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ダイヤモンドのピアスを探す旅
きっかけは金属アレルギーだった。
長いこと左耳にしかピアスホールが無かったのだが、海外で派手なピアスを目にし、両耳からでっかいピアスをぶら下げる夢を見た。帰国後、渋谷の美容外科でピアスを開けてもらった。ついでに胸元にあった赤いほくろ(チェリースポットというらしい)も取った。
初めてピアスを開けたのは高校生の頃だった。その頃の記憶が薄く、その後の処置を完全に舐めていた。すぐにノリでセカンドピアスに付け替えてしまい(しかもその辺の国で買ったやっすいやつ)見事に膿んだ。かぶれた。終了〜〜〜〜。
ピアスを外すと鉄錆がついていた。マジに危ねえ。
かぶれた場合はピアスホールを諦めるのが一番だが、つけっぱなしにしてなんとか維持したい。近所の皮膚科に行きつつ、早急に安定感のあるピアスを探す必要があると思った。
ズボラだからつけっぱなしにしたいし、できれば石もついていてほしい。
つまり要件はこうだ。
金属アレルギーの症状が比較的出にくいとされる金、銀、またはチタンを使用
ある程度の水や圧迫に耐えられるルビー、サファイア、ダイヤモンドがついたもの
どうせだったらある程度良いもの
ところで年を取ってから「ウィンドウショッピング」が苦痛である。友人といるときはこの限りではないし、単に近隣の街に飽きたのかもしれないが、目的もなく街を彷徨うことができない。疲れる。買い物をするときは事前にネットで狙いを定めて最短経路を極めるほうだ。
そんなわけで今回も例に漏れず、ある程度ものを決めてから見に行くことにした。
ルビーもサファイヤも持っているが、私の持ってるアクセサリーの中ではダントツでダイヤモンドが多い。理由は簡単で「扱いが楽だから」。
多動でぶつけても欠けたり傷ついたりしない。
皮脂に弱いが洗えば綺麗になる。
そんな単純な理由で結婚指輪も婚約指輪もブレスレットもダイヤ。あとジョジョで一番好きなのは4部(ダイヤモンドは砕けない)
ひとまずダイヤのハーフエタニティの結婚指輪と合わせるのを想定し、ダイヤモンドのピアスを探すことにした。
ダイヤのピアスで有名なのはティファニーのバイザヤード。
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似たデザインではカルティエのダムールも有名だ。
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普段遣いするならこれぐらいシンプルなデザインがいいな、と思った。正直定番デザインなので似たデザインはどこの店舗でもある。
「ティファニーのバイザヤードのようなダイヤのピアス」これを基準に近くの店で探すことにした。
ete(エテ)
ねえ令和に生きてる人間でeteが嫌いな人っている?
ブランド自体が身にまとう空気感、透明感がたまらないよね。海外に飛ぶときは、無くしたり盗難に遭うのを避けるため、結婚指輪を外している。そんなわけで海外駐在中に代わりに嵌めているのがeteのペアリングだ。
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eteは身近だけどシンプルで洗練されてる、綺麗なゴールド。そんなブランドイメージ。実際に店頭に行って見てみた。
一粒ダイヤではないが、7つのダイヤが詰められたピアスが気になった。
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アンティークな雰囲気がカワイイ。留められたダイヤがゴールドに反射して思った以上にキラキラしている。一粒ダイヤとは違った輝き方が素敵だし、値段も手頃でいいかもしれない。
好きだけどこれ!という気持ちの盛り上がりがなかったのと、普段の洋服に対してシンプルすぎる気もして一旦店を後にしたが、購入候補のひとつには入った。
agete(アガット)
ねえアガットほどジュエリーとファンタジーが迎合したブランドってある?
ほんとアガットのデザイン大好き。手持ちには無いが、ジュエリーを買おう!ってなったら必ず見に行く店舗のひとつ。
過去のデザインでは薩摩切子のネックレスチャームにうっとりした。ちなみに速攻で売り切れて手に入らなかった。
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店頭でこれ良い!と思ったダイヤのデザインはこれ
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7石がこぼれるようなイメージでデザインされており、横から見たときによりダイヤモンドに光が入るピアス。実際につけるとアガットらしい存在感がある。なんか魔法使えそう。
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どちらも物が良くて、正直好みの差でしかないのでめちゃくちゃ悩んだ。シンプルなデザインだけに輝き方や色味に気づいてしまうと沼。ジュエリーって店頭で実際に見てみると本当に印象が変わるよね。
で、しかもアガットの何がすごいってピアスにぶら下げるオプションチャームが売ってるんですよ。気分に合わせて使い分けられるやつ。
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もう〜〜ほんとアガットのこういうところ大好き。こんなん絶対カワイイやんけ。遊び心がすごい。
色々見せてもらったけど、やっぱりアガットのデザインが素敵すぎて、初めてアガットで買うならシンプルなダイヤモンドより、ここにしかない!というデザインが欲しいと思った。私、両手指をアガットの石で満たすのが夢だわ〜〜という野心を抱えつつお店を後にした。
BIZOUX(ビズー)
ねえ宝石が好きな人でBIZOUXのインスタ意味もなく眺めたことない人っている?
とにかく色石に関しては国内有数のイメージ。
28歳だったか29歳だったかの誕生日、オパールのネックレスを旦那にプレゼントしてもらった。そのときの接客がとても素敵だったことが印象に残っている。本当に宝石が好きで、ジュエリーが好きな人がスタッフとして接客してくれる。こちらも購入に訪れるというよりも、運命の石を友人と一緒に見つけに来たという気分になる。
しかしながら一瞬候補に入ったものの、今回はダイヤモンドのピアスを探しており、早々に候補から外した。タンザナイトを買うならともかく。語りたかっただけだ、すまねえ。
ちなみにBIZOUXのインスタかどっか(記憶がうろ覚え)でもらえる、宝石世界地図が本当に冒険心が掻き立てられるので是非みんな応募して。これ見て1時間は過ごせる。
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TAKE-UP
TAKE-UPほどセカンドピアスに定評があるブランドある?
ピアスホールが膿んじゃったんですよ、と知人に話したらおすすめしてもらったのがTAKE-UP。1988年から「セカンドピアス」を売っているらしいのがすごいこと。詳しくはこちら
ここもBIZOUXに負けず劣らずの色石揃い。ダイヤモンドのピアスを見るつもりで店頭に行ったら茶金石のピアスに虜になってしまった。
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この茶金石のピアスが本当に可愛くて、派手さはないけれど不思議な色味と輝きに惹かれた。他にもルビーやタンザナイトなど宝石好きにはたまらない石のピアスがたくさんあり、目的が「ダイヤモンドのピアス」でなければここで買っていたかもしれない。
さて、ここまで実際に足を運んだのは3店舗、インターネットの店舗も含めると50店舗は見た。出先で無意識に足を止めた店舗も含めるともうどの程度見たか分からない。
ネットでティファニーのバイザヤードに似た安価なピアスを見つけ、それを購入する事も考えたが、ジュエリーというのは本当に縁だし、実際につけてみないと本当に分からない。できる限りネットで買うのは避けたかった。
ピアスを見すぎて脳味噌が終わってきた頃、途方に暮れしばらくして気付いた。まだ見てない店舗があるな?
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そう、ティファニーである。
なぜだか「ティファニーのバイザヤードみたいなピアスを買おう」と思っていたが、ティファニー自体を見ることを全く考えていなかった。
理由は自明。高いからである。
ティファニーの店舗自体は婚約/結婚指輪を探すときに行ったことがある。
以前の「指輪選びメモ」でも書いたが、彫金が素晴らしく、指輪の嵌め心地が非常に良かった。当時見に行った店舗でプラチナの素晴らしさにランクをつけるなら、十数店舗行った中で1〜2番目にティファニーが来る。ダイヤモンドの素晴らしさは今更私如きが言うまでもない。
指輪のときはデザインが好みではなかったのだが、ピアスならどうかなと思ったのと、そもそもこのピアスの旅が”バイザヤードみたいな”というところから始まっているのだから、原点を確かめてみるべきだとおもった。
Tiffany&Co.
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買った。(はえーよ)
ティファニーのピアスが買いたいと思ったときには既に買っているんだなあ。
入店時に店員さんに本日はどのようなものをお求めですか?と聞かれ「バイザヤードのピアスを見に来ました」と答えて、めちゃくちゃ気合が入った。俺は俺はティファニーのピアスを見るぞ見るぞ。前述した通りウィンドウショッピングが苦手なので、最短経路で欲しいものを目の前にして熟考することができるハイブラの接客が好きである(シャネル本店に行ったときも思った)
ティファニー新宿高島屋店ではマダムの店員が接客してくれた。婚約指輪を購入したときもそうだが、小生はマダムの接客に弱い。
実際に見てみると、これしか無いなという気分になった。
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私の購入体験を語る前にまずティファニーのバイザヤードというのがどういうピアスかというところから語りたいんだけど、ティファニーと聞くと比較的上の世代は「オープンハート」を思いつくと思う。すっごく有名なハートのネックレスのデザイン。
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近年ではハートのネックレス(笑)とネットでくさされがちだが、このオープンハートは「金属質なのにとろみ(有機質)がある」という点で、画期的かつティファニーの彫金技術が存分に生かされたデザインである。もう100回でも500回でもいうけど、ダイヤモンドもさることながらティファニーは彫金がすごいんだ。見れば分かる。今オープンハートを見てもこの形でこの光沢は他に見ない。
そしてこのオープンハートのデザイナーが作ったピアスのデザインがバイザヤード。私が購入する1年前、2021年に亡くなっている。(デザイナー・エルサペレッティの功績についてはティファニーの公式を見てくれ)
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横から見たときのコロンとした丸みが、金属と思えないほど優美。
ダイヤモンドを囲うゴールドが、よりダイヤの輝きを際立たせとってもエレガント。このバイザヤードにも、エルサペレッティの持つ有機的なデザインが存分に生かされている。とにかく写真で見るだけでは伝わらないその上品さに撃ち抜かれた。
バイザヤード(By the yard)という名称は「予算に応じてダイヤを選べるように」という意味が込められている。今となっては購入したピアスが何カラットか覚えていないのだが、店頭で見ると購入を予定していたカラット数よりも少し大きめのものが欲しくて悩んだ。当時はちょっと大きすぎないかな?と思ったが、店員マダムが「今大きいと感じてもいずれその大きさにふさわしい女性になるので」というので大きめのものを買った。
婚約指輪を購入したときもそうだが、小生はマダムの含蓄のある接客に弱い。つまり激チョロだ。ピンクゴールドが欲しかったけれど実際に見てみたら似合うのはイエローゴールドだった。そんな気付きだけでも店舗に行く価値がある。
ちなみにこれは少し前の話で、私が来店したちょうど2日後にティファニー全体で4〜6%かの値上げが発表されていた。それも当時購入を後押しした理由である。
そんなわけでここ数年、私の耳には1粒ダイヤが光っている。
ピアスを落とすことも、安価なピアスをつい買ってしまうことも無くなった。仕事でもプライベートでも、冠婚葬祭でパールが必要なとき以外ではつけっぱなしで問題も無い。流石に海外に行くときにはどうでも良い樹脂ピアスに付け替えるけれど、そんなとき以外はずっとバイザヤードと一緒だ。
マダム、あたいはこのバイザヤードにふさわしい女になるよ。
番外編
特に宝石とかではないけれど、2年ほど前に金沢のひがし茶屋街付近で購入したガラス工芸のピアス。
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浴衣に合わせたり、海辺でゆったりするときによくつけている。金沢は作家物のアクセサリーが本当にたくさん見られて楽しい。ゆらゆらとして、色味と透明感がお気に入り。
石川県は体調が落ち着いたらまた行きたい。
終わり。