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kintone認定アソシエイト試験 合格体験記 ~非IT人間の一風変わった勉強法~
非IT人間の悲哀
私は保育園に勤務し、保育園の運営業務に従事している。
運営業務のうち、PC作業では、Wordやエクセルなどで行政提出用の文書作成したり、保育園のお知らせをパワポで作成することが多い。
もちろん、保育業務改善として、2020年10月から、kintoneを使っている。
しかし、根っからの非IT人間なのである。
非IT人間であるから、悲しい哉、ITの細かいところは今でもよく分からない。
「PaaS」さえ、「プラットフォーム・アズ・ア・サービス」という正式名を知るまでは、パースという呼び方から、ウエハース(お菓子)の仲間と思っていたくらいである。
思い起こすと昨年、kintone hive 2022 fukuokaの登壇後の懇親会の時に、kintoneエバンジェリスト久米さんに「バックオフィスって何ですか?」と堂々と質問するあたり、私のIT知識は、ペラッペラの紙よりも薄いのである。
親切にも久米さんは、「フロントオフィス」と「バックオフィス」の違いについて丁寧に教えて下さったが、申し訳ないことに、今でもよく分かっていない。教え甲斐の無い人間である。
私のIT知識は、今は懐かしき「フロッピーディスク」の容量1.44MBよりも、たぶん少ないと思う(謎の自信)。
kintoneを理解したい
kintone hiveというイベントで、他の登壇者やユーザーさんと「kintoneという共通言語」で交流できるという感動体験をした後は、「少しでもkintoneを理解したい」と思うようになり、コミュニケーションツールとしての、kintone理解を切望するようになった。
kintoneアソシエイト試験を知る
「kintoneを学びたい」という思いを、パートナー企業のオフィスシステムプロダクトさんに話をしたところ、「kintoneアソシエイト試験」というものを教えてもらった。
kintone試験なら、kintoneについて体系的に学ぶことができる。
試験勉強を通して、非IT人間の私でも、きっと、kintoneについて、きちんと理解できるのではないか。
わずかな期待を抱きつつ、私はkintoneアソシエイト試験に挑戦することにした。
まずは勉強計画
勉強開始当初、kintoneについて、「関連レコード」を「関連フィールド」と間違えて憶えていたり、「フォーム」と「フィールド」の用語を混同したり、私のkintone知識は、悲惨なほどに、あやふやであった。
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正確な知識を身に着けるには、「勉強」するしかない。
「勉強」——。
社会人になると、「勉強」に苦手意識を持つ方は多い。
私は、かれこれ10年以上、仕事の傍ら、ずっと「勉強」に取り組んできた。
正直なところ、私は「勉強」があまり得意ではない。
様々なことをサラサラと容易に理解できる「天才タイプ」ではなく、「なぜそうなるのか?」と疑問を起点に理由を突き詰めて考える勉強法を取るため、どうしても知識習得に時間がかかる。
私は、コツコツ取り組む「努力家タイプ」である。
そんな私の勉強方法は至ってシンプルである。
①情報収集
②勉強計画を立てる(ゴールの設定)
③日々のタスクに落とし込む
④スケジュール通りにタスクを実施
⑤進捗の確認(マイルストーン)
⑥計画の見直し
イレギュラーな突発的な出来事が起こった場合には、勉強スケジュールが必然的に崩れるため、勉強計画を再度練り直す。
緊急事態に何度も遭遇する度に、勉強計画を何度も練り直し、大学院を4年で修了することができた。
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進捗状況に合わせて、その都度、計画を立て直して、確実にゴールへと向かう
何度も中断を余儀なくされながらも、大学院を修了することができたのは、周囲の支えも大きいが、徹底したスケジュール管理のお陰である。
私は、kintoneアソシエイト試験合格に向けて、勉強計画を立てることにした。
情報収集
まずは、情報収集である。
諸先輩方の合格体験記を片っ端から読むことにした。
◆kintone CERTIFIED(キントーン認定資格試験) (cybozu.co.jp)
◆kintone 認定資格 アソシエイト試験 の振り返り (hazime-style.com)
◆kintone界隈の受験体験記まとめ|kintone認定 アソシエイト編【随時更新】 (cybozu.co.jp)
◆kintoneアソシエイト合格までの体験記|neutrino_19 (note.com)
◆kintone認定アソシエイト試験に落ちて受かった話|R3 Cloud Journey (r3it.com)
◆「Kintone認定アソシエイト」受験体験記|横浜の中小企業診断士|石井総合研究所 (ishiisouken.com)
◆kintoneアソシエイト資格を取得してみて オンライン受験の際の体験談、失敗談、注意点 編 (ait-labo.com)
◆kintoneアソシエイト試験 体験記 | 備忘録 (。・_・。)ノ (ameblo.jp)
◆【kintone認定 アソシエイト】合格体験記 - Qiita
◆非ITエンジニアの私ですが、kintone認定アソシエイトに合格しました。 - tkchy blog (hatenablog.com)
◆kintoneアソシエイト過去問と勉強方法【初心者が3回目で合格】 | かかしログ (kakashilog.com)
◆【満点合格者の僕が伝えたい】kintoneアソシエイトの勉強方法 (kintoneapp.com)
◆kintone認定アソシエイト試験に一発合格した勉強法 | ジェイボーイがやってきた。 (j-boyblog.com)
◆kintone認定アソシエイト試験合格への道|R3 Cloud Journey (r3it.com)
◆【祝合格】kintone認定アソシエイトの内容・試験勉強法について | BANZAI税理士事務所 (ban-tax.com)
◆kintone認定アソシエイトに合格するためにしたこと|IT営業の攻略本 (kkablog.com)
◆kintone認定アソシエイト試験の勉強方法 – 社内DX推進プロジェクト (shanaidx.com)
◆kintone(キントーン)認定アソシエイト試験 落ちた受かった キンボウズ (kinbozu.com)
◆Kintone認定アソシエイト試験に合格しましたー! | OgiNote (oggylife.com)
◆kintoneが好きすぎて実務経験ゼロなのに認定アソシエイト試験を受けてみました | 3世代ブログ (3sedai.blog)
◆kintoneアソシエイト試験合格ロードマップ | Case Of Akvabit
◆kintone認定アソシエイトを受験したので流れとか勉強方法とか結果とか。 | 試行錯誤してみた。 (trialanderror.jp)
特に、現kintoneエバンジェリストとなっている方の合格体験記は貴重。
いずれの合格体験記も、光り輝くIT知識がほとばしり、非IT人間の私が参考にするには、とても、とても、難しく、手が届きそうにないものばかりであった。
ただ、以下の3点については、全ての合格者が推奨する勉強方法であった。
①試験対策講座の動画を見る
②アソシエイト試験公式本を使用する
③kintoneヘルプを読む
私は上記を実行することにした。
試験対策テキスト
勢いづき、まずは読んでみる。
読んでみる。
ページをめくる。
——書いている内容の意味が、全く分からない。
章末の練習問題になると、何を問われているのさえ、分からなかった。
この程度の理解力では、試験合格など、夢のまた、夢。
私の試験合格の実現可能性は、紛うことなき「ゼロ」であった。
試験対策講座
試験対策テキストを傍らに、講座の動画を視聴する。
講座を解説するトレーナーの中村さんの穏やかな声が心地よい。
しかし、一向に内容が脳に入ってこない。
今いちピンと来なかった。
どうも理解がついていかないのである。
法律や心理学の知識は頭に入って来るのに、IT知識になると、脳が拒否するのか、からきしダメである。
API、エーピーアイ・・・なんだそれ。
万事、このような調子であった。
それでも何とか、自分自身を何度も励まして、全ての動画を見終えることが出来た。
動画を見終えることができた、ただそれだけで、私は、自分の合格実現可能性を、ゼロから1に進めることができた、と信じることができたのである。
kintoneヘルプ
何一つピンと来ない。
少し読んでみたが、意味が分からず、諦めてページを閉じた。
私の理解の範囲をはるかに超えている。
無理だ。
半ば投げやりになってきた。
試験日というゴール設定
勉強に気乗りしない日々が延々と続く。
一向に勉強は進まなかった。脳がIT知識を拒否していた。
私は、どうやったら勉強に熱が入るのかを考えた。
大学院の勉強も、科目試験、修士論文の中間発表や口頭試問など、必ず日付のあるゴールを設定して、その都度、乗り越えてきた。
今回は、試験日というゴールを設定していないことから、試験への現実感が持てず、脳が拒否しているのではないか、と考えた。
それならば、試験日を決めよう。
現在時点から1か月後に試験日を設定した。
知識レベル1状態から、1か月後に合格するというゴール設定は、いささか無謀な試みであった。
しかし、追い込む環境を強制的に作らない限り、私の脳はインプットを始めないであろうと予想していた。
私は覚悟を決めた。1か月で合格して見せる。
勉強計画・再考
私は元・司法浪人である。
元・司法浪人時代に培った、勉強のノウハウだけは豊富にある。
揺るぎない勉強ノウハウを今回の試験勉強で駆使すればいい。
非IT人間の、怒涛の試験勉強が始まった。
試験対策テキストを読み込む
シンプルであるが、かなり重要である。
分からない用語は調べ、書き込む。
「日本語なのだから、きっと、意味は理解できる!」という謎の言葉で自分を鼓舞して、テキストを読み込むことに没頭した。
練習問題を◯✕一問一答問題に改変
練習問題は、冒頭に問題文があり、4択の肢が並んでいる。
私は、4択の全ての意味が理解できなかった。
さらに悪いことに、問題の正解は1つとは限らず、1~3個という、消去法が使えない難しさがあった。
そこで私は、4択全ての肢を完全に理解するために、全部の練習問題を、〇×で回答できる、「一問一答問題」に改変した。
例えば、
昔話「桃太郎」について、桃太郎の家来として、一緒に旅をした動物には含まれないものは何か。
A:イヌ
B:ネコ
C:ニワトリ
D:ブタ
桃太郎では、イヌ、サル、キジを家来にしている。
上記では、「A:イヌ」が家来であるが、問題文は、「含まれないもの」としているため、「B:ネコ、C:ニワトリ、D:ブタ」、すなわち、BCDが正答となる。
なんてややこしい・・・。
私は、上記の問題を、
問題:昔話「桃太郎」について、桃太郎の家来として、一緒に旅をした動物は、イヌである。
解答:〇
問題:昔話「桃太郎」について、桃太郎の家来として、一緒に旅をした動物は、ネコである。
解答:✕
問題:昔話「桃太郎」について、桃太郎の家来として、一緒に旅をした動物は、ニワトリである。
解答:✕
問題:昔話「桃太郎」について、桃太郎の家来として、一緒に旅をした動物は、ブタである。
解答:✕
上記のようにして、148問ある章末問題全てを、1問につき4問の〇✕問題に改変した。
WEB問題も、全て〇✕問題に改変した。
テキスト章末問題 148問×4択=592肢
WEB問題 45問×3パターン×4択=540肢
合計 1,132肢
私は、1132肢を、全て〇✕問題に改変し、1132問の「〇✕一問一答問題集」を作り上げたのである。
恐るべき執念・・・
WEB単語帳Ankilot(アンキロット)
「〇✕一問一答問題集」を機械的に覚えていくためには、単語帳が不可欠である。
私は、WEB単語帳Ankilot(アンキロット)を活用することにした。
実に便利な単語帳であった。
エクセルで作成した「〇✕一問一答問題集」をCSVにして、単語帳に読み込むことができる。
私は1000問余りの問題は、100問単位で分けて、何度も繰り返し解いた。
最初は単語帳をひたすら眺めるだけであったのだが、何度も繰り返すうちに、徐々に、書かれている言葉が、脳に入ってきた。
制限値
「制限値」に関する問題にも取り組み始めた。
「検索ボックスに入力可能なのは100文字まで」という制限値は、
問題:検索ボックスに入力可能なのは何文字か?
解答:100文字まで
というように、制限値を解答するような問題文を作成した。
アンキロットで何度も繰り返して解くうちに、反射的に回答できるようになってきた。
Siri画面読み上げ機能
移動中の車の中でも勉強できる方法は無いかと考えた。
Evernoteのノートに「〇✕一問一答問題集」に入れて、iPhoneのSiriの画面読み上げ機能を使い、Siriに問題文を読み上げさせることにした。
Siriは機械的にひたすら読み上げる。
Siriの読み上げた問題を聞きながら、私は「マル!」「バツ!」と声に出して回答する。
Siriのお陰で、私は耳からも、問題文と解答を記憶するようになっていった。
こうして、オリジナルの「〇✕一問一答問題集」を使い、アンキロットとSiriの読み上げによって、私のkintoneの理解は深まっていった。
章末問題とWEB問題を解いてみる
テキストの章末問題と、WEB問題を解いてみた。
果たして、「〇✕一問一答問題集」の取り組みの成果はいかに。
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何のことやらチンプンカンプン、全く手も足も出なかった問題が、半分程度、正答できるようになっていたのである。
私の合格可能性は、50%に達していた(私見)。
既に、試験当日まで2週間を切っていた。
追い込み期
あとはひたすら、アンキロットで問題文を繰り返し解き、Siri画面読み上げで何度も問題文を聞いた。
途中、脳が完全に「勉強ハイ」に入り、「私はいよいよヤバイ人間になった」と自覚した。
集中力が加速する。
kintoneヘルプに目を通しても、意味が分からない、ということは無くなった。
「あの問題に出ていた! 見たことある!」
知識の点と点のネットワークが繋がってゆく感覚。
既に脳は「レベル5の勉強ハイモード」に入り、ノンストップのアクセル全開になっていた。
ついに試験当日
私は試験会場に入る直前まで、iPhoneのブラウザで、アンキロットの一問一答を繰り返し解いていた。
試験会場に入り、私は全ての運を天に任せることにした。
そして、試験結果——。
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試験対策講座の動画を見てもチンプンカンプンであった非IT人間の私は、最終盤に驚異の追い上げをし、1発合格を成し遂げたのである。
私を合格に導いたのは、諸先輩方の合格体験記と、オリジナルの「〇✕一問一答問題集」、アンキロット、Siri画面読み上げ機能、そして、「絶対に合格する」という燃え盛る執念であった。
メガネ紛失事件
試験では、予備の眼鏡を持って行った。
上記のテスト結果の紙押さえをしているのは、予備の眼鏡を入れた、眼鏡ケースである。
私は、試験後、なぜか、上記眼鏡ケースを紛失してしまった。
どこに置いたのか、全く記憶が無い。
私は、「勉強や試験以外では時々、ポンコツになる人間」と周囲の者に言われることがある。
非IT人間にして、ポンコツすぎる自分に絶望した。
立ち寄った場所、全てを探したが、見つからない。
上記の眼鏡ケースは、紛失する前の最後の姿。
眼鏡、高かったのに・・・。
kintoneアソシエイト試験合格に浮かれてしまい、私は高価な眼鏡を紛失したのであった。
高速道路に間違えて入る事件
kintoneアソシエイト試験を終えて帰る帰路、一般道を走っていると思っていたのだが、車は、高速道路に入っていた。
ETCレーンが目の前に迫り、自分が今、一般道ではなく、高速道路入口にいることを知る。
なぜ、高速道路に入ったのか、全く記憶が無い。
引き返すわけにもいかず、そのまま高速道路に入る。
車を飛ばしながら、私は考えていた。
「試験合格に浮かれて、眼鏡は失くすし、高速道路に間違えて入る。全く、試験以外ではポンコツな私よ・・・」
自分自身に呆れ、自暴自棄になりかけたが、後が大変になるので、やめておいた。
試験を終えて
kintoneを使用するたびに、理解が深まっているのを感じる。
kintoneヘルプを読んでも、理解できるようになっていた。
自分自身の大きな成長を感じた。
しかし、「API」が何なのか、「〇✕一問一答問題集」には出てこなかったから、未だによく分からない。
きっと、そのうち、理解できるようになると信じている。
kintone以外のIT用語は、未だにからきしダメである。
kintoneアソシエイト試験合格後、勢い余って、ITパスポート試験を勉強しようとしてみて、WEB問題を見てみたが、一ミクロンも脳に入って来ない。
私にはまだまだ無理な世界なのである。
基本的なIT用語は無理だとしても、次はkintone認定アプリデザインスペシャリストに挑戦する予定である。
知識が脳に刻み込まれているうちに——。
などと言っているうちに、忙しさから、一問一答のkintone知識が、徐々に薄れゆくのであった。
編集後記
これは、非IT人間が、kintone認定アソシエイト試験に、1か月で合格した合格体験記である。
第1週目 オリジナルの「〇✕一問一答問題集」を作成
第2週目 アンキロットで繰り返し覚え込み
第3週目 アンキロットと並行し、Siri画面読み上げ機能で車中でも勉強
第4週(最終週) 章末問題とWEB問題の過半数正答を達成
「絶対に合格する」という執念で、繰り返し何度も、アンキロットで覚え込んでいった。
ダラダラ勉強することはせず、15分、30分、とタイマーをセットし、「今ここ」に集中して勉強することを心掛けた。
これらの成果で、合格を勝ち取ることができたのである。
諸先輩方の合格体験記を見習って、私も合格体験記を書くことにした。
これから受験を考えている方に、参考になるか、ならないか——神のみぞ知る、である。
完