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kintone保育業務改善~されど悲しみの紙名簿

紙の園児名簿

保育園の業務は、子どもと関わる崇高な《保育・教育》業務の反面、運営の事務作業は恐ろしく非効率である。

私が保育園に入職して、最も衝撃を受け、あまりの非効率さに愕然としたことの1つは、《新年度の園児名簿が紙》ということである。

個人情報がぎっしりと詰まった、ペラッペラの《紙名簿》である。
これを、行政から園児情報として受け取るのである。

園児情報を紙で受け取る時、一瞬、戦慄が走る。
紛失したら、どうしよう、と。

アナログな紙で園児名簿を受け渡すメリットは、《個人情報保護》という観点も、確かにあるかもしれない。

しかし、個人情報の入ったUSBメモリを紛失する事件があるなど、個人情報の管理は厳格な時代。
紛失による個人情報の流出は大問題であり、コンプライアンスにも関わってくる。

受渡される紙、紙、紙・・・

しかし、《紙名簿》とは、いかがなものであろう。

儚くも脆弱な紙。
濡れれば字がにじむし、ヤギに差し出せば食べてしまう紙。
破れば紙ふぶきにもなる(そりゃそうだ)。

ドラマSPECの主人公・当麻のように、推理を閃かせるために、紙を破って、豪快に空に向かって放り投げたい——。

そんな野望(冗談)を抱きつつも、私は紙に向き合わないといけない。

そもそも、園児に関して、行政側が持つ管理情報と、保育園が管理しなければならない初期情報データは、同じである。

園児に関する初期情報データとは、①園児の名前、②生年月日、③保護者の名前、④住所、⑤電話番号。

自治体によって、行政-保育園での受渡しの情報に相違があるのかは分からないが、とにかく、上記の初期情報データを、《紙名簿》で受け取る。

園児情報を行政から《紙名簿》で受け取った私は、思わず目を見張る。

まさか、そんな。
この名簿の情報全部、パソコンでカタカタ打ち込むっていうのか。

年度末の最も忙しい時期に、100名に及ぶ園児の個人情報を、パソコンでひたすら打ち込み、文字起こし・・・。

衝撃の事実に、思わず机に突っ伏す。

オーマイガー!
なんという、アナログ!
今の今まで、保育の事務作業が改善されないわけだぜベイビー!

何とか気持ちを立て直し、私は天を仰ぎ、胸に手を当てて決意の言葉を叫ぶ。

「必ず名簿をデジタル化して見せる! じっちゃんの名にかけて!」

ひたすら園児名簿をいちいち文字起こしをしていた数年後、テキストOCR機能が発展してからは、自分なりに工夫するようになった。

紙名簿をスキャン→Googleドライブ→ドキュメントで開く→文字起こし

スマホ・iPhoneが見違えるほどに進化し、Googleレンズが使えるようになってからは迅速化した。

紙名簿→Googleレンズのテキスト文字認識→コピペ→メモ機能に貼り付け

いちいち文字打ち込みをすることなく、ほとんど正確に読み取られたテキストの誤植の有無を確認して、名簿として整えていくという作業をたどるようになった。

紙名簿特有~見落としの悲劇

いくら便利でも、人間だれしも見落としがある。

紙名簿で受け渡されるものだから、テキストOCRの優れた文字認識でも誤変換され、人間の目にも、気づかないことがある。

旧漢字や異体字という、日本独特の微妙な漢字の形状の違いに気付かず、失敗をしたことがあった。

行政からもらった園児情報をもとに、せっせと名簿を作成する。

ある日、保護者が申し訳なさそうに「先生、実は、名前は旧漢字なので、卒園式の卒園証書の名前は旧漢字でお願いします」とお願いしてきたのである。

行政からもらった園児情報をもとに、一旦、名簿を作成し、完成させてしまうと、見直すタイミングが無い。
誤りに気付く機会が無いのである。

気付かない私が悪いのであるが、もっと効率的な方法はないかと思いあぐねるのである。

しかし、現状も、園児情報の受渡しは《紙名簿》のまま。
令和になった今も、《紙名簿》なのである。

あれほど息巻いて「じっちゃんの名にかけて!」とデジタル化に意欲を見せていた私だったが、自分の保育園の園児名簿はエクセルからkintoneデジタル管理と変貌を遂げても、行政は相も変わらずアナログなのである。

「行政とkintoneで園児情報を共有したら、業務改善できるのに!」

私の業務改善へかける愚痴、いや、熱い情熱のメッセージの声も、ひときわ大きくなるのである。

《紙名簿》へのジレンマを抱えつつ、今日も保育園では事務作業で日が暮れるのであった。

編集後記

お読み下さり、ありがとうございました。

保育業界で業務改善して欲しい部分、不合理な《紙名簿》について書いてみました。

今後も、このような感じで、kintone保育業務改善について書き進めていきます。

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