本を読むことは、急がずに生きること
土曜日。ハモニカ横丁の鮨屋〈片口〉で妻と少し早めの晩飯を済ませると、古書店〈百年〉へ向かう。生ビールと白ワインを飲み、ほろ酔い気分である。
店に入ると、妻もぼくも静かに各々の書架に向き合う。1冊ずつ背表紙を読み込み、相変わらずの選書のセンスに唸る。知らない本ばかりだ。気になる本が次々に出てくる。自然と背筋が伸びる。
ぼくは5冊ほど手にしていたけれど、閉店間際まで吟味し、最終的に2冊に絞って購入した。『掠奪美術館』(著・佐藤亜紀)と『ハードボイルド・アメリカ』(著・小鷹信光)