだろう。
しかし、かなりの数の陽性者・濃厚接触者が出たり、一部臨時休園を行ったり、複数回の接触者特定を行った場合には、小規模園ならまだしも、中~大規模園だと園児数が非常に多いため、いちいち、出席簿アプリを1日ずつ開いて、備考欄に園児それぞれの特記を記載していくことは、かなりの労力を要する。
それも、4条件、それぞれが同時並行的に複数の園児に条件が進行し、あるいは兄弟児がいると、もはや収拾がつかないほどに状況は複雑を極めてゆく。
もはや難攻不落・・・
さて、今回、出席簿アプリに、出欠は全て記録している。
今回の舞台は、「コロナお休み報告」アプリである。
出席簿アプリから、「お休み報告」のアプリに「テーブルデータコピープラグイン」でコピーした例のヤツである。
「お休み報告」のアプリに、1レコード園児1人1日分で記録している。
ということは、1レコード内の特記を、内容を細かく書けばいいのである。
その日のお休みの理由が、臨時休園なのか、陽性なのか、濃厚なのか、接触者特定による登園自粛なのか、あるいはそれ以外の事柄なのか(体調不良、私用など)。
しかし、いちいちレコードを開いていくのは面倒である。
ここで用いるのが、「グリッドエディタープラグイン」。
一覧表示で編集可能というこの機能は、「コロナお休み報告」の4条件をクリアためには不可欠なプラグインである。
「グリッドエディタープラグイン」の設定画面で、表示するレコードの絞り込み条件を工夫することによって、一覧画面から特記を簡単に記入することが可能になる。
表示したい期間を指定、クラスを指定して絞り込む。
そして、誕生日・ふりがな・日付の昇順ソートで表示する。
こうすることによって、指定期間内の園児毎を表示、特記を確認しながら入力することができる。
分かりやすく期間内の園児ごとに色分けしてみた。
「新型コロナ対応」はチェックボックスである。4条件となっている、臨時休園、陽性者、濃厚接触者、接触者でチェックできるようになっている。
そして、「特記」には、○月○日~○月○日臨時休園、○月○日~○月○日陽性者、などのフリーテキストを記入する。
昇順の日付で並んでいるため、日が連続する場合にはコピペしていく。
ちなみに、陽性者の療養期間は、保健所からの「就業制限通知」「就業制限解除通知」をもとに、正確な日付を確定している。
また、グリットエディタープラグインを、陽性になった園児や濃厚接触者となった園児で絞り込み、日付ソートで表示すると、陽性者期間や濃厚接触者期間の日毎の特記をコピペで記録することができる。
陽性者の療養期間はおおむね10日間だから、指定された日付期間を絞り込んで、期間内の全ての特記に、○月○日~○月○日陽性者と書いておけば、一目瞭然である。
なぜ特記にこだわるのかというと、行政へのお休み報告には、コロナお休みの特記も報告するからである。
すなわち、4条件に合致するお休み日数は、お休み日数のみならず、
○月○日~○月○日臨時休園、○月○日~○月○日陽性者、、、
という、非常に面倒な特記事項も併記しなければならない。
なんという、報告地獄・・・
どうりで、仕事が終わらないはずだ。
と愚痴を言いたくもなる。
勝利宣言
とにもかくにも、全園児に関する特記を、グリットエディタープラグインの一括編集で全て書き終えると、一覧をファイルで出力(コロナお休み特記事項を報告用にまとめる)、お休み日数をグラフのクロス集計でCSVで書き出せば、難攻不落の「コロナお休み報告」はクリアしたのも同然である。
ちなみに、新型コロナ関連は、「コロナお休み報告」アプリで一括管理しているため、園児名簿の関連レコードで表示することができる。
関連レコードで表示されるということは、園児ごとの新型コロナ関連情報をまとめて、「レポトン」で一覧出力することもできる。
もはや、スタンディングオベーションするほかない。
マーベラス!!(私の中で拍手喝采)
―—しかし、大変な闘いであった。
kintoneという心強い相棒と一緒に、難攻不落の「コロナお休み報告」に果敢に挑み、ついに撃破。
勝ったどー!!
勝利の雄たけびを上げたくなったが、共感してくれる人が周囲にいなかったので、慌てて口を塞ぐことにした。
これでもう、「コロナお休み報告」は恐くない。
私の抱えていた、エクセルお休み報告への《トラウマ》は、気づけばkintoneのお陰で快癒していた。
完
編集後記
最後までお読み下さり、ありがとうございました。
今回の記事は、直近の、私の苦闘の記録です。
本当に、kintoneが無かったら、どうなっていたのやら・・・
全国的に感染拡大傾向が出ています。
保育園は全国津々浦々で、試練の時を迎えることでしょう。
特に、コロナ関係では、行政から、お休みに関する特記事項について、園児毎の報告が求められると思います。
報告依頼が出てからでは遅いのです。
今から準備しないといけない。
既存の保育ICTアプリが、コロナお休み報告に対応しているのかどうかは存じ上げないのですが、kintoneを駆使してお休み報告をした私の所感では、kintoneだからこそ、4条件を記録したり、新しい条件が出て来たとしても対応できると考えています。
現に、エクセル報告ではトラウマになるほど大変だったのが、kintoneを導入したことにより、管理が劇的に簡便になりました。
保育園関係者が、総じてkintone業務改善によって、少しでも楽になることができれば。
私にとって、これ以上幸せなことはありません。
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