訪問診療を受けている家族が急変 救急車を呼んでいい? 息を引き取ったら救急車を呼ぶ?
こんにちは 新宿区を拠点に訪問診療をしているあけぼの診療所です。
今回は、訪問診療を受けているご家族が、救急搬送するか迷ったときの誤解や疑問点についてお伝えします。
医師に会えるまでの時間を考えると…救急搬送するか迷ったとき
ご家族は自宅だといざというとき対応できず家族が死んでしまうのではないかと不安に思っている方が多数います。もちろん訪問診療ではレントゲンやMRI、手術台はないので、必要に応じて病院を紹介したり検査を依頼したりします。しかし、「救急隊が到着→病院へ運ばれる→医師に会えるまでの時間」と、往診の依頼をして医師が対応するまで時間を比較すると、救急搬送が必ずしも合理的な判断ではないということを頭の片隅にいれていただきたいです。
東京消防庁によると、救急搬送を要請した時、医師にあえるまで約50分かかるとの調査結果を発表。年々この時間は伸びる傾向にあるといいます。
約1時間あれば、当院に連絡いただけますと、診療チームが状態を伺いお薬の提案をしたり、訪問看護師に対応をお願いし、速やかな処置ができます。もちろん病院加療が必要な場合や、患者さんの状態とご家族の希望にあわせ救急搬送することもあります。それでも訪問診療でも十分できることがあり、救急搬送が絶対的に良いわけではないというという現状をお伝えしたいです。
救急搬送を決めたとしても診療所に連絡してほしい
明らかに異変があり、「どうしよう!このままじゃ本当に死んじゃうかも!」と救急搬送を決めたとしても、診療所に一報いただきたいです。なぜならば、普段伺っている診療所が救急隊とお話することで、通院歴のある病院へ搬送するよう調整できるからです。その病院にはすでに検査履歴もあり、よく知っている医師がいるかもしれないので、よりスムーズに加療いただけるでしょう。
救急搬送するような状態になることを未然に防ぐことも私たちの使命
そろそろお別れが近づいている患者さんや、状態が崩れそうな患者さんには、定期訪問に加え、まめに伺いフォローしたり、必要な物品をお届けして緊急往診に備えます。
訪問診療の重要な役割の1つに、状態を維持し快適に過ごしていただくことがあげられます。家族とゆっくり過ごし感謝や思い出を語る。そのような最期の時を過ごすうえでも、状態の維持は重要な仕事の一つです。
もし自宅で息を引き取ったら 救急車は呼ばないで
朝目を覚ました時患者さんが息をしておらず、救急車を呼んだご家族がいました。なんとか心肺蘇生をしようと試みたり、どうしたらよいかわからずパニックになる気持ちも理解でしますが、このような時はまず診療所にご連絡ください。
心肺停止したまま救急車を呼ぶと、救急隊は警察を呼び、検死が行われます。一方、普段伺っている診療所が訪れたならば、その場で死亡診断書を発行し、落ち着いてお別れができます。
なかなか息を引き取った後の段取りはお話はしづらいことから、警察による検死が行われるということは知られていませんが、警察がきて驚かれる方もいらっしゃいます。
また息を引き取ったのち、ご家族でゆっくりお別れをしてから医師を呼んでいただいても結構です。「先生、お待ちしていました。よろしくお願いします」と逝去された患者さんと手をつなぎ我々を待っていたご家族もいました。
あけぼの診療所では、これからも訪問診療の注意点から役割、理想の在り方などについて発信してまいります。
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