kintone保育業務改善〜意外と使える・保護者名簿
kintone保育業務改善において、園児名簿がメイン名簿だとしたら、保護者名簿はサブ的な存在である。
例えて言うなら、園児名簿はヒマワリで、保護者名簿は月見草(違うか)。
サブ的な存在ながら、意外にも用途は様々にある。
保護者名簿の基本情報
kintoneで保育業務改善に取り組むにあたり、パートナー企業であるオフィスシステムプロダクトさんと最初に作ったのが、保護者名簿だった。
保護者名簿のポイントを説明する。
保護者ナンバーの取得
保護者名簿では、まずは保護者ナンバーを取得する。
保護者の名前を登録し、保存すると、レコード番号と同じく、自動的に保護者ナンバーが取得される。
園児マスタに保護者情報を呼び出す
次に、別アプリである園児マスタで、園児の保護者を、保護者名簿からルックアップで呼び出す。ルックアップで取得するのは、保護者ナンバーだ。
これで、園児マスタに、保護者ナンバーをもとに、保護者情報が呼びさせた。兄弟児の場合は、同じ保護者ナンバーを呼び出すことになる。
兄弟児情報を関連レコードで表示
保護者名簿に戻ろう。
園児マスタにルックアップで保護者情報が登録されると、同じ保護者ナンバーを持つ兄弟児の情報を、保護者名簿の関連レコードで表示することができる。
関連レコードでは、同じ保護者ナンバーを持つ園児が全て表示される。
こうすることで、兄弟児の紐づけ表示が可能となる。
こうして、保護者名簿の関連レコードに、兄弟児情報を表示させることができたのでした。
めでたし、めでたし。
「保護者」という考え
「保護者」は子どもを養育する家庭の基盤であるが、その形は様々である。
夫婦いる家庭もあれば、ひとり親家庭もある。
祖父母の家庭で育つ子どももいれば、養父母もいるかもしれない。
保護者名簿では「父」「母」と便宜上、表記したが、同性パートナーの家庭もあるかもしれない。
家庭は、子どもたちにとって、大好きな人たちがいて、自らを守り保護し育んでくれる大切な居場所である。
保育園は、子どもが複雑な家庭背景にあっても、理解し、受けとめることが大切である。
保護者の「姓」の問題
園児マスタの記事では、《園児の姓が変わる問題》の煩雑さについて取り上げた。
保護者名簿を作成する際に、園児の姓が変わる問題もさることながら、夫婦別姓という問題もあった。
実際、外国人保護者では夫婦別姓も多いため、保護者名簿ではそれぞれの姓も登録できなければいけない。
園児マスタでも、保護者の姓と園児の名前と結合するのではなく、改めて園児の名前として登録している。姓ひとつでも、色々な事情がある。
同姓でも別姓でも、どちらでも対応できるようにしなければならない。
思い起こせば、kintone hive 2022 fukuokaで登壇した時のテーマは、「kintoneで支える多様な子育て」。
結局のところ、保護者の姓を同姓でも別姓でも自由に記載できることの意味は、「多様な子育てを支える」ということなのである。
また、私は「父母」「父兄」「両親」とは呼ばずに、できるだけ「保護者」と呼びたいと考えている。
子どもたちが多様な家庭で育っているということ、この多様な家庭で子どもたちを養育している構成員は、端的に「両親」と表現するのも難しいため、私は「保護者」と呼びたいのである。
(つい間違えて呼ぶこともあるが)
個別領収書アプリ
さて、意外に用途が様々あると大見えを切った割には、兄弟児情報の表示の話にとどまっている。
他に保護者名簿と紐づけているアプリとして、個別領収書というものがある。
保護者によっては、保育園に支払った費用(例えば給食費とか)の領収書を、勤務先の会社に提出しなければならないという方もいる。
(何かしらの助成金の対象となるらしい)
このために、保護者徴収金の項目の中から、保護者から指定された内容の領収書を、個別領収書に登録する。
個別領収書自体に単独で登録することもできるが、「保護者入金台帳」という、保護者徴収金管理のアプリから、アクション機能で個別領収書にデータを転記することも可能である。
これは確か、パートナー企業であるオフィスシステムプロダクトさんが設定してくれた。
なぜこんな複雑そうなことをしているかというと、「保護者名の個別領収書を発行したい」という、保護者のニーズに応えたいという思い、ただそれだけなのである。
個別領収書は、レポトンで出力する。
結局は、「保護者氏名を載せた領収書を発行しないといけない」というニーズに応えた結果が、このようなやり方になったのである。
レポトンで出力する前は、毎回、領収書をワードで作成し、出力していた。
ワードだと、保護者や園児の姓が変わる問題などが出て来た場合には、差し替える煩雑さが出て来るが、この点、kintoneは、最新の保護者名簿&園児マスタと紐づいているため、最新情報で個別領収書を出力することができる。
保護者会費アプリ
保護者名簿と紐づいている中で、非常に重要なアプリの1つが、保護者会費アプリである。
保育園には保護者会という組織が存在する。
役員は立候補制で決まるが、小学校のPTAのような大仕事の活動をするわけではなく、保護者会主催で交流イベントを立ち上げたりする時に組織して準備したり、イベントを取り仕切ったりするというもの。
イベントで使う費用として保護者会費という名目で徴収するのだが、これらは、全て会計監査の厳正な手続きにのっとっていて行われており、例年、きちんと会計処理されている。
保育園は、保護者会に代わって保護者会費の徴収を行っている。
この保護者会費の会計管理を、保護者会アプリで行っているのだ。
保護者会費を、なぜ保護者名で取得するかというと、保護者会費の金額が、兄弟児の数で変わってくるため、「世帯」管理が必要だったからである。
(保護者会費は月150円、兄弟は半額で加算など)
これまで保護者会費をエクセルで管理してきた。
別のエクセルで作っていた園児名簿を、保護者会費のエクセルに張り付けるのだが、ここで初めて園児の名前だけで、兄弟児を整理するため、沖縄独特の同じ苗字の児童を全部くっつけてしまったり、それぞれを別の世帯にしてしまったり、ミスが頻発した。
(仲宗根さん、島袋さん、大城さん、比嘉さん・・・同じ苗字の世帯が多数いる)
兄弟児名簿を職員で見直してチェックしたにもかかわらず、間違えていたことも数知れず。思い込みとは恐ろしい。
全部印刷して終わってからでないと見つからないミスは、心理学用語でいえば、「錯視」である。全く気付かれない。
この点、kintoneでは、園児マスタの段階で、保護者ナンバーで兄弟児を紐づけているので、兄弟管理を間違わない。間違えようがない。
例えアプリをまたいでも、最初の設定が確実に合っているので、「兄弟とり違え」のようなエクセルのミスは起きないのである。
保護者会費の入金処理の流れは、以下の通りである。
①保育園は、保護者会費が入金されたら、保護者会費のアプリに記録。
②保育園は、保護者会費アプリのグラフで入金一覧を出力し、目の前の現金と一致したのを確認する。
③保育園は、出力した入金一覧の書類と保護者会費の現金を、会計担当の保護者に渡す。
④会計担当の保護者は、保護者会費の口座に入金。
⑤保育園と会計担当の保護者は、一緒に、入金した通帳の入金額と、入金一覧の書類との一致(突合)を確認。
もちろん領収書も、kintoneで出力する(保護者入金台帳のレポトン)。
こうして、kintoneを使って保護者会費を管理し、会計の透明性を確保しているのであった。
めでたし、めでたし。
意外に使える
保護者名簿は、兄弟児管理ができることが一番のキモである。
私は、兄弟児管理は、保育業務改善の中で、かなり大きなニーズと考えている。
それにしても、なんて素晴らしいアイデアなのだろう。
私は保護者名簿に対して、ただひたすら自画自賛なのだが、そもそも、兄弟児管理管理の手法は、パートナー企業のアイデアであって、私のアイデアではない。
結局のところ、kintoneアソシエイトさえ持っていない浅はかな知識の私が、保護者名簿について、そもそもちゃーんと理解しているのかは、怪しいものである。
編集後記
最後までお読み下さり、ありがとうございました。
今回は真面目に書きました。
保護者名簿は少し説明が複雑だったので、ノリツッコミして脱線しすぎると、軌道修正が出来ないので、致し方ありませんでした。
全く、私らしくも無い。どうかしてるぜ!(ブラマヨ吉田風に)
何はともあれ、次回はもっと気楽に書いていきます。
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