環境には、制御ではなく適応
「環境制御」という言葉が、最近苦手である。
一応農家だし、農家の前はシステム屋だったので、「環境制御による農産物の収量増大」などの道は、そこそこ王道を学んできた。
いろいろな大学の先生やら研究所やら、種苗メーカーやら、行政やら、そんな方々とコミュニケーションもとったりもしてきた。
なにより、
四半世紀前、私の学生時代最後の研究は「ファジー制御」である。
そう!あの、空調制御で一世風靡した、ファジー制御である笑
そんなわけで、環境を制御することには、一定程度の理解はあると思っている。
そのうえで、、、
「環境制御」は違う。
と今は考えている。
個人的な解としては
「環境には適応してこそ生存できる」
ということである。
これは、経営者の教育をうけてきた中で、
「経営とは環境適応業」
というキーワードを学んだ頃に、確信を得たのだが。
「制御」とは、己の周り(他人)をコントロールすること。
「適応」とは、己が周りに順応すること。
そして、他人は変えられない。変えられるのは自分自身。
故に、他を制御して自分の都合の良い状態は、一時的には作れても、恒久的には成立しない。ということになる。
これは、農業でいう栽培環境、生活における住環境、仕事の上での労働環境など。みな同じである。
昨今の、気象条件の変化は激しいものがある。
おそらく、-10℃〜40℃で暮らしていた人が、-15℃〜45℃で暮らさなければならない時代にもうシフトしたのだろう。
でも、「命に関わる危険な暑さなので、外に出ないでください」はどうだろう。
命ずる人々は、いずれ、来年とか再来年に、また-10℃〜40℃の、いや、-5℃〜35℃の数十年前の世界に戻ると思っているのだろうか?
たぶん、それはない。
地球の立場?笑で見れば、この程度の気象の変化は、誤差の範囲。
過去何万年?何億年?で何度もあった変化である。
人間程度が、生きようが、死のうが知った事ではない。
では人間はどうするのか?
生き残るには、生存続けたいなら、進化し順応する他は無い。
「しかし、急激な変化には進化が追いつかない。まずは環境をコントロールして変化の速度を落とすべき」
という意見には、賛同する。
賛同するが、今の人間による実現の確率は非常に低いと考えている。SDGsとか。
理由?根拠は?
コロナ禍当初のパンデミック時、一斉にロックダウンした時、世界の空気が澄み綺麗になった事は、全世界周知のとおり。
それでも、やめられなかった。
すぐ元の経済、生活に戻したがった。
気象変化対策よりも、経済、金、が今の人間の欲望である。
この実績があるから、今の人間に環境問題の解決は出来ない。
だから、生き延びたければ、生存し続けたければ、急激な環境変化に順応する、急激な進化しかないのである。
現在の人間の能力に見合った環境維持、つまり環境制御が、更なる環境負荷、悪化への加速に加担している事は明白である。
燃料を過剰に使う、資材を過剰に投入する、電気も大量につかう。
目的が、今の金なら正解。
目的が、人類存続なら、不正解。
私は、ヒトができるだけ長く生存すればよいと思っているので、『環境適応』を推していきたいと思う。