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15時の手紙

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ささやかな昨日のできごと。
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#今日やったこと

美しい紅葉が訪れ、長い冬がくる

その午後、ぼくはいつものようにテーブルで仕事をしている。 同じリビングルームで、妻のみみさんはコンサートの御礼状を書いている。 いつになくぼくは仕事がはかどり、陽が傾きはじめたころに二人分の珈琲を淹れ、焼菓子を一緒につまむ。ぼくはプリンタで御礼状の住所を一枚ずつ印刷する。 その葉書が出来上がると、記念切手を買いに郵便局まで一緒に歩く。 郵便局はひどく混んでいたため、ぼくは一人で図書館に本を返しにいき、無印良品でデカフェ珈琲豆を買って戻ってくる。ちょうど切手を買い終えたみみ

本を読むことは、急がずに生きること

土曜日。ハモニカ横丁の鮨屋〈片口〉で妻と少し早めの晩飯を済ませると、古書店〈百年〉へ向かう。生ビールと白ワインを飲み、ほろ酔い気分である。 店に入ると、妻もぼくも静かに各々の書架に向き合う。1冊ずつ背表紙を読み込み、相変わらずの選書のセンスに唸る。知らない本ばかりだ。気になる本が次々に出てくる。自然と背筋が伸びる。 ぼくは5冊ほど手にしていたけれど、閉店間際まで吟味し、最終的に2冊に絞って購入した。『掠奪美術館』(著・佐藤亜紀)と『ハードボイルド・アメリカ』(著・小鷹信光)

ぴったりの箸置きを探して

週末の夕方、自由が丘に立ち寄り、目についた雑貨店を妻とめぐり歩いた。 トゥデイズ・スペシャル、イデーショップ、ケユカ、私の部屋、タイムレス・コンフォート。 うちにはまだちょうどよい「箸置き」がないため、良いものを見つけたら買い求めたいと以前から話していた。 妻が気になる箸置きを見つけたものの、店頭で熟考した末に、持ち越しになる。当然である。彼女は衝動買いなどしない。 妻の買い物に対する考え方は、じつに堂に入っている。 店先でどれほど気に入るものがあっても、その場ではまず買