読書レビュー「0メートルの旅」
それは、次世代の「旅」だった。
日本から一番遠い南極からはじまり、南アフリカ、モロッコ、イスラエルと世界各国を旅した著者が感じたことを粛々と、でもどこかでプッと吹き出してしまう岡田悠さんの書く16の旅のエピソード。
ここまでならよくある旅の本。でも面白いのはここから。
誰もが選ばない貴重な「旅先」
旅のエピソードとして「近所」「家」「自分の部屋」が入っている。
・キーワードプランナーで見つけた空いている駅にいく
・江戸時代の地図で近所を散策する
・エアロバイクでみんなの思い出の地をめぐる日本縦断の旅
まず旅先候補にしようとは思うこともない見慣れた景色。だけど近所や、いつもいる場所だって、少し発想を変えれば立派な旅になる。今まで当たり前としてきた風景や居場所が別世界になる。
これは彼だからこそ見つけられた旅先であり旅での出会いである。
今だからこそ、読みたい本
新型コロナウイルスの影響で国はもちろんのこと、県の横断も難しくなってしまった。
旅好きな人にとっても辛い時期となったのは変わりないが、著者のようにちょっとした工夫で退屈な日常をちょっと面白い体験に変えることができるんじゃないだろうか。
そんなことを0メートルの景色から、さきイカをつまみつつ何百、何千キロも先にいるあなたへつづっている。
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