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【タバコは0歳からでも吸える?】当たり前や普通が壊される瞬間

今、コロナにより、以前まで私が考えていた"当たり前"の日常は当たり前ではなくなっています。

どんなのことが当たり前だったのか。
友達とご飯にいったり、生徒と学校であって話したり、授業をしたり。
大好きな旅行にいって現地の人と喋ったり、見たことのないような景色をみたり。
そんな日常がずっとずっと繰り返されると、なんの根拠もなしに思っていました。
でも今やその当たり前は、当たり前ではなくなりました。

ふと考えると、外国へ旅行をすることも、私の"当たり前"や"普通"を常に壊してくれ、そんなものなど存在しないのではないかと、何度も思わせてくれました。
そして私はなぜか、その瞬間が好きでした。

コロナが世界中で流行る直前の2月、私はマルタにいました。地中海に浮かぶ、ヨーロッパのリゾート地と言われている場所です。



27時間のフライトを終えようやくマルタに着き、ホテルまでバスで向かっているときのことでした。
乗り換えるためにバスを待っていたのですが、時間が過ぎてもバスは来ません。

まぁ、バスが予定通り来ないことは想定内でした。日本のように、時間にきっちりした国は本当に稀です。
それでも一応心配だったので、隣にいた男性に、ここで待っていれば私の方向へ行きたいバスが来るのかと話しかけました。

きっかけはそんな些細な会話でした。

彼はリビア出身で、マルタへ去年から働きに来ていました。家族を愛し、毎日リビアにいる母に連絡をとっています。歩くことが好きで、歩く地図のようにどこでも知っていたので、バスに乗りながらここに行くと素敵な景色が見えるとか、どこのアイスクリームが一番美味しいとか、エスプレッソならここだとか、ここの町はこうだとか、、マルタ新参者の私に本当にたくさんの場所を教え、お勧めしてくれました。

ある日、彼とマルタの街を歩いていました。
彼はコーヒーとタバコが大好きで、その日もコーヒーを片手に時々タバコを吸っていました。
私はふと疑問に思い、「リビアって何歳から煙草が吸えるの?」と聞きました。


「何歳でもいいんだよ」

え?
どういうことなのか。日本では法律で二十歳からと決まっているが、リビアにそういう法律はないのか、、?

「日本では、タバコとお酒は20歳からって決まっているんだけど、リビアではそういう法律はないの?」
好奇心が掻き立てられ、私は聞かざるを得ません。そうすると彼は、


「一応あるけど、リビアでは宗教が強いから、法律よりも宗教にみんな従ってる。だから、何歳からでも吸っていいんだよ。」

衝撃でした。

宗教が法律より強いことなんてあるのか。
ほとんど無宗教と言ってもいい日本に住んでいる私にとって、これは本当にびっくりしました。話をよく聞いていると、リビアのなかでも宗教の種類が2つに別れるらしく、彼の地方は吸っても良いところ、もうひとつのエリアはほとんど吸うことができないということでした。

さらに疑問に思った私は、
「じゃあお酒は?」と質問を進めました。


「お酒は1滴たりとも飲んではいけない。飲んだら刑務所行きだよ。」

ほぉ、、、。

つまりリビアには居酒屋さんもパブも、バーも、何もないということ。

たくさん旅行もしてきたし、色んな国の人と話してきたので、国が違えば文化も習慣もしきたりも全部が違うと、分かっているつもりでした。
でもやはり、自分がさも当たり前だと思っていたこと、当たり前だと思いすぎてわざわざ考えてもみなかったことが、実は誰かにとって当たり前ではなかったと気づくと


本当に当たり前とは何だろう、


といつも思わされます。

実は普通というのは自分が作り上げた虚構に過ぎないのではないか。

みんながしているから、
みんながこれがいいと言っているから。
大企業がいいと言われているから。
いい大学へ行けば必ずいい人生になる。
お金持ちと結婚すれば幸せに、、。
そんなことみんな知っている、当たり前だ。

そのいいは誰が決めたのでしょうか。
その当たり前は、あなたが思っているだけの当たり前ではないでしょうか。

目の前に起きていること、自分ができること、自分のしたいこと、自分が思う幸せ。それに気づき、大切にしている人がどれほどいるのか。

自分の目で、耳で、足で、自分の人生をつくっていくことこそ、難しいようだけれど、大切なのではないかと、ぼんやり思っている今日この頃です。