保護者入金台帳の話をしよう
とにかく現金主義
保育園の事務作業を煩雑にしていることの一つに、保護者徴収金管理がある。
毎月の延長保育料、給食費(副食費)。
0歳から2歳までの保育連絡帳(未だに紙なのである)、入園時に必要な日除け帽子、3歳から必要になるハサミ、卒園修了の記念写真・・・
請求するのも手間だが、徴収したお金を管理すること、未納を管理することは、もっと面倒なのである。
近年は、目を見張るようなほどに現金のキャッシュレス化が進み、数多くの電子マネーサービスが普及した。
しかし、ここは小さな保育園。
徹頭徹尾、現金主義なのである。
「シャリーン」「ペイペイ」「ワオン!」なんて、オシャレな電子マネー決済音が鳴り響く場所ではない。
保育園で聞こえてくるのは、2歳児の「イヤダ! イヤダ!」の大合唱くらい。なんせ、児童福祉施設なのである。
ちなみに、全部が現金徴収なのか――といえばそうではなく、幼児教育の無償化という制度が始まり、保育園は副食費の給食費の徴収義務が生じてしまった(事務負担増大!)。
このため、毎月の給食費だけは、保護者の口座から直接引き落とせる代金回収サービスを採用した。
しかし、これも手数料がかかってしまう。
請求の管理、徴収の管理、未納の管理。
さらに領収書も発行せねばならない。
恐ろしく事務作業が出て来るのである。
エクセル管理時代
kintoneを導入する前は、エクセルで管理していた。
エクセルによる、保護者徴収金の管理の流れについて説明する。
① 請求すべき事柄が生じたら、エクセルシートの該当タブに園児名・請求額・摘要(請求すべき内容)を記録する。
② シートに書かれた内容を、ワードに転記、成形して請求書にする。印刷し、保護者に配布。
③ 保護者は請求書の金額を見て、代金を支払う。
④ お金が入金されたら、このお金がどのシートのタブにあるのかを確認し、園児名・請求額(入金額になる)・摘要を切り取り、「受領証」シートタブに張り付け、徴収日を記録する。
⑤ 受領証のタブは、領収書のワードの流し込みに連動しているため、末日で締めて、エクセル受領証から流し込んだワードで出力し、領収書を印刷。
⑥ 保護者に領収書を配布。
⑦ 発行済の受領内容は「受領証」シートから、「発行済」のシートタブに切取りして貼り付け(移動)。
上記のうち、最も手間なのが、②であった。
エクセルに書かれた請求額を、ワードを転記し、成形して請求書として発行するなんて・・・
どこまでも手間暇をかけさせるんだベイビー!
常々心の中で叫んでいた。
これはもう、無理だ
年度末になると、複数人の保護者から、「受領一覧表が欲しい」と言われるのである。
フィルタを使って園児名で絞り込み、一覧として印刷して、保護者に渡していた。
4人、5人くらいなら、受領一覧発行も苦ではない。
時は給食費の徴収が始まった頃であった(2019年10月~)。
給食費は金額も大きいことから、20名以上が、一様に受領一覧の発行を求めてきたのである。
その頃、後に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と命名される、謎の新型肺炎の話題で持ちきりであった。
突然、安倍首相による一斉臨時休校が宣言され、保育園だけでなく、保護者も混乱を極めていた。感染予防として登園自粛も始まった。
未納者も多くなり、保護者からは「お休みに入る前に未納を全部払いたいから、未納一覧を出して」という要求も相次いだ。
私の事務作業は混沌を極めた。カオスであった。
「これはもう無理だな」
思わず呟く。
徴収管理・請求管理・未納管理。
さらには受領一覧も出さないといけない。
エクセル管理の限界を迎えていた。
事務負担の増大化に、誰にもぶつけられない怨嗟の念を抱き始めていた。
kintoneと出会う、1か月前のことであった。
kintoneの保護者入金台帳
kintone導入によって、最も業務改善が図られたと私が感じるのは、色々ある中でも、やはり、保護者徴収金の管理である。
請求管理~それぞれ別のアプリから
① 請求が生じたら、保護者入金台帳アプリに記録する。
② 園児名簿アプリで、一覧画面編集プラグイン(グリッドエディタープラグイン)で一括表示。請求書発行する園児を絞り込み、一覧表示する。
料金名(摘要)や請求額をサクサク記入。
③ 一覧表示に切り替え、一覧の園児にレポトンで請求書を発行する。
エクセルに書かれた請求額を、ワードを転記し、成形して請求書として発行していた、あの非常に面倒な手間暇が無くなったのである。
これは心的負担をとても軽くした。
請求書は、給食費、延長保育料など色々あるが、それぞれ別のアプリからレポトンで請求書として出力している。
④ 園児名簿の請求額や料金名(摘要)を、アクション機能で、保護者入金台帳アプリにコピーする。
別アプリでレポトンを使って請求書を作成しているものも、最終的には、全て保護者入金台帳アプリに統括している。これで入金に備える。
受領管理~保護者入金台帳アプリから
① 代金が入金されたら、保護者入金台帳アプリの未納一覧から検索し、受領日・受領金額を記入し、レコードを保存する。
これで未納一覧から請求額が消える。
エクセルだと園児名などを切り取って、受領証タブに張り付け移動させる手間があった。どこから切り取ったのか失念することもあり、万事休すなことも幾度もあった。
この手間暇が、kintoneでは皆無になったのである!
② 園児名簿の関連レコードで先月分の受領分を絞り込めば、受領証一覧もレポトンで出力できるのである。
未納管理~園児名簿の関連レコードから
ここまで来たら、未納一覧もお手の物である。
園児名簿の関連レコードで入金額0円で未納分を絞り込めば、未納分請求書もレポトンで出力できるのである。
こうして、kintoneのお陰で、保護者徴収金の請求管理・徴収管理・未納管理・領収書発行も、全て一括で管理することができた。
めでたし、めでたし。
行政監査に備える
保護者から頂いた延長保育料や給食費は、保育園の普通預金に入金するのであるが、「いつ・誰から・いくら徴収したものを・いつ普通預金に入金したのか」について記録しておかなければいけない。
この点、保護者入金台帳アプリのグラフ機能が使えるのである。
グラフ機能で集計すれば、入金日の記録、誰から徴収したかも一目瞭然。
これを印刷し、証憑として会計書類に添付しておく。
普通預金(通帳)の入金額と、グラフの合計額と一致する(突合できる)。
会計書類を整えておけば、行政監査にも備えることができる。
kintoneよ、ありがとう
kintoneで保護者徴収金管理をするようになって、私の負担は一気に軽くなったのである。
保育業務改善において、保護者入金台帳アプリの便利さは欠かすことが出来ない。
もし、エクセル時代に戻れるか——と聞かれたら、絶対に「NO!」と断固拒否するであろう。
そしていつか、キャッシュレス化が進み、現金主義が終わる時が来る。
この時は、保護者入金台帳アプリも新しい形に姿かたちを変え、より進化しているのかもしれない。
編集後記
最後までお読み下さり、ありがとうございました。
エクセル管理に苦闘していた私にとって、保護者入金台帳アプリは一番業務負担を軽くしてくれた、かけがえのないものの1つです。
指導監査に備えて、結局は領収書を全て紙で発行しなければいけない宿命の保育園にとって、kintoneは、全てを統括できるという、これ以上ないマッチングだと思うのです。
1人でも多くの保育園や児童福祉関係者に、kintoneの素晴らしさ・便利さが伝わりますように。
そう願わずにはいられません。
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